「データを管理すること」がどれほど重要かを理解していながらも、それに取り組めていない企業はたくさん存在します。昨今では「データ分析」や「データ活用」というキーワードを耳にしない日はないほど、データが身近なものとして存在していますし、データ管理がビジネスに大きなインパクトを与えることは事実です。
これからの時代、データを上手く扱えるかどうかがビジネス成功のカギを握っていると言って過言ではありません。そこで本稿では、データ管理の基本について整理し、その必要性について解説していきます。「データって何が重要なんだろう?」と疑問を持っている方は、ぜひ参考にしてください。
データ管理とは?
「あなたの会社ではデータ管理を徹底できていますか?」と質問を投げかけたとして、多くの方は「しっかりとできている」と回答します。もしくは「情報システム部門がしっかりとやっているはず」と答える方もいるでしょう。しかし、その多くは、実際はデータ管理が徹底されていないと言われています。そもそも、データ管理とは何でしょうか?
多くの方がデータ管理を「日々生成されるデータをファイルサーバーやストレージ、データベース等に格納すること」と誤解しています。つまりデータ管理ができているのではなく、データの保管ができているにすぎません。とすると、データ管理では何をするのか。
データをファイルサーバーやストレージ、データベース等に格納することもデータ管理の一部ですが、すべてではありません。データ管理はそれ以外に以下のような要素を含みます。
- データをいつでも活用できる状態にする
- データを素早く検索できる状態にする
- データが長期的の保存できる状態にする
- 不要なデータを削除できるように把握する
このように、一言にデータ管理といっても、その内容は多岐にわたります。データを保管することは管理とは言えません。管理に加えて様々な要素をしっかりと盛り込むことにより、初めてデータ管理だと言えます。
データ管理に必要な作業
データアクセス
どこに保存されているデータでも、その所在を簡単に特定して取得できる機能を実装します。専用のテクノロジーを活用することにより、データアクセスを可能な限り簡単に、効率的なものにできるでしょう。
データ品質
保管されているデータが正確であり、なおかつ利用目的に適している状態を確保するための作業です。
データ統合
異なるタイプのデータを組み合わせます。データ統合ツールを活用することで、この作業を自動化できます。
データ連携
複数ソースのデータを組み合わせる際に、個々のデータを新しい場所に移動して保存し直さなくても組み合わせた状態を把握できるようにします。
データ・ガバナンス
組織のデータを適切に管理して、データ戦略とビジネス戦略の連携を図り、そのためのルールや規定を設けます。
マスターデータ管理
あらゆる領域にて共通して使われる必須データのすべてを定義し、統一管理するための仕組みです。
データ・ストリーミング
絶え間なく生まれるデータを受信しながら同時に利用していくための作業です。
データ管理はなぜ必要なのか?
企業の中には、データ管理を実施していなくても経営活動を最適化している企業も存在します。そのため、「データ管理は本当に必要なものなのか?」と疑問視している方も多いかもしれません。ただし、データ管理無しに経営している企業にも理由があり、データ管理の必要性はしっかりと理解しておくことが大切です。
1.非効率が残る業務プロセスの改善
企業には多くの業務プロセスが走っています。しかしながら、それらのすべて効率的に動いているかというとそうではありません。ほとんどの企業では業務プロセスに非効率が残っており、これを発見し、改善するためにデータ管理が使われています。
2.無駄を把握してコスト削減に繋げる
データ管理を実施し、必要なデータを必要な時に引き出して分析できる環境を整えておくと、企業の中の無駄を把握できます。たとえば原価の無駄を把握して適正原価を維持するよう取り組めば、コスト削減に繋がり、最終的には利益増になります。
3.意思決定の質とスピードを高める
データ管理が昨今重要視されている最大の理由は、データ分析を実行することで経営や管理に関する意思決定スピードを高めつつ、データにもとづいてアクションを取ることで経営活動を最適化できることです。データ管理を徹底していれば、経営者や意思決定者が欲しい情報を欲しいタイミングで手にすることができ、意思決定の質とスピードが高められます。
4.IT部門と業務部門の連携を高める
データ管理が徹底されている企業ではIT部門と業務部門の連携が高まり、ビジネス目標を効率良く達成するための基盤が整っていきます。
5.グローバル全体で経営状況を可視化する
海外進出している企業の多くは、グローバル全体での経営情報可視化に苦慮しています。現地法人で使われるシステムが本社とは異なるため、データの変換や加工に時間がかかり過ぎ、経営情報可視化に多大な時間を費やします。一方で、データ管理が徹底されている企業ではグローバル全体での経営情報可視化が行われ、それに応じた経営戦略を立てることが可能になります。
6.ストレージコストを最適化する
データ管理が徹底されていない企業では、管理すべきデータが管理されていないだけでなく、廃棄すべきデータが残っていることが少なくありません。そうしたデータはストレージコストを圧迫し、次第に経済状況も圧迫します。ストレージコストを削減するためにも、データ管理を徹底してライフサイクルを回すことが大切です。
このように、データ管理は企業にとって様々な重要性を持ちます。従って、データ管理が徹底できていない企業では経営課題が多く残されているのです。
データ管理を徹底していなくても経営活動を持続している企業というのは、大方が中小零細企業です。日本企業の99.7%は中小零細企業なので、データ管理を徹底しなくても健全に経営している企業がたくさん存在しているように思えますが、そのような企業においてもデータ量が加速して増大する昨今においてデータ管理は必要不可欠になります。
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データ管理を行うにはどうすればよいのか?
では、データ管理を徹底するには何を実施すればよいのでしょうか?理想は、データ管理に特化したソリューションを導入し、簡単かつ効率的にデータ管理を実施することです。しかしながら、データ管理を実施するにあたって極力コストをかけたくない企業もあるでしょう。そこで、今日から始められるデータ管理についてご紹介します。
1.会社にとって重要なデータを定義する
データ管理で大切なことは、会社にとって重要なデータだけを管理する環境を整えるということです。定義には少し時間がかかりますが、慎重に行うことでデータ管理の指針を作ります。
2.データを管理する際のルールを決める
データ管理のルールは土台になります。ルールに沿って管理するからこそ、適切なデータ管理が実現するでしょう。
3.データの種類ごとにライフサイクルを決める
データは発生・保管・活用・保存・廃棄というサイクルを持ちます。種類ごとにライフサイクルを決めることで、より良いデータ管理が実現します。
4.データ管理を統括する部門・担当者を配備する
データ管理に関するルールが徹底されているかどうかを監視する部門・担当者を配備しましょう。
5.データ管理について定期的に進捗会議を行う
データ管理がどのような状況なのか、簡単にでも構わないので定期的に進捗会議を行っていきます。
以上のプロセスを持って、データ管理をぜひ実施してみましょう! その際にはネットアップに相談いただければ嬉しいです。
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