従来、企業データのバックアップは専用ソフトを使用したハードディスクへのバックアップや磁気テープなどの記憶媒体に記録して保管するのが通常とされてきました。しかしここ数年で、こうしたバックアップへの常識は一変しています。
今では、企業規模を問わずパブリッククラウドへ企業データをバックアップするケースが増えています。その背景には、従来からあるバックアップ課題とデータの大容量化という2つの大きな要因があります。
今回は、バックアップソフトからパブリッククラウドへバックアップするメリット、クラウドバックアップのデメリット、さらにそれを解消するための方法について紹介していきます。
バックアップソフトからクラウドへ移行するメリット
従来、多くの企業ではArcServe、Veeam、NetBackup、NetVault、NetWorkerといったようなバックアップソフトウェアを活用して企業データの保護を行なっています。
一般的にこれらのバックアップソフトは特定にストレージへデータをバックアップすることになります。このバックアップ先からクラウドへ移行すると、企業にはどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、その6つのメリットを紹介していきます。
「バックアップソフトウェア6選を比較」にも参考にしてください!
必要容量に応じてリソースを構成でき、低コスト化が実現する
クラウドストレージには「必要な分だけ必要なときに」という特徴があります。つまり、現在保有している情報量に応じて、必要なリソースを自由に構成することができます。
従来のバックアップといえば、保存容量が一杯になるとスケールアップ(サーバ性能の向上)やスケールアウト(サーバの買い足し)によって、増加したデータに対応しなければなりません。これらはいずれも企業にとって高いコストを費やすことになります。
しかし、データ量が少なくなった場合は、サーバの縮小ができないためリソースを余らせることになり、これもバックアップコストの増加に繋がる要因です。
一方必要容量に応じてリソースを構成できるクラウドバックアップは、必要な分だけのコストを支払うので、結果として低コスト化が実現します。
磁気テープなど物理的なバックアップ環境から脱却できる
磁気テープなどの記憶媒体にデータを記録し、物理的なバックアップを行っている環境の場合、記憶媒体の管理作業が多く、定期的なメンテナンスが必要です。さらに、災害時にはデータが破損する可能性が高く、リスクもあります。
こうしたバックアップ環境から脱却し、クラウドバックアップへ移行すると記憶媒体の管理作業が不要なことで、より楽なバックアップ環境を構築することができます。
システム運用の負担が減り、ひいてはコスト削減につながる
データの格納先となるクラウドストレージは、インターネット環境の向こう側で提供事業者によって管理されています。つまり、自社がシステム運用を行う必要がないということです。IT技術者が不足していたり、そもそもIT技術者がいない企業ではこうしたメリットに着目して、クラウドバックアップを積極的に採用しています。
こうしたシステム運用の負担軽減は、ひいては管理コストの削減につながるでしょう。
DRやBCPといった災害対策になる
DR(災害復旧)やBCP(事業継続計画)といった災害対策は、今やすべての企業にとって重要課題の一つとしてあがっています。国内でデータを管理してる限り、100%安全な場所は存在しません。そのために、データの分散管理や複製管理によって、災害時のデータ損失に対応する必要があります。
クラウドバックアップはそうした災害対策を自然と取ることができ、対応コストを削減することができます。
自社独自のセキュリティよりも堅牢になるケースが多い
サイバー攻撃が日々深刻化する中、情報セキュリティや災害対策以上に重要な課題とされています。しかし、大企業など一部の企業を除いては、セキュリティ対策が十分でないという状況にあるのです。
実際に、経済界全体で情報セキュリティ人材が不足し、多くの企業がいつ情報漏えいが起きてもおかしくな状態です。こうした環境を打破すべく、クラウドバックアップを採用する企業が増えています。
堅牢なセキュリティ対策を敷いているクラウドストレージを利用すれば、それだけで自社のセキュリティ対策を強めることができるのです。
モバイルアクセスなど多様なデータ利用に対応できる
上場企業のタブレット活用状況を見てみると、「導入予定あり」としている企業を含めれば、実に73%もの企業がタブレット活用に積極的な姿勢です。そのうち57%の企業は、すでにビジネスでタブレットを活用しています。
引用:インフォテリア株式会社「上場企業におけるタブレット・スマートフォン利用動向調査レポート」
こうしたタブレット活用は中小企業においても着実に拡大しており、今後、モバイルアクセスのニーズがさらに高まっていきます。そうした状況の中、従来のバックアップ環境ではこうしたニーズに応えられないという問題がありました。
例えばバックアップ先も利用できるように設定するクラウドバックアップでは、接続する場所とデバイスを問わずデータにアクセスできるため、ビジネスでのデータ活用の幅が広がります。
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クラウドバックアップのデメリットを知る
先に紹介したように、クラウドバックアップには様々なメリットがあります。しかし、デメリットもあることを忘れてはいけません。
一般的にAWSやAzure、Softlayerといったパブリッククラウドの信頼性は、その事業者に委ねられます。多くの場合、安心して利用できることが多いものですが自社で制御できない点もデメリットになるかもしれません。契約する際にはSLAをしっかりと確認し自社の要求に耐えられるのかを理解する必要があります。
また、いざパブリッククラウドへのバックアップを検討しようとしても既存バックアップ環境が足かせになるケースがあります。バックアップをクラウドへ移行する場合、既存のバックアップ環境から如何に移行するかが重要です。完全移行しようとすれば、バックアップ環境の見直しやDR/BCPの再構築を行わなければならず、大きな手間とコストを生みます。場合によってはそれぞれのITリソースのバッックアップ状況を確認する必要もあるかもしれません。
このように、クラウドバックアップ移行には課題ともいえる、重大なデメリットがあります。
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クラウドバックアップのデメリットを解消するNetApp AltaVault
クラウドバックアップへの移行が持つデメリットを解消できる製品が、ネットアップが提供するNetApp AltaVaultです。NetApp AltaVaultは、市場に出回るほぼ全てのバックアップソフトウェアとクラウド環境の間に設定します。NetApp AltaVaultを導入することで複数バックアップ製品で構成されたバックアップ環境も、簡単に一つに統合し、低コストかつ高速なクラウドへのバックアップを支援します。
また、インライン重複排除などの機能でデータを極小化します。さらに、それらのデータを暗号化した上でクラウドストレージへと移行するので、安全かつ高速なバックアップが可能です。
直近のデータに関してはNetApp AltaVault内にキャッシュされるため、データ復旧時間の大幅な短縮にもつながります。
もっと読む:クラウドバックアップとは?法人企業が検討するべき5つの理由
まとめ
このように、様々なメリットを持つクラウドバックアップです。しかし大切なことは、クラウドバックアップのデメリットを十分に理解した上で、その対応策を考えることにあります。NetApp AltaVaultはまさに、その対応策を企業に提供するための、クラウドバックアップ製品と言えるでしょう。
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