バックアップとアーカイブの違い

 2019.04.15  2023.05.10

企業を取り巻くデータの潮流、「データの大容量化」と「データ価値の向上」はあらゆる企業を進化させる要素の一つとして注目されています。しかし、その一方でこれらのデータを柔軟かつ適切に管理できるかどうかは多くの企業において課題になりつつあります。

データを安全に管理する方法として「バックアップ(Backup)」または「アーカイブ(Archive)」という2つの選択肢があります。もしかしたら、これらのデータ管理方法を混同している方も多いでしょう。本稿では、バックアップとアーカイブの違いを明確にし、これからのデータ管理に大切なポイントについて言及していきたいと思います。

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バックアップとは?

バックアップはシステム障害等が発生した際に、システムを復旧することを目的に、現在稼働中のシステムからデータの複製を作り、それを別のストレージサーバーや記録メディア(磁気テープや光ディスク)に管理する方法です。

システム等に障害が発生すると、何らかのデータが損失してしまう可能性があります。特に重要データを損失してしまった場合は、システム復旧までのかなりの時間がかかる場合もあります。システムと業務プロセスが高度な依存関係にある現代ビジネスにおいて、システム停止は死活問題です。

そこで、システムデータがバックアップとして保管されていれば、バックアップデータを基にシステムを復旧することができ、バックアップを取得した時点まで回復させることができます。

バックアップの基本は「差分バックアップ」と「増分バックアップ」です。

差分バックアップ

初期バックアップデータと比較し、変更が生じたデータすべてをバックアップするのが差分バックアップです。たとえば初期バックアップを行ったのをゼロ日目として、その5日後にAという新しいデータのまとまりをバックアップしたとします。さらに5日後、Bという新しいデータのバックアップを取得する際に、Bだけをバックアップするのではなく、前回バックアップしたAも含めてバックアップを行います。そのため、初期バックアップから10日後にはA&Bというバックアップファイルが管理されることになります。

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差分バックアップは非常に確実性の高いバックアップ方法です。たとえば、A&B&Cというバックアップデータが存在しているとして、システム障害によって過去に保存したA&Bというバックアップデータが破損しても、A&B&Cからシステムを復旧することができます。その変わり、バックアップの度にデータが増えるためストレージは圧迫されます。

増分バックアップ

初期バックアップと都度発生するバックアップデータを比較して、変更が生じた部分だけを保管するのが増分バックアップです。たとえば初期バックアップを行ったのがゼロ日目だとして、その5日後にAという新しいデータのまとまりをバックアップしたとします。さらに5日後にBという新しいデータのまとまりをバックアップする際に、Bだけを保管します。バックアップデータファイルにはAとB、それぞれ個別のバックアップデータが存在することになります。

増分バックアップはデータ管理の効率性が高く、必要なデータだけを個別に保管するためストレージを圧迫しません。しかし、何らかのシステム障害によって特定のバックアップデータが破損すると、データの整合性(データ同士の繋がり)が取れず、システム復旧が困難になる可能性があります。

クラウド バックアップサービス比較6選!(企業向け、個人向け)」もご参考にしてください。

アーカイブとは?

では、バックアップと比べてアーカイブにはどのような特徴があるのでしょうか?まず、アーカイブ(Archive)は日本語で「書庫」という意味を持つ言葉です。書庫は書類を管理するための倉庫であり、一般的には頻繁に使用する書類を保管するのではなく、頻繁には使用しないが長期的に保存しておきたい書類を管理する場所となります。

アーカイブはまさにこの書庫と同じです。頻繁に利用することはないが、長期的に保存することが義務付けられていたり、それが会社のルールだったり、原本として長期保存しておきたいデータを管理するために使用します。

アーカイブの目的はデータの長期保存を実現しつつ、ある程度の検索性を保ち、いつでも必要なデータを引き出せるようにしておくことです。企業には法定保存義務のあるデータや書類がたくさん管理されていますが、それを頻繁に使用するデータや書類といっしょくたに管理していると、データ管理とデータ活用の効率性が低下してしまいます。

そこで、長期保存義務があったり、頻繁に使用しなかったりするデータは通常のデータ管理方法とは異なる方法で管理するのです。一般的に、アーカイブはHDD(Hard Drive Disc)やSSD(Solid State Drive)、磁器テープなど可読性と耐久性の高い保管方法でデータを管理します。

アーカイブが必要とされている大きな理由が、近年重視されているコンプライアンス(Compliance)への対応があります。昨今は、世界的に大企業等の不正発覚が相次ぎ、内部統制に関する法令が強化されたり、税務署の目が厳しくなったり、企業はいつ何時でも要求された情報を速やかに提出することが前提とされています。

昨年にはEU域内でGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)が施行され、EC域内に事業所を置く企業、EC域内住民にサービスを提供する企業、EC域内住民のデータを取り扱う企業は海外企業であってもGDPRの対象になります。GDPRでは個人情報保護に関する取り締まりが一層厳しくなっています。

情報流出を防いだり、必要な情報を必要な時に揃えたり、年々厳しくなるコンプラインス対応要件をクリアするためにも、データアーカイブが重要だと考えられています。

もっと見る:Microsoft 365などのSaaS環境でもバックアップが必要?その意味とは

バックアップもアーカイブも、適切なソリューション選びが大切!

世界のデータ量はここ10年間で10倍に膨れ上がっています。さらに、世界中のデータの8割は、直近2年間で生まれているというほど、急速にデータ量は増加しており、それは企業にとっても同じことが言えます。無限に増え続けるデータを前に、バックアップやアーカイブを手動で行うことは、非効率的であり、適切な管理が行えなくなります。

従って、大手企業を中心に多くの企業がバックアップやアーカイブのためのITソリューション導入に取り組んでいます。企業内のデータ管理場所に連携し、バックアップ先やアーカイブ先と連携し、管理者が指定したルールに従ってデータを移行したり、保存したり、バックアップを取ったり、ライフサイクルを管理したりします。

これからの時代、バックアップもアーカイブも最適化するためには、企業環境に適したITソリューションを選択することが大切です。ネットアップでは、現代社会のニーズに適したバックアップおよびアーカイブソリューションを提供しています。データ管理の方法を考え、バックアップとアーカイブに方法についても検討していただきたいと思います。

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