各企業では、事業全体でデータの処理能力を一元化するために、データセンターと呼ばれるものを運営しています。企業情報システムに携わる人であるなら、データセンターがどういった機能を果たしているかご存知かと思います。今回は、そのデータセンターというものがどういったものか具体的にご紹介します。
データセンターの基礎知識
そもそもデータセンターとは、ネットワーク機器やサーバーが設置されている建物の総称を表します。データセンターでは、大量のデータを格納・管理を行っています。データセンターのインフラストラクチャは、コンピューティングやストレージシステム、ネットワークデバイス、予備電源といったハードウェアコンポーネントやアプリケーション、オペレーティングシステム、管理ソフトウェアといったソフトウェアコンポーネントで構成されています。
少し難しい言葉が並びますが、データセンターを運営するためには、数多くの要素が必要となるという程度に覚えておきましょう。ちなみに、インフラストラクチャとは、土台や基盤の意味として知られるインフラのことです。もう一方のコンポーネントは、部品・パーツのことを表します。簡単に説明してしまうと、目に見えるハードウェアと目に見えないソフトウェアのパーツによってデータセンターは、構成されているということです。
データセンターを支える中核的要素について理解する
データセンターを安全に機能させるためには、5つの中核的要素についての理解が欠かせません。中核的要素について確認していきます。
ネットワーク:データセンターは、ネットワークで結ばれているため、様々なデバイス間でスムーズな通信を行うことができます。
ストレージ:データセンターは、データの格納庫としての機能を果たす必要があるため、データを永久的に格納し、あとから使用できるようにストレージデバイスが搭載されています。
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ホストまたはコンピュート:データベースやアプリケーションを実行するためにはハードウェアやファームウェア、ソフトウェアからなるコンピューティングプラットフォームが中核的要素として必要です。
DBMS:DBMS(database management system)とは、データベース管理システムのことで、データ内を論理的に構成し、相関関係にある複数のテーブルにデータを格納するために利用される構造化された手法を提供するシステムのことです。基本的に外部からの要求を受けて、データベース内のデータを操作する仕組みだと理解しておくと良いでしょう。
アプリケーション:データセンターにおけるアプリケーションは、計算処理のロジックを提供するコンピュータープログラムとして稼働しています。
これらの中核的要素は、それぞれに固有の機能をもっており、データの処理要件を満たすためには、それら全ての要素が協力し作業にあたる必要があります。
データセンターの特性について
ビジネスを成功に導くためには、データセンターが途切れることなく稼動している必要があります。企業としてはデータに常にアクセス可能な状態が保てるよう、信頼できるインフラを利用しなければいけません。今回はストレージシステムに着目し、データセンターとしてどのような要件を満たす必要があるのか説明します。
可用性
データセンターとしての機能を果たすためには、要求された情報を常に提供できる状態でなければいけません。例えば、電気通信事業や金融サービス、仮想通貨などの電子通貨取引などでは、情報が常に取得できなければサービスの利用者に対して損害を与えてしまう可能性があります。
セキュリティ
データセンターでは、情報への不正アクセスを防止するためのポリシーや手続き、及び中核的要素の統合が確立されていなければいけません。
もっと見る:ストレージのセキュリティ技術概要
パフォーマンス
データセンターとして、各企業の要求に応じた高いパフォーマンス性が要求されます。
スケーラビリティ
ビジネスの成長に伴ってデータベースやサーバーの追加、新しいアプリケーションの導入がたびたび必要になります。その際、データセンターは、中断することなく要件に応じて拡張できる必要があります。
データの完全性
データの完全性とは、ECCやパリティビットと呼ばれる仕組みを利用してデータが受取った通りの状態で格納され、取得できるようにすることを意味しています。
キャパシティ
データセンターを運営するためには、大量のデータを効率的に処理格納するためのキャパシティが必要です。データセンターのキャパシティを妨げることなく最小限の中断でキャパシティを追加していく必要があります。
管理可能性
データセンターは全ての情報を統合的に管理できなければいけません。管理可能性は主要なタスクを自動化し、オペレーターの介入を減らすことによって実現できます。
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データセンターへ委託するメリット
データセンターを利用するには、自社で構築する方法と事業者が提供するデータセンターを利用する方法の2つがあります。
ここでは事業者が提供するデータセンターを利用する場合のメリットに関してご紹介していきます。
システムにとって最高の環境が用意される
狭いオフィス空間でサーバーを運用すると、放射熱によって室内温度が上がり、出社したら故障していたという経験をされた方もいるのではないでしょうか?データセンターでは、サーバーなどを冷却するための空調設備が整えられており、安定した電力が供給されるようになっているため、放射熱などによって故障するということがありません。仮に、何か問題が発生しても継続運用が可能なように仕組みが導入されています。
停電や地震などの災害に対して対策がある
データセンターは、地震や停電などが発生したとしても、災害に対する影響などを受けないような建築構造になっています。通常のオフィスビルよりも耐震強化を行っているため、地震による影響などを受けづらくなっています。また、停電が発生したとしても、UPSと呼ばれる無停電電源装置によって電力が供給されるようになっていますので、システムが停止するということはありません。
専門業務に集中できるようになる
社内サーバーを安定して運用するためには、膨大な維持コストとトラブルに対応するための深い知見が必要です。データセンターでは、運用費用などを集約化することで、安い費用でサーバー環境を運用できるようになっています。つまり、データセンターに業務委託をすることで、社内で管理する手間を省き、コストを最小限に抑え、各個人が自分の業務に集中できるようになります。
高いセキュリティ性が約束される
データセンターのセキュリティは、24時間365日万全な状態となっています。あらゆるアクシデントに瞬時に対応するために24時間の有人監視や監視カメラによる監視、通行人に対する生体認証、非接触型のICカードなどを導入することで高いセキュリティ性を維持しています。
サーバーの管理等は、データセンターに委託しよう
データセンターは、サーバー機器などを運用する場所として非常に優れた環境です。多少の運用コストはかかりますが、様々な問題に対する対処や安全性、コスト削減、高いセキュリティ性など、色々なメリットがありますので、データのあり方について見直してみてはどうでしょうか。
まとめ
データセンターについての基本的な内容に関してご紹介しました。企業が管理するデータは、IoTやコンシューマライゼーションなどにより益々増加傾向にあります。そして、その全てのデータが企業の資産ですので、企業は堅牢なデータセンターでそれらを保護しながら有効活用する必要があります。このような背景からデータセンターは不可欠なものとして重要性を増していくことは間違いありません。
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