DR(災害復旧)やBCP(事業継続計画)、サイバー攻撃対策、サーバ障害・故障対策のために、データのバックアップを取ることは非常に大切です。バックアップがなければ、データを損失してしまった場合、事業の継続が困難になります。
2011年の東日本大震災では、基幹部品・素材工場の集積地であった福島県が被災したために、サプライチェーンが崩壊し、多くの製造メーカーが生産ストップという事態に陥りました。しかし、被害はそれだけではありません。
被災地に設立されていたデータセンターが倒壊したことで、事業復旧が困難になり、業務ストップに陥った企業も存在します。こうした事態は、すでに「万が一」の状況ではありません。災害やサイバー攻撃によるデータ破壊は、日本企業にとって日常的に潜むリスクです。
こうした状況への事業継続対策のために、データのバックアップは欠かせません。しかし、その一方で企業のデータバックアップには、次のような課題があります。
企業が持つバックアップ課題
- 災害対策のために多くの手間がかかり、バックアップコストが肥大化してしまう
- 複雑化した社内システムによる複雑したバックアップ環境がコストに影響する
- 複雑化したバックアップ環境による人的ミスが不安
- データ復旧時間が遅くビジネスニーズに追いつかない
- クラウドをバックアップ先に選ぶだけではコスト削減にならない
- データが無限に増え続けるためストレージ費用がかさんでしまう
これらの課題はいずれも深刻なもので、企業が最適なバックアップ環境を構築できない大きな原因です。そこで、優れたバックアップソフトウェアを導入することで、これらの課題を解決しようという企業が増えています。
今回は、そんなバックアップソフトウェア6選を比較してみたいと思います。各製品によって特徴が大きく異なるので、バックアップソフトウェア選定の際はぜひ参考にしてください。
[RELATED_POSTS]バックアップソフトウェア6選比較
NetApp AltaVault
NetAppの提供する製品というとバックアップ対象はNetApp製品のみと思いがちですが、この製品はあらゆる環境をバックアップするためのバックアップソフトウェアという位置付けになります。
データのバックアップ先として、クラウドサービスを選択する企業は年々増加しています。クラウドサービスを利用することで、事前の利用予測にもとづいたリソース確保が不要になり、バックアップを低コストで行えるというメリットがあります。
しかし、先に紹介したバックアップ課題の通り、クラウドサービスをバックアップ先として選ぶだけでは、コスト削減にはなりません。その原因は、バックアップ先を移行することでの手間と、既存バックアップ環境を有効活用できないことです。
NetApp AltaVaultは、こうしたバックアップ課題を解決するためのクラウドバックアップソフトウェアです。企業はNetApp AltaVaultを導入することで、複数のバックアップソフトウェアが混在するバックアップ環境でも各バックアップソフトウェアを統合し、一元管理のもとデータをクラウドサービスへバックアップすることができます。バックアップ先はパブリッククラウドのみならずプライベートクラウドにも対応しています。
これにより既存バックアップ環境を有効活用しつつクラウドサービスによるバックアップを実現するので、現在のバックアップ環境を変更することなく、バックアップ計画もそのままに運用を継続できます。
加えて、Amazon S3やMicrosoft Azure、Google Cloudなど、主要クラウドサービスへ柔軟に対応しているため、企業ごとのバックアップ計画に合わせて構成が行えます。
<<AltaVaultのポイント>>
- 30分でクラウドへのバックアップを開始!
- 時間、コスト、データボリュームを90%削減
- 20社以上のバックアップ先に対応
- リストアの速さは32倍(テープバックアップ比)
- あらゆるバックアップソフトウェアと連携
AOMEI Backupper Server
AOMEI Backupper Serverは、サーバのデータバックアップを簡単に、低コストに実現するライトユーザー向けのバックアップソフトウェアです。用途によって5つのエディションから選べるのが特徴で、無制限のPCおよびサーバのバックアップが取れる上位ディションでも、1ライセンスあたり9万円以下で導入できます。
http://www.backup-utility.com/jp/edition-comparison.html
Arcserve Backup
Arcserve Backupはオンプレミス、クラウドが入りまじる複雑な環境下においても、最適なバックアップ環境を提供するための製品です。それだけでなく、通常のバックアップ環境に加えてテープへのバックアップも可能であり、長期保護を目的としてバックアップにも活用できます。
http://arcserve.com/jp/data-protection-software/tape-backup-software/
NetVault Backup
Oracle、Exchange、MySQL、SQL Server、DB2、SAPなど、多様なサーバやアプリケーションまたはデータベースに対応しているバックアップソフトウェアです。主にNAS環境においての導入実績があり、データ重複排除などの機能によって、肥大化したデータを圧縮することも可能です。
https://www.quest.com/jp-ja/products/netvault-backup/
Paragon Drive Backup Server
Paragon Drive Backup Serverは、Windowsサーバ用のバックアップソフトウェアです。イメージ、ファイル、増分、差分、スケジュールなど様々なバックアップに対応しているという特徴があります。さらに、仮想化環境にも対応しているため、VDIなどを導入している環境でも利用可能です。
https://www.paragon-software.com/jp/businesscustomer/db-server/index.html
Veritas NetBackup
Veritas NetBackupはオンプレミスや仮想化環境、クラウドなどが混在する複雑な環境下においても、統合されたバックアップを提供する製品です。ハイパーバイザとの密接な統合によって、仮想化環境でのデータ保護にも適しています。
また、クラウドサービスを活用することで、データ保存容量は事実上無制限となります。
https://www.veritas.com/ja/jp/product/backup-and-recovery/netbackup-8
その他のバックアップソフトウェア製品
- Amanda Network Backup
- Arcserve
- CA Cloud Storage for System z
- Commvault Dell NetVault
- Dell vRanger
- EMC NetWorker
- HP Data Protector
- IBM Spectrum Protect
- NEC Information Assessment System(NIAS)
- Veeam
- Veritas Backup Exec
- Veritas Enterprise Vault
- Microsoft SQL Server
- OpenStack Cinder NFS Backup Driver
- Oracle RMAN
最適なバックアップソフトウェアを選ぶには?
ここまで、主要バックアップソフトウェア6選を紹介してきました。企業にとって最も大切なことは、これらの製品から自社に最も適した製品を選び、導入することです。そのためにも、まずは既存バックアップ環境のアセスメント(現状評価)から始めることが重要です。
現在のバックアップ環境を整理した上で、何が問題で、どういったバックアップ環境を目指すのか、これらを明確にすることが大切です。バックアップ環境のアセスメントが完了すれば、自社独自のバックアップソフトウェア選定基準が固まります。あとは、機能要件を定義して、それに沿った製品選定を行います。
こうして導入したバックアップソフトウェアは、現在のバックアップ課題を解決し、快適なバックアップ環境を構築するためのキーマンとなるでしょう。ただし、冒頭で紹介したバックアップ課題を意識しつつ、事前の対策を立てることも大切です。
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まとめ
既存バックアップ課題を解決するような、自社に最適なバックアップソフトウェアを選ぶためにも、まずは各製品の特長を理解した上でアセスメントを行っていきましょう。本記事が、皆さんのバックアップソフトウェア選びの助力になれば幸いです。
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