ファイルサーバー移行の目的と失敗しない方法とは?

 2018.03.12  2022.04.08

情報システム部門業務の中でも、ファイルサーバー移行はかなり骨の折れる作業です。ファイルサーバーには企業の重要情報が多く保管されているので、万が一データを損失してしまうなどの問題が起きれば、業務に支障をきたしかねません。加えて、移行が時間通りに完了しなければ、これもまた業務に支障をきたしてしまいます。

ファイルサーバー移行は計画的に行わない限り、多くのリスクが潜んでいるのです。今回は、ファイルサーバーを移行する目的から方法までをご紹介します。

ファイルサーバー移行の目的

ファイルサーバーを移行するという行動は、そこに何らかの課題や目的があります。主な目的としては、次のようなものがあげられます。

ハードウェアが古くなった

ファイルサーバーとして稼働しているハードウェアが古くなると様々な問題が起きます。最も大きな問題はハードウェアやオペレーティングシステム(OS)のサポート切れです。例えば、Windws Server 2008および2008 R2は、メインサポートが2015年1月13日に終了しており、延長サポートは2020年1月14日をもって終了します。

メインサポートと延長サポートの違いは、仕様変更や機能追加などのサポートの有無です。メインサポートが仕様変更、機能追加、セキュリティ更新をサポートしているのに対し、延長サポートはセキュリティ更新のみをサポートしています。

Windws Server 2008および2008 R2は2年以内にセキュリティ更新もストップしてしまうため、現在同Serverを利用している企業では買い替え時期にあります。

ハードウェアが古いことで起きるもう一つの問題がパフォーマンスの低下です。一企業で扱うデータ量が多くなった現在、レガシーなファイルサーバーでは大量かつ高速なデータのやり取りについていけず、ファイルサーバーとしてのパフォーマンスが大きく低下します。

ファイルサーバーのパフォーマンスが低いということは、組織の生産性も下がるということです。

パフォーマンス向上のために

稼働しているハードウェアが比較的新しいものでも、パフォーマンス向上やセキュリティ向上のために移行するケースもあります。たとえばWindows Server 2012とWindows Server 2016では、サポートされる仮想マシンメモリが12倍差(1TBと12TB)も開きがあったり、セキュリティ機能が向上していたり最新のWindows Serverでは多くの改良点が加えられています。

そのため、ハードウェアやOSを最新のものに買い替えることで、簡単にパフォーマンス向上やセキュリティ向上ができるため、ひいてはファイルサーバーのパフォーマンス向上に繋がります。

また、最近では超高速なオールフラッシュストレージの価格も低下傾向にあるため、従来では考えずらかったオールフラッシュストレージも選択肢になります。

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運用管理性の向上のために

従来からあるファイルサーバーは、概ね分散されている傾向にあります。例えば部門のファイルサーバーや拠点のファイルサーバーなど多くのファイルサーバーをかける企業が存在します。

情報システム部門としては、それら分散されたファイルサーバーをガバナンスやコンプライアンスに遵守した上で管理すること非常に困難な状況です。セキュリティの確保、管理の容易さを考慮した場合には統合環境によるファイルサーバーの提供が必要になるでしょう。

コスト削減のために

例えば分散された環境にあるファイルサーバーは、コスト高になる傾向にあります。ファイルサーバーAは、ストレージ容量の10%しか使っていないのに、一方のファイルサーバーBのストレージが一杯になり買い換えるなどの無駄が発生しています。企業にとって遊休資産ほど無駄なものはありません。これらを排除するために統合ファイルサーバーを構築してコスト削減を測る企業が多いのも頷けます。

クラウドコンピューティングの活用

クラウドコンピューティングはインターネット上で提供されるサービスで、従量課金制で料金が発生するため「適正コストを保てる」というメリットがあります。インターネット通信速度が向上したことで、このメリットに着目しクラウドストレージを活用するケースも増えています。

ファイルサーバーがインターネット上にあれば、社外からでもアクセスできるためユーザーの利便性が向上します。

以上の他にも様々な課題や目的によって、ファイルサーバーを移行する企業もあります。

Cloud Volumes ONTAPを使用してマルチクラウドのデータ保護を実現するNetApp HCI
Cloud Volumes ONTAP : クラウドベースのデータ管理サービス

ファイルサーバー移行方法と注意点

ファイルサーバーの移行方法は「ベンダーやシステムインテグレーターに依頼する」か「自社で行う」の2通りです。

第三者に依頼する場合、当然ながらコストがかかります。しかし、ファイルサーバーに保管されているデータは企業において重要な資産ですから、しっかりとベンダーやシステムインテグレータの実績やサービスを見極めて依頼すると良いでしょう。

自社で行う場合、豊富な知識を持ったエンジニアが不可欠です。ただしファイルサーバー移行はそこまで高度な技術を必要としないと言われています。システムベンダーに依頼するよりも安く済み、早く終わるのでサーバー管理者がいる場合は自社で行う方がメリットは高いかもしれません。

では、ファイルサーバー移行ではどういった点に注意すればよいのでしょうか?

必ずデータバックアップを取る

ファイルサーバー移行中に障害が発生すると、移行しようとしているデータが破損してする可能性があります。その際にデータバックアップを取っていないと、破損したデータが完全に失われてしまいます。最悪の場合、ファイルサーバー内のデータがすべて破損するリスクも少なからずあるため、ファイルサーバー移行前にデータバックアップを必ず取りましょう。

移行データの優先順位を付け、段階的に移行する

ファイルサーバーからファイルサーバーへ、移行するデータには優先順位を付けて移行作業にあたると効率良く移行を完了できます。特に業務に重要なデータは必ず優先的移行して、日常業務に支障をきたさないよう努めましょう。段階的に移行することで、ファイルサーバー移行作業が予定時間に終わらないという問題も回避できます。

転送速度を監視する

ファイルサーバー移行作業中はサーバーの転送速度、いわゆる負荷が変動します。大きいファイルを移行するときほど負荷が大きくかかるので、確実に監視していないと思わぬところで問題が発生するため、移行作業中は必ず転送速度を監視して負荷のバランスを調整しましょう。反対に、サーバーにかかっている負荷が想定以上に低い場合は、さらにコマンドを実行して作業時間を短縮するとよいでしょう。

バックアップ計画を見直す

例えば分散環境下で運営されていたファイルサーバーなどは、それぞれ異なるバックアップ基準で運用されている場合がほとんどでしょう。各部門や拠点の担当者が、適当にやっていたというケースも少なくありません。もし、情報システム部門が主導してファイルサーバー統合を行う場合には、今まで以上のサービスレベルを保証するためにバックアップ計画を見直すことになるでしょう。

教育/アナウンス

ファイルサーバーを移行したことによって今までと違う方法でアクセスしなければならない場合には、ユーザーにアクセス方法を伝達する必要があります。教育やアナウンスは行こう計画の中でしっかりと盛り込むと良いでしょう。

以上の注意点をいくつかご紹介しました。

関連記事:ファイルサーバーとNASの違い

ファイルサーバーをNASに移行する企業が増加中

皆さんはNAS(ネットワークアタッチドストレージ)というストレージ機器をご存じでしょうか?これはネットワーク上に設置する外付けHDDのような役割で、同じネットワークにあるデバイスからアクセスしてファイル共有スぺースとして活用できます。

ストレージ専用ソフトウェアが搭載されたNASは、今までのファイルサーバーとは比べ物にならないほどの機能性を有します。

例えばNetAppが提供するNASでは、ONTAP搭載のストレージ システムにおいて数テラバイトから172ペタバイトまで透過的な拡張が可能です。そして、必要に応じてSSDやHDDの容量を追加してスケールアップできるため容量不足に陥ってもすぐに拡張可能です。また、スケールアウト構成や高度な圧縮技術、暗号化技術も兼ね備えているため最高のファイルサーバー環境を手に入れることができるでしょう。

ちなみに大容量のNAS機能を提供するNetAppであれば、単一のネームスペースを20PBまで拡張でき、ファイルを4,000 億個まで保存できます。正直、十分すぎるかもしれませんがIoTビッグデータなどを考慮する企業においてはNetAppがそれらも同時に支えてくれるでしょう。

ONTAP CloudでパブリッククラウドをNASにする

また、AWSなどのパブリッククラウドをファイルサーバーとして利用したい企業向けにはNetAppが提供するONTAP Cloudも有効です。

ONTAP Cloudは、世界シェアNo.1のストレージ オペレーティング システムであるNetApp ONTAPのパブリッククラウドで利用可能なソフトウェアアプライアンスです。ONTAP CloudはNFS、CIFSをサポートしており、ONTAP CloudのCloud Managerから簡単な操作でファイルサーバーを構築することが可能です。

暗号化機能、重複排除機能といったNetAppが誇るさまざまなエンタープライズ向け機能の充実も優れた点と言えます。

また、iSCSIもサポートしているため、Microsoft Failover Clusterなどに共有ディスク領域を提供でき、パブリッククラウド上でOSレベルのクラスタリング環境を実現させることも可能です。

ONTAP Cloudはテスト・開発環境にも有効

テストおよび開発環境を自社内で構築する場合、ある程度の規模の環境を用意する必要があるため、時間とコストを必要とします。また並列でテストや開発を行えば行うほどデータコピー時間やデータ量が2倍3倍と膨れあがります。

ONTAP Cloudは、このテスト・開発環境における「時間」と「コスト」を大幅に改善することが出来る様々な機能を提供します。元データからの差分レプリケーション機能や、差分のみを管理する即時作成可能な仮想クローン機能は、従来のテスト・開発サイクルに対しての改革の要となる機能です。

ONTAP CloudはパブリッククラウドにDR環境を即座に構築できる

システム停止からデータを守り業務を継続するためにはDR環境が必要です。

一般的にDR環境は本番環境と同一スペック のサーバを遠隔地のデータセンターに用意するため、膨大なコストがかかります。ONTAP Cloud を利用すればパブリッククラウド上にDR環境を簡単に構築できます。

データ転送時間帯のみパブリッククラウド側のインスタンスを起動させることで、劇的にコストを削減することが可能です。有事の際には パブリッククラウドのサーバインスタンスと組み合わせ、パブリッククラウド上でのサービス再開を実現できます。

ファイルサーバー続行か?NASへ移行か?

現在、ファイルサーバーのハードウェアが買い替え時期だったりライセンスコストに悩んでいような企業は、この機会にNASへの移行を検討してみましょう。

高度な機能を提供するNASなら、従来のパフォーマンスを向上させながらコストを適正化し、より快適かつ経済的なファイル共有スペースを構築できます。また、情報漏洩などのリスクを最小限に止めることもできるでしょう。

皆さんが今抱えているファイルサーバー課題は、NetAppのNASが解決するかもしれません。

はじめてのONTAP

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