現代における企業活動において、「データ」なしでは成り立ちません。しかし実際にデータ自体を目にすることはできず、PCやスマートフォンといったコンピュータの画面からアプリケーションを通してしか確認できません。しかし、データは確実に「そこに存在しているいもの」なので、壊れることもあります。
壊れる原因は実に様々です。操作ミスによって誤って消去してしまったり、ウイルス感染でデータが破損・改ざんされたり、災害に遭ってハードウェア自体が故障してしまったり…。データが壊れるリスクというのは、日常的に隠れています。
そうした不測の事態が起きても大丈夫なように、データの「バックアップ」を取っておく必要があります。バックアップを取れば、データが壊れたり改ざんされても即座に復旧でき、事業への影響を最小限に留められます。
さらに最近ではコンプライアンス(法令遵守)の観点からもバックアップが重要です。内部監査や外部監査のためのデータ保存は長期にわたって要求されており、かつ企業が持つデータ量は年々増加傾向にあります。
こうした環境の中、バックアップを徹底できていないと不測の事態が起きた際に「データ損失」という被害だけでなく、企業としての信頼も揺らぎます。
今回は、より重要さを増すバックアップの種類について紹介していきます。これを機にバックアップへの知見を深めていただければと思います。
関連記事:Microsoft 365などのSaaS環境でもバックアップが必要?その意味とは
システムバックアップ、データバックアップ
バックアップの種類はまず2つに大別されます。それが、「システムバックアップ」と「データバックアップ」です。
どちらも「不測の事態に備えるためのもの」であり、現在ある場所と別の場所にそのコピーか復元するためのデータを保存しておくことという点では共通しています。しかし、その方法と目的は全く異なるものなので、まず知っておくべきポイントです。
システムバックアップ
壊れたり消失したデータの中にシステムを起動するための重要なデータが含まれていた場合、データ損失によって企業は大打撃を受けます。例えばメールや売上データなどのバックアップを取っていても、システム自体が復旧するまでかなりの手間や時間がかかってしまうためです。
そこで、万が一重要なデータが損失しても迅速に復旧できるように、OSバージョン・パッチ・パラメータ・ネットワーク設定・IPアドレス・ファイアウォール設定など、システムを構成するデータを丸々バックアップする必要があります。
これが、システムバックアップです。
システムバックアップは、システムを構成または変更した時点のデータをすべてバックアップすることで、万が一システム動作に関わる重大なデータを損失しても、即座に復旧可能な状態にできます。
データバックアップ
一方のデータバックアップとは、システム動作に関係はないが、事業継続において不可欠なデータをバックアップするものです。取引先とのメール、売上データ、従業員給与データ、決算データなど、企業には様々な重要なデータがあります。
これら重要なデータは一つでも欠損してしまうと、企業にとっての損失になります。
従って、定期的に大量のデータをバックアップすることで、不測の事態が起こった際も安定して事業継続に努められるのです。
ちなみに、システムバックアップに関しては「イメージバックアップ」と言うこともあります。ただし、イメージバックアップというのはどちらかというと、消費者向けのPCやスマートフォンなどで使われることが多く、企業のシステム環境におけるバックアップでは「システムバックアップ」と呼ばれることが多いでしょう。
フルバックアップ、差分バックアップ、増分バックアップ
データバックアップの中でも、代表的な3つの種類があります。それが、「フルバックアップ」と「差分バックアップ」、それと「増分バックアップです。
フルバックアップ
フルバックアップとは、ある時点でのデータを丸ごとバックアップする方法です。主に、バックアップソフトウェアを導入して初めてバックアップする際に使用することから、「初期バックアップ」とも呼ばれています。
最初のバックアップではデータ量もそこまで大きくなっていないので処理速度には問題ありません。しかし、定期的にバックアップを行っていくとなると、毎回フルバックアップでは時間がかかり、かつストレージ占有量も次第に増えていき、効率の悪いバックアップになってしまいます。
差分バックアップ
差分バックアップとは、初期バックアップ(フルバックアップ)と比較して、変更した部分を都度保存する方法です。
例えば初期バックアップから追加されたAというバックアップデータをまず保存します。その数日後、新たにBというデータが追加されたので、A・Bというバックアップデータを保存します。
このように、差分バックアップは初期バックアップとの「差分」をすべてバックアップしていく方法です。このためバックアップデータの量は次第に増えていき、定期的な整理が必要です。
ただし、過去のバックアップデータが欠損しても、以降のバックアップデータに影響を及ぼすことはありません。
増分バックアップ
増分バックアップとは、前回から今回までに増加した分のみをバックアップする方法です。
先ほどの例でいえば、Aというバックアップデータを保存してから、次回はBというバックアップデータを保存します。このように、増分だけをバックアップするのでデータに無駄がありません。
差分バックアップに比べて、バックアップデータの量を削減できるというメリットがあります。ただし、ある時点のバックアップデータが欠損した際は、それ以降のバックアップデータにも影響が及ぶリスクがあります。
「バックアップソフトウェア6選を比較」にご参考にしてください。
その他のバックアップ方法
ここまで紹介した基本的なバックアップ方法の他に、高度なバックアップ方法があります。
例えば「ローカル・レプリカ」と呼ばれるバックアップは、バックアップ専用のサーバを使用することで、システムを稼働している最中でもパフォーマンスに影響なくデータを保存できる方法です。
ローカル・レプリカはある時点でのフルバックアップをいつでも取得できます。いわば「ストレージのレプリカ」を作成するようなものなので、この名称が付いています。
ちなみにこのローカル・レプリカには、「スナップショット」という、より聞き慣れた名称もあります。
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バックアップ効率は、ソフトウェアで決まる
以上のように、バックアップには様々な種類があり、目的や用途、あるいは環境に応じて最適なバックアップ方法を選ぶ必要があります。さらに、バックアップ作業の効率は、ソフトウェアで決まると言っても過言ではないでしょう。
現在、様々なバックアップソフトウェアが提供されています。その中から自社にとって最適な製品を選ぶことが、バックアップ効率化の第一歩です。
NetAppが提供するバックアップソフトウェア「AltaVault」は、クラウドバックアップに特化した製品です。
近年クラウドストレージへのバックアップ需要が増加しているものの、そこにはデータ移行の時間やストレージ統合の問題など、様々な課題が山積みであることも事実です。AltaVaultは複数のブランドが入り乱れるストレージ環境も容易に統合し、バックアップ先となるクラウドストレージも豊富な選択肢があります。
このため、複雑なストレージ環境で統合管理を実現し、クラウドストレージへのバックアップを強力に支援するソフトウェアです。
「クラウドストレージをバックアップとして活用したい」という方は、ぜひAltaVaultをご検討ください。
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