オールフラッシュストレージは、ビジネスの高いパフォーマンスを引き出し、運用コストを削減するためのストレージ環境として多くの企業や組織から注目されています。記憶装置の全面に搭載されたフラッシュメモリは、HDDストレージよりも遥かに高速にデータ処理を実現するのです。
こうしたオールフラッシュストレージ市場の拡大を背景に、ストレージベンダー各社はしのぎを削っています。ユーザーにとってより快適な、より価値の高いオールフラッシュストレージ製品を提供しようと、日夜技術革新に力を入れています。
そのような背景から、現在のオールフラッシュストレージ製品は大容量化と低コスト化が進んできておりユーザー企業にとっては非常に喜ばしい状態なのではないでしょうか。
新興のオールフラッシュストレージベンダーの登場や老舗HDDストレージベンダーは、旧来から搭載されていた定評のあるテクノロジーをオールフラッシュストレージにも適用して市場に投入したり、市場には多くのフラッシュストレージが存在します。
そこで今回は、気になるオールフラッシュストレージ製品を比較してみました。
紹介するのは、老舗ストレージベンダーであるNetApp、Dell EMC、IBMの3社と、新興ストレージベンダーであるNimble、Pure Storage、Tintriの3社を合わせた計6社のオールフラッシュストレージ製品です。
今後、オールフラッシュストレージを導入して、新たなストレージ環境を構築したいが自社に最適な製品が選べない、という企業はぜひ参考にしてください。
オールフラッシュストレージ製品6社比較
まずは、「オールフラッシュアレイ製品」市場で日本国内No.1シェアの実績を持つNetAppからご紹介していきます。
参考:NetApp「ネットアップ、オールフラッシュ アレイ市場の日本国内シェアで第1位を獲得 (2017年第1四半期)」
1.NetApp AFF
≪製品のポイント≫
- ストレージ専用OS「NetApp ONTAP」を採用
- 人気のFASシリーズと同じアーキテクチャ
- 7年間保証で企業の長期利用をサポート
- エントリレベルからミッドレンジ、ハイエンドまで豊富なラインナップ
- 消費電力最大11分の1、スペースを最大19分の1まで削減
ネットアップが提供するNetApp AFF(All Flash FAS)は、同社が提供する人気のストレージ製品FASシリーズをベースに、オールフラッシュストレージ製品として最適化したものです。そのため基本アーキテクチャはFASシリーズと同じであり、ストレージ専用OSであるNetApp ONTAPを採用しています。
これにより実現したのが、世界最高水準でのオールフラッシュストレージのパフォーマンスと低価格化です。NetApp AFFは従来のストレージ環境の中心であったHDDと、今や同程度のコストで導入できるほどの低コスト化に成功しました。
機能性はそのままに、オールフラッシュストレージ製品として、HDDストレージ製品をはるかに上回るパフォーマンスを実現します。インライン重複排除やインライン圧縮といった機能は、企業が保有するデータ量を極小化し、高速かつ簡単なデータ管理を支援します。
加えて、初めてオールフラッシュストレージ製品を導入する企業にとっては、安心の7年間保証で長期利用を強力にサポートします。
NetApp AFF以外にも次世代データセンター向けSolidFire、ハイパフォーマンスコンピューティング向けEFシリーズを提供しています。
http://www.netapp.com/jp/products/storage-systems/all-flash-array/index.aspx
2.Dell EMC VMAXオールフラッシュ
≪製品のポイント≫
- インテル Xeon® プロセッサーを搭載
- ミッション クリティカルなアプリケーションを保護
EMCが提供するVMAXオールフラッシュシリーズは、2016年9月に発表された新しいオールフラッシュストレージ製品であり、インテルのXeon®プロセッサーを搭載した高性能な製品です。最大有効フラッシュ容量4ペタバイトまで拡張可能で、最新鋭の設備を備えたデータセンターにも対応しています。
この他にも、EMCではXtremシリーズなど、いくつかのオールフラッシュストレージ製品を提供しています。
https://www.dellemc.com/ja-jp/storage/vmax-all-flash.htm
3.IBM FlashSystem
≪製品のポイント≫
- IBM独自のFlashCoreテクノロジーを採用
- モデルによって提供する機能が異なる
IBMが提供するFlashSystemシリーズは、FlashCoreテクノロジーと呼ばれる独自の技術を搭載しています。これは、既存のSSDモジュールではなく、独自ボードにフラッシュメモリを実装し、メモリチップ単位でRAIDを構成する技術で、高パフォーマンスと一定した低レイテンシーを実現するためのものです。
https://www.ibm.com/systems/jp-ja/storage/products/flash/900/index.html
4.Nimble Storage AF
≪製品のポイント≫
- InfoSightを利用したインフラ監視もできる
Nimble Storageは2008年に設立され、HDDとSSDを組み合わせたハイブリットストレージ製品の市場開拓の一翼を担った一社です。HDDストレージ製品であるCSシリーズを提供しつつ、2016年にオールフラッシュストレージ製品となるAFシリーズを提供開始しています。
AFシリーズはCSシリーズと組み合わせることで、企業ごとのワークロードやコストなど、複雑な要件にマッチしたストレージ環境を構築することができます。さらに、クラウド運用システムであるInfoSightを導入することで、インフラ監視も可能になります。
https://www.nimblestorage.com/location/japan/
5.Pure Storage FlashArray
≪製品のポイント≫
- 耐障害性に強く管理が比較的簡単になる
Pure Storage FlashArray最大の特徴はその耐障害性にあります。SSDモジュール、書き込みキャッシュのNVRAM、コントローラーなどで構成される同製品は、稼働中にこれらの部品を交換することができ、交換時の負荷もほとんどありません。このため、従来のストレージ環境に比べて管理業務を簡単にしてくれるという特徴があります。
https://www.purestorage.com/jp/products.html
6.Tintri VMstore
≪製品のポイント≫
- 仮想化環境専用のオールフラッシュストレージ
デスクトップ仮想化やストレージ仮想化、あるいはVDIなど、企業がインフラは様々な場所で仮想化という現象が起きています。物理環境に依存するのではなく、大規模な仮想環境を構築することで、様々なビジネス要件に対応してきました。Tintri VMstoreは、そんな仮想化環境専用に提供されている、オールフラッシュストレージ製品です。
仮想マシン単位のパフォーマンス最適化機能などを持ち、従来のHDDストレージ環境では実現が難しかった、仮想化環境の高パフォーマンスを可能にします。
https://tintri.co.jp/tags/vmstore
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まとめ
企業の皆さんが、自社に最適なオールフラッシュストレージ製品を導入するためには表面上のスペックだけの比較だけでなく、しっかりと運用まで考慮した製品選びをすることがポイントです。
なぜなら全ての製品が同じというわけではないからです。パフォーマンスだけに目がいきがちなオールフラッシュストレージですが、実際に導入してみると失敗したなんてことも多々あります。そのようなことがないように、しっかりと製品を選定していただければ幸いです。
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