2020年1月14日にサポート期間が終了したWindows 7、社内のデスクトップ環境をDaaSへ移行した、または一度はDaaS移行を検討したという企業は多いでしょう。また、働き方改革の一貫などDaaSはさまざまな事情から多くの企業に注目されているサービスであり、ITRの調査では2016年から2020年にかけてDaaS市場は約3倍に成長すると予測されています。
出典:ITRプレスリリース『ITRがDaaS市場規模推移および予測を発表』
今回は、DaaSの概要をVDIの違いと共に解説します。新しいデスクトップ環境を求めている方や、既存のデスクトップに不満や課題を感じている方、デスクトップ管理に課題を抱えている方はぜひ参考にしてください。
DaaSとは?
DaaSは「Desktop as a Service(デスクトップ・アズ・ア・サービス)」を略した言葉であり、「サービスとしてのデスクトップ」という意味です。デスクトップ(クライアント端末内にあるOSやアプリケーションなどの環境)は本来、クライアント端末に実装されているものです。これを「サービスとして利用する」とはどういうことなのでしょうか?
皆さんがビジネスで普段使っているクライアント端末は、ハードウェア部分とソフトウェア部分に大きく分けられます。ハードウェア部分は端末そのもの、内蔵されているマザーボードやHDD・SSD、画面、キーボードなどを指します。一方、ソフトウェア部分はOSやミドルウェア、その他のシステムやアプリケーションなど、パソコンをパソコンとして機能させるためのプログラムのことです。
どちらもクライアント端末を使用するのに欠かせない要素ですが、そのうちソフトウェア部分は端末内に無くても同じようにクライアント端末が使えます。これをサービスとして提供するのがDaaSです。目の前にある端末はただの箱であり、その中身がインターネット経由で別のところに置かれているようなイメージです。
VDIと何が違うのか?
VDIとは「Virtual Desktop Infrastructure(デスクトップ・インフラ・ストラクチャ)」を省略した言葉であり、「仮想デスクトップ基盤」と訳されます。本来はクライアント端末内に保管されているデスクトップを仮想サーバー上に置き、ネットワーク経由でそれを利用するという技術です。
このため、概要としてはDaaSと何ら変わりありません。DaaSとVDIの違いを理解するポイントは、「デスクトップ環境がどこにあり、誰が提供しているのか」です。デスクトップがインターネット経由でサービスとして提供されているのがDaaS、企業が独自にデスクトップを仮想サーバーに構築するのがVDIです。
つまりDaaSとは、クラウド技術を駆使し、本来は社内に設置されているデスクトップ(VDI)をサービスとして提供するものです。
「いまさら聞けないVDIとは?必要不可欠なストレージ要素も解説」についてもっと詳しくご覧ください。
DaaSのメリット
わざわざDaaSを利用しなくても、一般的に購入されるクライアント端末にはデスクトップ環境が整えられています。では、DaaSを利用するメリットは何なのでしょうか?
1. デスクトップ管理の効率化
新しく購入したクライアント端末にデスクトップ環境が整っていることは当たり前です。だからといって、従来のような環境が最適とは限りません。OSアップデートに対応するには端末ごとに作業が必要ですし、新しいアプリケーション配布を一括で行えない場合もあります。
一方DaaSはというと、社内全体のデスクトップ環境を1ヵ所で管理できるようになり、OSアップデート対応はもちろんアプリケーション配布なども一括で行えるので、運用管理への負担が大幅に軽減します。
さらに、DaaSへはインターネット経由でアクセスすることから、同じデスクトップ環境を利用するのに回線と端末を気にすることがなくなります。個々のデスクトップ環境はIDとパスワードによって管理されているので、回線と端末が異なってもいつでも同じ環境にアクセスできます。
2. 初期費用の削減
社内のクライアント端末を刷新するとなると多額の費用がかかります。新しいOSを搭載したパソコンは高額ですし、かといって古い端末を使い続けるとセキュリティ面の問題が発生します。
その一方で、DaaSはサービスを利用するにあたって必要なのは月額料金のみなので、企業に必要なデスクトップ環境を素早くかつ安価に用意できます。総合的な運用コストで見れば変わらないことも多いのですが、目先のコストを低減することでビジネスを有利に進められます。
3. 最新環境を使い続ける
最新のOSがリリースされると、企業ではその有効性を評価して、必要に応じて移行作業に取り組まなければいけません。最新OSリリースの度に移行しているという企業は圧倒的に少ないでしょうが、常に最新環境を利用したいというニーズは誰もが持っています。
それを可能にするのがDaaSです。最新OSがリリースされると、ユーザーの任意のタイミングでプランを切り替え、常に最新のデスクトップ環境を利用できます。アップグレード作業に多大な時間を取られることなく、常に最新環境を保つことができます。
4. セキュリティの強化
すべてのDaaSはユーザー(お客様)から重要な情報を扱っています。これらの情報がサイバー攻撃やシステム障害などによって漏えい・破壊されないように堅固なセキュリティ対策を実施しています。数年まで、「クラウドサービスの利用には不安がある」という声も多かったのですが、最近ではDaaSを利用することで「セキュリティを大幅に強化できる」と感じる方が多くなっています。
堅固なセキュリティシステムを構築するには莫大な費用と労力。それと時間がかかります。DaaSを利用することで自然とセキュリティを効果でき、かつセキュリティに関するノウハウも身についていきます。
5. 古いOS・アプリの延命
ハードウェア同様に、ソフトウェアも劣化していきます。ほとんどのソフトウェアは最適なデスクトップ環境上で動作しているものの、OSなどにはサポート期限が必ず存在します。サポート期限が切れたOSを使い続けるとセキュリティ面に大きな問題がは節制し、最新OCに移行する必要がありますが、アプリケーションがそれに対応していないなどの問題が発生します。
DaaSは古いデスクトップ環境を安全に利用するためのサービスもあり、DaaSを利用することで古いアプリケーションの延命になります。業務プロセスへの依存性が強いアプリケーションなどは、DaaS上に移行して利用することをおすすめします。
6. リモートワークやテレワークの推進
DaaSには、インターネットに繋がりさえすれば、あらゆる場所からアクセスできるメリットがあります。エンドポイント端末からDaaSにアクセスすることで、いつでもどこでも自身のデスクトップ環境にアクセスできるため働き方改革に最適なソリューションとして注目されています。
DaaSもいろいろ!サービス選びは慎重に
以上のように、DaaSにはさまざまなメリットがあり、従来のVDI構築に比べて容易に導入できるメリットがあります。ぜひ、DaaSの検討をしていただければ幸いです。
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