フラッシュストレージ登場の背景

 2017.09.15  ストレージチャンネル編集部

従来のHDDストレージ製品に打って変わり、フラッシュストレージが市場を席巻しつつあります。この現象はMacなどのコンシューマ向けの世界だけでなく、エンタープライズ市場も同様です。

皆さんもご存知のように、フラッシュストレージのGB単価が、HDDストレージ製品のGB単価よりも低価格化しつつあります。フラッシュストレージの圧倒的なパフォーマンス面での優位性だけでなく、ストレージベンダー各社の周辺技術の発展によりフラッシュストレージはすでにストレージ市場を席巻しつつあるのです。

今回は、そんなフラッシュストレージが市場に登場した背景について紹介します。

HDDの歴史を振り返る

フラッシュストレージ登場の背景を知るために、まずはHDDの歴史について少し振り返ってみましょう。

世界で初めて登場したHDDは、1956年にIBMから発表された商用コンピュータ「IBM 305 RAMAC」の一部であるIBM 350がそれに当たります。IBM 350は直径24インチ(約60cm)のディスクを50枚も重ねたもので、ドライブユニットの大きさは大型冷蔵庫2台分ほどもありました。しかし、超大型のサイズにもかかわらず、保存できたデータ容量はわずか4.8MBです。今では考えられない小さなサイズですね。

ハードディスクドライブ(HDD)って、どんなもの?」について調べてみよう!

1980年にはシーゲイト社から、初のPC製品用HDDとなる「Seagate ST-506」が搭乗しています。このHDDは5.25インチという、IBM 350から比べれば極小のサイズに、同じ5MBというほぼ同じ容量を集積していました。後に、同HDDのプラッタ(ハードディスク)を2枚にした、10MB保存可能なST-412という製品も登場しています。

以降30年以上にわたって、HDDの保存容量は年々増加していきました。現在の最大の容量は、米Western Digitalが2016年末に発表したデータセンター向け3.5インチHDD「Ultrastar He12」で12TBだそうです。

世界初のHDDとなったIBM 350の登場から、60年以上でHDD容量は200万倍以上に拡大しているのです。

また、企業向けストレージに置いては、例えばNetAppが提供するハイブリッドストレージ NetApp FAS 9000シリーズでは17,280のHDDドライブを同時に搭載し、最大で172PBのデータを格納可能です。ちなみにハイブリッドストレージはSSDとHDDの両方を同時に実装可能なストレージです。

ストレージに関するお役立ち資料

一方、大容量化が進んだHDD容量に対し、HDDの性能は非常に小さな成長でとどまっています。プラッタが回る速度をRPM(1分間の回転数)といいますが、IBM 350の1,200RPMから始まっています。以降、HDDの性能は4,200RPM、5,400RPM、7200RPMと成長していき、現在では15,000RPMで頭打ちとなっています。

これは、プラットをこれ以上高速回転させるための技術的問題が起因しています。容量面に置いて200万倍という驚異的な成長を遂げたHDDに対し、HDD性能はわずか十数倍でとどまっているのです。

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HDDの性能がCPU性能に追い付いていない

HDDの歴史について簡単に振り返ってみましたが、ここで分かることは、年々増加する保存容量に対し、性能はほとんど成長していないということです。しかし、こうした状況に反しコンピュータのCPUは年々成長しています。

有名なムーアの法則によると、CPU性能(半導体の集積率)は18カ月で2倍になっていきます。現在ではこの予測通り、CPUの性能は年々成長し、2045年にはコンピュータ性能が人間の脳を超えるという「2045年問題」まであるほどです。

参考:Wikipedia ムーアの法則

にも拘わらず、HDDの性能は他のIT技術に比べて成長していなかったと言わざるおえない状況であったのです。フラッシュストレージ登場した背景には、こうしたHDDの成長鈍化とCPU性能の劇的な成長が関係しています。

SSDに代表される「フラッシュメモリ」を使ったフラッシュストレージは、セルと呼ばれるチップに電子を溜め、そこにデータを蓄積することができます。HDDのようにプラッタがなく、機会部品もないため、ディスクの回転数やディスクアームの挙動など、物理的な性能阻害要因が排除されています。

このため、フラッシュストレージはHDDの数倍から十数倍性能が高く、HDDの代替として注目されています。

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フラッシュストレージが注目されている様々な背景

現在、フラッシュストレージが注目されている背景には、様々な理由があります。先に紹介したCPUの性能成長にHDDが追いついていない、というのはあくまでその一つです。

近年特に重要視されているのが「大規模なデータを高速に処理すること」です。ここ数年間でビッグデータ活用が、各業界において最重要項目にあがっています。年々増加する企業の情報量を、有効活用しようというニーズが増えているのです。

さらに、ビッグデータは業務アプリケーションから生成される従来の構造化データだけでなく、画像や音声といった非構造化データの比率が増えています。また、IoTに代表されるように様々な危機からリアルタイムに吐き出される大量のデータやコンシューマライゼーションの波に代表される企業のモバイル活用などデータは急速に増える一方です。

そして、HDDでは、こうした大容量のデータを、高速に処理するには不向きなのです。

一方フラッシュストレージは、HDDの数倍から数十倍の高性能で、大規模なデータも高速に処理することができます。ビッグデータなど大容量のデータを有効活用するために、フラッシュストレージが注目されつつあるのです。

オールフラッシュストレージについて

このような背景から、近年特に注目されているのが「オールフラッシュストレージ」です。これは、ストレージの全面にフラッシュメモリを採用し、処理性能の高速化と大容量化に成功しています。

保存容量やGB単価については、HDDストレージ製品に比べるとまだ優位ではないケースがほとんどです。しかし、オールフラッシュストレージを導入することで、従来のHDDストレージ製品よりも少ない台数や設置面積で、要求するアプリケーションパフォーマンスを満たすことができます。このため、HDDストレージ製品よりも費用対効果が非常に高く、結果からして総コスト削減に繋がることもあります。

さらに、高性能のオールフラッシュストレージ製品では、将来に渡りパフォーマンスチューニングが不要なため、システム運用負荷を軽減することも可能です。

まとめ

フラッシュストレージ、並びにオールフラッシュストレージは、企業のストレージ環境問題を解決する上で、今最もニーズの高い製品です。GB単価の低価格化も進み、大企業やデータセンターはもとより中小企業にとっても導入しやすい製品が登場しています。

従来のHDDストレージ製品やバックアップやアーカイブなど、大容量データの保存に活用し、オールフラッシュストレージをアプリケーション用のストレージとして活用する、という環境が増えています。

皆さんも、フラッシュストレージを採用した、新たなストレージ環境の構築を検討してみてください。

もっと見る:フラッシュストレージの仕組みと基本構造

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