Microsoft が提供するDaaS「WVD」のメリットをわかりやすく解説

 2021.04.19  ストレージチャンネル

近年、VDIを活用して、リモートワーク環境の整備を行う企業が増えています。多くの企業ではMicrosoft製品を利用しているため、Microsoft社のDaaSである「WVD」は有力な選択肢です。そこで本記事では、Microsoft社が提供するDaaS「WVD」の概要や、導入するメリットについて詳しく解説します。

Microsoft が提供するDaaS「WVD」のメリットをわかりやすく解説

WVD(Windows Virtual Desktop)とは

「WVD(Windows Virtual Desktop)」とは、2019年にMicrosoft社が開発したデスクトップ仮想化サービス(VDI)です。つまりWVDは、PCのデスクトップ環境をクラウドサーバー上で提供する「DaaS(Desktop as a Service)」の一種ということになります。WVDはMicrosoft Azure上で実行され、以下のような特徴をもちます。

Microsoft社による管理コンポーネント提供

WVDの特徴として、Microsoft社が管理コンポーネントをマネジメントサービスとして提供してくれる点が挙げられます。

通常、VDI環境を構築するためには、「コントロールプレーン」とも呼ばれるさまざまな管理コンポーネントをユーザーが用意しなければなりません。ユーザーのアクセスを制御する「ゲートウェイ」や、各セッションホストの仮想マシン(VM)に対して振り分けを行う「ブローカー」などがこれに該当します。しかし、WVDではこの手間が必要ないため、企業のIT担当者の負担を大幅に軽減できます。

Windows 10のマルチセッション接続が可能

WVDでは、Windows 10のマルチセッション接続が可能です。「マルチセッション接続」とは、簡単にいえば1台のホストPCに複数台のPCを接続して、その機能が利用できるようにすることを意味します。

Windows 10に限らず、一般的にはVDIを構築する際、仮想マシンと仮想先のマシンは一対一対応で割り振る必要があります。それゆえ、単純に考えるとテレワークなどでVDIを活用するときには、社員ごとに2台のPCが必要になります。しかし、Microsoft純正という利点を最大限に活用したWVDなら、仮想マシン1台のみで複数人分のVDI環境を構築できます。これは、まさにWVDならではの唯一無二の特徴といってよいでしょう。

このマルチセッション接続によって、企業はVDIにかかるコストを一気に軽減できます。またマルチセッション機能は、業務上で利用するアプリケーションの共有も可能とするため、システム的な利便性が高く、労働生産性の向上にも寄与します。

WVDを導入するメリット

ほかのVDIと比べて、WVDを企業が導入するメリットには、具体的にどういったものがあるのでしょうか。以下では、WVDの大きな強みを4つご紹介します。

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Microsoftの既存のライセンスを活用できる

WVDを導入する1つ目のメリットとしては、Microsoft社の既存ライセンスをそのまま流用できることが挙げられます。一般的には、Windows 10などのOSをVDI環境で使う際は、高額なライセンス(VDA)を個別に購入する必要があります。しかしWVDの場合、「Microsoft 365 E3/E5」や「Windows 10 Enterprise E3/E5」といった既存のMicrosoft社ライセンスがあれば、すぐにAzure上で利用できるのです。多くの企業がMicrosoft製品を利用していることを思えば、これはかなりお得なサービスだといえるでしょう。

低コストで利用できる

ここまでの説明からわかるように、WVDの大きなメリットとしては、低コストで利用できる点も挙げられます。先述したようにマルチセッション機能を持つWVDなら、VDIに必要な仮想マシンの台数を最小限で済ませられるうえ、WVDに対応したMicrosoft社ライセンスをすでに所有済みであればライセンス料もかかりません。そのためWVDは、ほかのVDI製品の市場価格と比較して低コストで導入できます。

従量課金制のため無駄がない

上記のコストの問題とも関連しますが、WVDでは従量課金制が採用されているため、コスト面での無駄が少ない点も、ユーザーにとってありがたいメリットといえます。WVDは使用時間に応じて課金額が変わるので、休日や業務時間外など稼働する必要のない時間帯ではシステムを停止させれば、その間VDIの費用がかかりません。マルチセッション機能やライセンスの件についても同様のことがいえますが、WVDはMicrosoftユーザーにとって、非常にコストパフォーマンスに優れた運用が可能なサービスなのです。

テレワークに有効

企業がテレワークを導入したいときに、WVDはその方法として特に役立ちます。VDIでは、社員がたとえ自宅で仕事していても、社内PCを使うときと同一のデスクトップ環境を利用できます。

また、テレワーク時にIT担当者の多くが懸念するのが、社員個々人のPC環境・ネット環境の違いによるセキュリティ面での不安です。その点WVDは、高セキュアなクラウドシステムであるMicrosoft Azureを利用したサービスなので、システム的なセキュリティリスクも軽減できます。新型コロナウイルス対策や働き方改革の一環としてテレワークが推奨される中、低コスト・高セキュアなWVDは、多くの企業にとって最適なソリューションになり得るでしょう。

WVDを導入する時の3つのポイント

WVDを導入する際には、以下の3つのポイントが重要になります。WVDを有効活用するために、それぞれしっかりと押さえておきましょう。

接続ネットワーク

WVDを利用するにあたっては、Microsoft Azureと作業端末を接続可能にするネットワーク環境が不可欠です。もし、この接続環境が悪く、ネットワークがボトルネックを起こしてしまうと、システムのレスポンスも低下してしまい、業務の進行に悪影響を及ぼす可能性があります。

ネットワークへの負担は、仮想マシンへ何台のPCが接続するかによっても変わりますので、その点も考慮したうえで、十分な強度を持ったネットワーク環境を整備することが、快適かつ安全なシステム利用のためには重要です。

また、ネットワーク環境の重要性については、仮想マシンを置く会社側だけでなく、そこに接続するユーザー側の環境でも同様のことがいえます。テレワーク環境下でWVDを利用する際は、各従業員の自宅のネットワーク環境にも配慮する必要があるでしょう。

認証基盤

先述したとおり、基幹部分の管理コンポーネントはMicrosoft社側で処理してくれますが、かといって企業側でのシステム手続きが一切不要というわけではありません。WVDを利用するためには、ユーザー側で「管理コントロールプレーンへの接続認証」と、「VDIを利用するための認証」の2つの認証手続きをする必要があります。

これらはそれぞれ、Azure Active DirectoryとActive Directoryサーバで認証するため、2つの認証基盤を効果的に機能させるためには、Azure AD Connectサーバも必要となります。ただし、上記の仕組みはOffice 365における認証システムと同様であるため、すでにOffice 365を利用している場合には、その認証基盤をそのまま適用可能です。

VPN接続

WVDを快適に利用するには、VPN接続の環境整備を並行して行う必要があります。「VPN接続」とは、ネットワーク上に仮想の専用回線を引き、それを通して特定の相手とセキュアに情報をやり取りできるようにする接続方法です。

テレワークをする際は、会社と従業員の自宅との間で企業内データをやり取りする必要があります。そのため、VDI環境を導入する企業は多くの場合、VPNによる接続環境を整備して行っています。VPN接続も、通常の有線によるネットワーク環境と同様に、適切に整備されていないと業務を快適に行うことが難しくなります。基本的にテレワーク環境下では、多くのユーザーがVPN接続を行うことが予想されるので、VPN環境に対しても十分な整備が必要です。

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まとめ

本記事では、Microsoft社の提供するデスクトップ仮想化サービス「WVD」について解説しました。WVDでは、煩雑な管理コンポーネントの多くをMicrosoft社が担当してくれるため、企業のIT担当者に業務上の負担をかけずに導入できます。

また、WVDは1台のホストコンピューターで複数のPCを仮想デスクトップ化できる「マルチセッション機能」を有しているほか、既存のMicrosoft社ライセンスを流用できるため、低コストで気軽に導入することが可能です。さらに、Microsoft Azureのセキュアな環境下で使用できるので、たとえばテレワーク時に懸念される、従業員ごとのPC環境の違いによるセキュリティリスクにも対応できます。

新型コロナウイルス対策や働き方改革の一環として、テレワーク需要は今後も拡大が予想されます。WVDは、テレワークの導入や管理運用に苦慮するIT担当者にとって、有力なソリューションといえるでしょう。


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