SAPをAzureに移行するメリットとは?SAP on Azureの特長も紹介

 2021.02.22  ストレージチャンネル

多くの企業が、自社のERPシステムをクラウドへと移行しています。そんな中で注目を集めているのが、マイクロソフト社が提供する「SAP on Azure」です。そこで今回は、Azure上でSAPを運用する「SAP on Azure」のメリットや特徴について詳しく解説します。

SAPをAzureに移行するメリットとは?SAP on Azureの特長も紹介

Azureとは?

「Azure(アジュール)」とは、マイクロソフト社が提供するクラウド型のITソリューションです。サーバーやストレージといったITインフラや、システム運用の土台となるITプラットフォームをクラウド上に構築します。Azureは非常に汎用性に優れるサービスであり、AIによる機械学習やIoTのシステム管理、ブロックチェーンの実装、VDIサービス、ビッグデータの分析基盤、認証システムの構築など、多種多様な機能を提供するソリューションです。

Azureは、「IaaS」と「PaaS」という2種類のサービス形態をもちます。IaaSとは、ベンダーが提供するサーバー・ストレージ・ネットワークといったITインフラを、クラウド上で利用できるサービス形態です。一方、PaaSはITインフラに加え、システム開発に必要なミドルウェアやランタイムを提供します。IaaSはサービス対象が汎用用途であるのに対し、PaaSはシステム開発領域を対象としたサービスです。データベースや開発ツールといった、アプリケーションの土台となるプラットフォーム一式を提供します。

SAPをAzureに移行するメリット

近年、ERPシステムはクラウドへと移行しつつあり、マイクロソフト社でもSAP社とパートナーシップを結び、「SAP on Azure」というサービスを提供しています。SAP on Azureとは、SAP社のERPシステムをマイクロソフト社のAzure上に構築するサービスです。ここからは、SAPをAzureへと移行することで、どのようなメリットが得られるのかを見ていきましょう。

優れた拡張性

システム導入において最も重要な要素とは、自社の企業規模や事業戦略に適応できる拡張性と汎用性です。Azureは優れた拡張性と汎用性の高さを兼ね備えており、Azure上でSAPを運用することで、自社に合わせたリソースのサイジングが可能です。また、無駄な費用の投資やランニングコストの最適化にも貢献します。

コスト削減

従来、多くの企業がERPシステムをオンプレミス環境で構築していました。オンプレミスは堅牢なセキュリティ管理と、カスタマイズ性の高さが大きなメリットです。しかし、サーバーやネットワーク機器の導入・維持に、莫大なコストを必要とするというデメリットがあります。

クラウド環境のAzure上にSAPを構築するSAP on Azureであれば、サーバー機器の導入や管理が不要です。したがって、機器の導入コストと保守・管理費用の大幅な削減につながります。

セキュリティの強化

Azureは、日本セキュリティ監査会(JASA)が制定した「CS(クラウドセキュリティ)ゴールドマーク」を取得しているソリューションです。これは、国際的な情報セキュリティ基準を満たすという認定であり、堅牢なセキュリティシステムを誇る証といえます。

また、ERPシステムの運用において重要となるのが、バックアップ機能です。Azureはバックアップの自動化も容易なため、SAPをAzureに移行することで、ERPシステムのセキュアな運用が実現します。

SAP on Azure5つの特徴

SAPをAzure上で運用することで、さまざまな恩恵を享受できます。ここでは、SAP on Azureがもつ5つの特徴について見ていきましょう。
(参照元:https://www.cloud-for-all.com/hubfs/resources/pdf/introducing-sap-on-azure-solutions.pdf

業界最大級のクラウドインフラ

Azureは、業界最大級のエンタープライズ向けのクラウド基盤を誇るソリューションです。

クラウドサービスにおいて重要な要素のひとつに、ネットワークの応答速度があります。Azureは世界中に「リージョン」と呼ばれるデータセンターを擁し、高速なネットワーク網を完備しているのが特徴です。世界で50以上のリージョンが稼働しており、日本においても東日本と西日本それぞれに設置されています。

巨大かつ高速な通信網の構築により、fortune500企業の実に95%がAzureを採用するという、クラウドサービス市場におけるトップの実績を誇ります。

高い信頼性と透明性

ERPシステムに問われるのは、セキュリティ管理における高い信頼性と透明性です。生産管理・販売管理、在庫管理、人事管理、財務会計管理など、経営基盤情報の管理システムには堅牢なセキュリティが欠かせません。

Azureは、マイクロソフト社が長年にわたって構築してきた実績と、業界トップクラスのコンプライアンスへの準拠により、高い信頼性と透明性を実現したソリューションです。

会社の規模に合った認定済インスタンス

SAP on Azureは、次世代ERPシステムの「SAP HANA」専用のインスタンスを提供します。「インスタンス」とは、クラウドサービスにおける仮想サーバーです。

SAP HANA専用のインスタンスメモリは最大24TBまでスケールアップ可能で、永続的メモリもサポート可能です。また、最大12TBメモリ搭載の仮想マシンを提供します。これにより、企業規模や事業戦略に応じたVDIを実装できるので、小規模でも無駄なコストをかけることなく利用できるでしょう。

SAP社との強力なパートナーシップ

Azure最大の特徴は、世界最大手のコンピューターソフトウェア企業であるマイクロソフト社と、ERPソフトウェア市場におけるシェア第1位のSAP社のパートナーシップによって生まれたソリューションという点です。そのため、マイクロソフト製品とSAP製品によるシームレスな連携・統合を可能にします。

マイクロソフト社とSAP社は1993年以来のパートナーシップをもち、製品やサービスの開発・運営において連携を図ってきました。また、マイクロソフト社自身が20年以上にわたって、SPA社の製品を構築・運用してきたという実績もあります。SAP on Azureは、マイクロソフト社の運用経験と実績に基づいて最適化されたITソリューションといえるでしょう。

SAP基幹システムを中⼼のトータルソリューション

Azureは、IaaSとして大規模SAPをサポートするとともに、システムの運用・管理、データ分析基盤、AIやIoTの管理システムなど、PaaSをベースとしたサービスも提供しています。サーバーやストレージを提供するITインフラとしてはもちろん、システムやアプリケーションの開発・運営を行うITプラットフォームとしても活用可能です。オンプレミス・IaaS・PaaS・SaaSのすべてを網羅した、一貫性のあるサービスといえるでしょう。

ANF(Azure NetApp Files)で移行をスムーズに

今や多くの企業が、基幹システムを支えるERPに「SAP」を導入しており、日本国内だけでもSAPユーザーは2,000社以上といわれています。しかし、SAPは2025年にメインストリームサポートが終了するため、「SAP2025年問題」と呼ばれる大きな問題となっています。SAP社はサポート期間を2027年まで延長すると発表したものの、多くの企業にとって、その影響度は計り知れません。

SAP on Azureは、2027年にサポートが終了する旧世代ERPのSAPではなく、次世代ERPの「SAP C/4HANA」および「SAP S/4HANA」を実装可能なソリューションです。そのため、現在SAPを導入している企業や、ERPシステムのクラウド化を検討している企業から注目を集めています。そこで、SAPのクラウド移行を検討している企業におすすめしたいのが「ANF(Azure NetApp Files)」です。

ANFとは、オンプレミス用のストレージ製品を提供しているNetApp社のストレージOS「ONTAP」が、Azure上で動作する従量課金制のクラウドストレージサービスです。ANFは、システムやアプリケーションのクラウド移行をスムーズにサポートします。旧世代の大規模SAPも、安全かつ確実に次世代SAPへと移行可能です。また、VDI(仮想デスクトップ基盤)やHPC(ハイパフォーマンス・コンピューティング)のクラウド移行や安定稼働も実現します。

まとめ

企業の根幹を支えるERPシステムは、オンプレミス環境からクラウド型へと移行しつつあります。とくに、2027年にメインストリームサポートが終了するSAPを利用している企業は、今後のERPシステム運用の在り方が問われます。SAPを使い続けるにしても、新しいERPを導入するにしても、オンプレミス環境でのシステム構築には莫大なコストが必要です。「SAP on Azure」と「ANF」を組み合わせることで、旧世代のSAPをクラウド型の次世代SAPへと移行できます。現在、旧世代SAPを利用している、あるいはERPシステムのクラウド化を思案している企業は、ぜひ「SAP on Azure」の導入をご検討ください。


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