大規模な仮想環境とファイルサービスのクラウド移行

 2020.03.09  伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

オンプレミスの大規模仮想環境をパブリッククラウドに移行する場合、これまでと同じ運用の継続や、大量のデータをどのようにパブリッククラウドに持って行くかなどが課題となります。

AWS環境やMicrosoft Azure環境への移行を検討している場合、VMware社とNetApp社の持つソリューションを組み合わせることで、その課題を解決することができます。

本記事ではNetApp社が提供するCloud Volumes ONTAPを中心に紹介していきます。

大規模な仮想環境とファイルサービスのクラウド移行

大規模仮想環境のクラウド移行時の課題

数十台、数百台の仮想マシンが稼働しているような大規模な仮想化環境をパブリッククラウドに移行するケースが増えています。オンプレミス環境では、障害対応が大きな負荷となる他、運用管理業務の増加、ITスキルの継承なども課題になっています。これらのクラウドシフトによる解決は、“攻めのIT”を求める経営層のニーズとも合致しています。

一方で、これまで大規模環境のクラウド移行が後回しにされてきた理由もあります。オンプレミス環境の仮想マシンはクラウド上ではそのまま使えない、ネットワークのレイテンシや帯域幅などです。その中でも最初に起きる最大の課題は、「どうやって移行するのか」という、移行手法そのものです。

オンプレミスの仮想環境は、大きく仮想マシンそのものと、仮想マシンが使用するデータ保存領域(ファイルサーバ領域)の二つに分かれており、両者をまとめて移行する必要があります。どちらか一方だけを移行しても、システムとして移行したことにはなりません。

VMware Cloud(VMC)とCloud Volumes ONTAP(CVO)で簡単移行

この課題を解決するのが、VMware Cloud on AWS(VMC)とCloud Volumes ONTAP(CVO)です。

仮想マシン領域はVMC、仮想マシンが使うデータ保存領域はCVOを用いて、簡単に移行することが可能となります。

VMware Cloud on AWSは、Amazon EC2ベアメタルインスタンスを利用したIaaSサービスです。オンプレミス環境と同一のハイパーバイザを利用するため、仮想マシンOSの入れ直しやアプリケーション改修は必要ありません。VMware HCXによってL2延伸を行うため、オンプレミス環境とクラウド環境でvMotionが可能です。更にAWSネイティブサービスとも25Gbpsの高速通信で連携します。

VMware Cloud(VMC)とCloud Volumes ONTAP(CVO)で簡単移行 1

図1 . VMware Cloud on AWS 概要図 (出典元:ヴイエムウェア株式会社)

Cloud Volumes ONTAPはこれまでオンプレミスで動作していたストレージOS「ONTAP」を、パブリッククラウド上のリソースで動作させるストレージソリューションです。NFS、SMB、iSCSIといったマルチプロトコルに対応しているだけではなく、オンプレミス同様にSnapshot、SnapMirror、FlexClone、FabricPoolなどの機能が使用できます。

VMware Cloud(VMC)とCloud Volumes ONTAP(CVO)で簡単移行 2

図2 . Cloud Volumes ONTAP 概要図 (出典元:ヴイエムウェア株式会社) 

データ保存領域のクラウド移行検証

本項では「データ保存領域」に焦点を当て、以下の2つのシナリオを想定し、CVOの検証結果をご紹介します。

  1. 本番用途:クラウド上へデータ移行を行い、本番環境として利用する
  2. 災害対策用途:オンプレミス環境からのレプリケーション先として利用する

パブリッククラウド環境にはさまざまなストレージサービスが存在しており、AWSであれば「本番用途には高速な処理速度を実現するEBS」を、「災害対策用途には安価なS3を利用する」、といったことが考えられます。CVOはこのような「使い分け」を自動階層化ポリシー(表1)として実装しており、用途にあわせてポリシーを切り替えることで、どちらのニーズも満たすことが可能です。

ポリシー名 データ保管場所 機能
A II EBS + S3 ユーザデータはすべてS3に、メタデータはEBSに格納
Auto EBS + S3 時間経過によりアクティブなデータとSnapshotをS3へ格納
Snapshot-only EBS + S3 時間経過によりSnapshotをS3へ格納
None EBSのみ すべてのデータをEBSに格納

表1 . 自動階層化ポリシーの種類

「本番用途」での設定・動作確認

オンプレミス環境のデータを、SnapMirror機能を用いてクラウド環境へデータ移行します。

データ移行先のボリュームはEBSのみで構成し、本番環境で必要な性能を確保することにします。

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CVOの管理ツールであるCloud Managerを用いて、転送先ではデータ階層化を無効化します(図3)。

  • S3 Tiering:Disabled

データ保存領域のクラウド移行検証 1

図3 . データ階層化を行わないCVOのボリュームの設定

実際に10GB程のユーザーデータをSnapMirror機能でCVOのボリュームにデータ移行すると、

  • Tiering Policy:(すべてのデータをEBSに格納)
  • EBS Used:9.62GB

となっていることが確認できます(図4)

データ保存領域のクラウド移行検証 2

図4 . データ階層化を行わなかったボリュームステータス

「災害対策用途」での設定・動作確認

オンプレミス環境のデータのレプリケーション先としてCVOを使用します。

レプリケーション先のボリュームはコストを抑えるため、低コストなS3を使用した階層化構成をとります。

Cloud Managerを使用し、今度は自動階層化機能を有効化します(図5)。

  • S3 Tiering:Enabled

データ保存領域のクラウド移行検証 3

図5 . データ階層化を行うCVOのボリュームの設定

先ほどと同様に10GB程のユーザーデータをCVOに作成したボリュームにSnapMirror機能でレプリケーションすると、

  • Tiering Policy:All(ユーザーデータはすべてS3に、メタデータはEBSに格納)
  • EBS Used:135.35MB
  • S3 Used:9.54GB

となっていることが確認できます(図6)。

データ保存領域のクラウド移行検証 4

図6 . データ階層化を行ったボリュームステータス

「災害発生時」の動作確認

オンプレミスで障害が発生してボリュームが使用できなくなった場合、Cloud ManagerからSnapMirror関係を解除することで読み取り専用となっていたCVO上の転送先ボリュームを読み書き可能にできます。

データ保存領域のクラウド移行検証 5

図7 . SnapMirror解除を実行

ボリュームが読み書き可能になると自動階層化ポリシーはAllからAutoに自動で変更されますので、ユーザー側で明示的に自動階層化ポリシーの再設定は必要ありません。

データ保存領域のクラウド移行検証 6

図8 . SnapMirror解除した後のボリュームステータス

SnapMirrorにおける帯域制御

データ移行の主な要件として、現在稼働中のサービスに対して影響を最小化したい、というものがあります。

この要件を実現する機能として、SnapMirrorは必要に応じて転送に利用する帯域を制限することで現在稼働中のサービス影響を最小化できます。

初期転送の実行時あるいは差分転送の実行前に、帯域制御を行うか無制限にするかを設定します。なお転送途中でSnapMirrorの帯域制御を行うにはコマンドラインでの設定が必要となります。

データ保存領域のクラウド移行検証 7

図9 . SnapMirror初期転送時の帯域制御設定

SnapMirrorの帯域制御を5MB/sに設定した際の転送レートログが下記になります。

コマンドラインからAdvanced権限にて実行したstatistics show-periodicコマンドより抜粋しております。

vmc_cvo::*> statistics show-periodic

total recv total sent data busy data recv data  sent
5.49MB 0B 100% 5.49MB 0B
5.27MB 0B 100% 5.27MB 0B
5.35MB 0B 100% 5.35MB 0B
5.29MB 0B 100% 5.29MB 0B
5.30MB 0B 100% 5.30MB 0B
5.27MB 0B 100% 5.27MB 0B
5.27MB 0B 100% 5.27MB 0B
5.40MB 0B 100% 5.40MB 0B
5.27MB 0B 100% 5.27MB 0B
5.25MB 0B 100% 5.25MB 0B
[SMART_CONTENT]

まとめ

本記事ではオンプレミスの大規模仮想環境をクラウドへ移行するにあたり課題となる「どうやって移行するのか」を解決するソリューションとして、VMware社のVMC、NetApp社のCVOを紹介しました。

仮想マシンの移行はVMCのHCX機能でL2延伸を行い、vMotion機能を用いることで、一方データ保存領域の移行はオンプレミスのONTAPからクラウド上のCVOへSnapMirror機能を使用して実現できました。

また単にデータを移行するだけではなく、自動階層化機能によるクラウドストレージコストを最適化や、帯域制御機能により転送中のサービス影響を最小化することも可能です。 これらの操作はGUIから簡単に実行できますので、管理者の負荷軽減にもつながります。

CTCでは、NetApp社 Cloud Volumes ONTAP、VMware社 VMC on AWSともに販売実績があり、多様なニーズにお応えできますのでぜひご相談下さい。

 

お問い合わせ:

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社

Mail:mrc-mvr@ctc-g.co.jp

住所:〒141-8522 東京都品川区大崎1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー

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