ハイブリッドクラウドの特徴やメリット、
選定方法や導入の流れを解説

 2022.07.22  ストレージチャンネル編集部

これまで、オンプレミスのサーバーのみやクラウドのサーバーのみなど、一種類のサーバー環境で運用している企業が多く、システムやデータの重要度・種類により異なるクラウドサービスを組み合わせる方法を導入できていませんでした。そこで近年注目されているのが、オンプレミスや異なるクラウド形態を組み合わせて運用するハイブリッドクラウドです。ハイブリッドクラウドは複数の種類のサーバーを組み合わせるため、それぞれのメリットを享受しつつ、デメリットをうまくカバーできます。
本記事では、ハイブリッドクラウドの概要やメリットとデメリット・ストレージ選定方法について触れた上で、ハイブリッドクラウドの導入の流れやデータファブリックの構築について解説します。

ハイブリッドクラウドとは

ハイブリッドクラウドとは、さまざまなプラットフォーム間でオーケストレーションされたオンプレミスのインフラ・プライベートクラウドサービス・パブリッククラウド(Amazon Web Services[AWS]やMicrosoft Azureなど)で構成されているコンピューティング、ストレージ、サービスが混在した環境のことです。自社の目的に合わせて、それぞれのメリットを有効活用できます。

ハイブリッドクラウドの特徴やメリット、選定方法や導入の流れを解説 01

プライベートクラウドやパブリッククラウド・マルチクラウドとの違い

ではハイブリッドクラウドと、プライベートクラウド・パブリッククラウド・マルチクラウドなど他のクラウド環境にはどのような違いがあるのでしょうか。

1.プライベートクラウドとは

プライベートクラウドとは、「企業専用に構築されたクラウド環境」です。基幹システムや厳重なデータの管理など、企業ごとのポリシーに沿った運用ができるため、セキュリティ面で優れています。
プライベートクラウドは、大きく「オンプレミス型」と「ホスティング型」の2タイプに分類できます。

オンプレミス型のプライベートクラウド

企業内のインフラ設備にサーバーを設置し、サーバー環境を仮想化した上でクラウドとして社内へ機能を提供します。ユーザーは好きなタイミングでシステムにアクセス可能です。また、リソース配分をスケーラブルに行えるため、企業全体としてのIT活用が促進します。

ホスティング型のプライベートクラウド

提供事業者がサービス展開するパブリッククラウド内に、企業専用のプライベート空間を整えます。そのため、サーバーやネットワークといったインフラ設備の管理を、すべて提供事業者に任せられるメリットがあります。

2.パブリッククラウドとは

パブリッククラウドは、いわば「共有するクラウド」です。万人に開かれたクラウドと表現するとイメージしやすいでしょう。企業や個人など、利用したい人が利用したいときに、必要な分のコストを支払って、様々なリソースやサービスを手に入れることができます。OSのバージョン更新や定期メンテナンスなどもクラウド事業者が代行してくれるため、運用の手間やコストの削減が見込めます。ただし、クラウド事業者が提供するサービスを利用するため、カスタマイズ性は低いです。

3.マルチクラウドとは

マルチクラウドは利用する環境に関係なく、複数のクラウドプロバイダーからサービス提供を受けることを指します。複数のパブリッククラウド、複数のプライベートクラウド、あるいはパブリックとプライベートを3つ以上、並行して利用している環境がマルチクラウドです。
ハイブリッドクラウドとマルチクラウドは混合されがちですが、両者の大きな違いは「複数のクラウドプロバイダーからサービス提供を受けるか否か」にあります。

  • マルチクラウド:複数の異なるクラウド事業者のサービスを利用
  • ハイブリッドクラウド:社内のクラウドシステムと社外のクラウドサービスを両方利用

詳しくは以下の記事をご参照ください。
プライベートクラウドとは?ハイブリッドクラウドとの違い
https://www.storage-channel.jp/blog/what-is-private-cloud.html

パブリッククラウドとは
https://www.storage-channel.jp/blog/hybrid-cloud.html

パブリッククラウドとプライベートクラウドの違い
https://www.storage-channel.jp/blog/difference-public-private-cloud.html

マルチクラウドとは?ハイブリッドクラウドとの違いやメリットについて
https://www.storage-channel.jp/blog/multi-cloud

ハイブリッドクラウドインフラ向けにNetApp HCIを選択する8つの理由
ストレージ選びを解決! Azure NetApp Files(ANF)とは?

ハイブリッドクラウドのメリット・デメリット

ハイブリッドクラウドを活用するメリット・デメリットを解説します。

ハイブリッドクラウドの特徴やメリット、選定方法や導入の流れを解説 02

ハイブリッドクラウドのメリット

メリット1.インフラコストの制御

データ量の限りない増加に伴い、企業には継続的なインフラ投資が求められています。そのなかでコスト削減を行うためには、クラウドサービスの利用が不可欠です。しかし、社内のシステムやデータすべてをクラウド化できるわけではありません。
そこで、ハイブリッドクラウド環境を構築することで、社内に残すシステム・データと、クラウド化するシステム・データの住み分けが可能です。これにより、従来よりもインフラコストの制御が行いやすく、コスト削減につながります。

メリット2.セキュリティ要件をクリアできる

厳しいセキュリティポリシーを設定している企業では、クラウドサービスを利用できない場合もあります。しかし、多くのパブリッククラウド事業者は、社運をかけてセキュリティ問題に取り組んでいます。つまり、自社でセキュリティ管理を行うよりも、高度なセキュリティ対策を実施できる可能性が高いです。

メリット3.インフラ管理負担を軽減できる

クラウドサービスは、それを提供するプロバイダがインフラの運用管理を行います。そのため、クラウド化した部分に関しては社内でインフラ管理の必要がなく、IT管理者の負担を大幅に軽減できます。結果として、本来企業が行うべきコア業務に、より集中できる環境を整えられます。

メリット4.柔軟なシステム基盤を構築できる

ソフトウェアによってはライセンス管理の関係上、クラウド化できないものもあります。この時、すべてのシステムをクラウド化しようとすると、新たなソフトウェアを購入しなければならず、多大なコストがかかります。
ハイブリッドクラウドによって従来の環境も一部残しておくことで、不要なコストをかけずかつ柔軟なクラウド基盤を構築できます。

ハイブリッドクラウドのデメリット

デメリット1.システムの構造が複雑

ハイブリッドクラウドは、プライベートクラウドとパブリッククラウドという異なるクラウド環境を構築するため、双方に関する知識や技術が必要です。普段からクラウドに触れているIT技術者なら問題ありませんが、オンプレミス環境でしか構築した経験がないIT技術者であれば、自社に最適なインフラ環境の構築は困難です。

デメリット2.運用が難しい

ハイブリッドクラウドはシステムの構造が複雑なため、社内のIT人材に対して適切な教育を施し、知識や技術を身につけてもらう必要があります。
しかし、知識や技術を身につけても、管理の負担が増えたり、トラブルや不具合の対処に多くのコストがかかったりするおそれがあります。
そのため、ハイブリッドクラウドに精通した人材の確保と、運用や管理体制の構築の試算をしっかりと検討したうえで導入しなければなりません。

ハイブリッドクラウドが持つ課題について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
ハイブリッドクラウドの課題と解決策
https://www.storage-channel.jp/blog/hybrid-cloud-challenges-and-solutions

3. ハイブリッドクラウドの導入方法

ハイブリッドクラウドの導入方法について具体的に解説します。

ハイブリッドクラウド導入時に考慮すべき点

ハイブリッドクラウドを導入する場合、まず以下のような点を確認します。

  • 社内のどのようなデータを扱うのか
  • もっとも大切で社外に漏洩させてはいけないデータはどれか
  • 全社員で閲覧や編集が可能かつ情報漏洩対策を取る必要がないデータはどれか

そして、上記を踏まえたうえでハイブリッドクラウドを構築する際は、

  • ストレージはどれくらい必要か
  • データの監視や管理はどうするか
  • 予算はどれくらいか
  • セキュリティ対策はどうするか

など具体的な内容を検討するとよいでしょう。

ハイブリッドクラウドの特徴やメリット、選定方法や導入の流れを解説 03

ストレージ選定における5つのポイント

企業がハイブリッドクラウド対応の自社に最適なストレージ選定を行うことができれば、運用管理の効率化や高いセキュリティ体制の確立をしながら、データを取得できるようになります。結果として、意思決定の迅速化や、顧客満足度の向上につながり、企業の大きな成長が見込めます。
ストレージ選定において重視したいポイントを5つ紹介します。

ストレージ選定1.企業の情報資産を安全かつ厳重に保管できること

ハイブリッドクラウド環境において、安全性を維持しながら、必要なときに必要なデータを取得できる状態を保つことは必要不可欠です。
そのためには、複数のクラウドにわたるすべてのデータが見える状態を確立し、データセンターの境界を越えてデータ保護方針を実行に移すことが重要です。
今まで同様に安全かつ厳重にデータを保護できる環境を保てるストレージ選定が必要となるでしょう。

ストレージ選定2.分散された環境でも運用管理性を損なわないこと

ハイブリッドクラウド環境によって、これまで利用していたITシステムの監視体制や管理方法が損なわれることは避けなければなりません。そのため、情報システム基盤の監視や分析といった作業が、ハイブリッドクラウド環境全体で機能する必要があります。

ハイブリッドクラウド環境を構成するシステム基盤のパフォーマンスや容量・可用性を適切に監視すると、以下のことを実現できます。

  • トラブルシューティングにかかる時間を減らせる
  • 資産を最大限に活用し、設備投資と運用コストを削減できる
  • コスト管理ができる

企業は、ハイブリッドクラウド環境でデータを統合管理するハイブリッドクラウドストレージを利用した場合、今までと同様の運用管理が必要です。
そのためには、ハイブリッドクラウド環境の分散された環境でもデータのボトルネックを完全に消し去り、パフォーマンスや容量・可用性などを共有して、新しい事業機会と成長を前に押し進める環境づくりが求められます。

ストレージ選定3.アプリケーションを迅速に展開できること

新しいソフトウェア機能やサービス・アプリケーションを、より迅速かつ高品質に配布する最適な方法として、多くの企業がDevOpsを始めつつあります。
DevOpsは、開発部門と運用部門の垣根を超えた緊密な連携を実現できるため、途切れることのないアプリケーションの展開が可能であり、企業の俊敏性を加速してくれます。
このようなDevOps環境においても、利用するクラウド環境を問わず、データサービスを単純化したり、データを接続したりできる仕組みが必要です。

ストレージ選定4.データを自由に移動できること

クラウド環境を利用するのであれば、自由にデータを配置できることが望ましいです。企業のデータがその価値を最大限に発揮する場所に配置するとよいでしょう。
そして、必要に応じて簡単にデータを移動させられるかどうかも重要です。たとえば、データセンターに保持していたデータを簡単にクラウドサービスプロバイダーに移動したり、クラウドサービスプロバイダーから他のクラウドサービスプロバイダーに簡単にデータを移動したりする必要があります。

ストレージ選定5.データの可視性を保つこと

ハイブリッドクラウド環境に移行した途端に、データの可視性が損なわれてしまうと、企業競争力が低下してしまいます。今まで同様、もしくはIoTや機械学習などを利用して、今まで以上のデータを取得できる環境が求められます。
パフォーマンスやコストを最適化しながら新たなニーズを得ることで、新しいアイデアを構想から提供する立場へと、迅速に対応できるようになります。

ハイブリッドクラウドの特徴やメリット、選定方法や導入の流れを解説 04

ストレージ選定について、詳しくは以下の記事をご参照ください。
ハイブリッドクラウドに最適なストレージ選定5つの条件とは
https://www.storage-channel.jp/blog/the-best-storage-for-a-hybrid-cloud.html

監視・管理方法におけるポイント

複数環境に分断されたハイブリッド環境では、ひとたび問題が起きると大きな損害へと発展するおそれがあります。そのため多くの情報システム部門は、大きな問題へと発展しかねないボトルネックを早期に認識する必要があると考えています。
しかし、肥大化・複雑化したインフラ環境から問題を探し出すことは「藁の中の針を見つけるような」作業と同じです。そこで役立つのが「インフラ分析ソリューション」の活用です。インフラ分析ソリューションを導入すれば、従来型のアプローチに比べて、90%も早く問題を特定することが可能となります。

インフラ分析ソリューションの働き1.なにを所有していてそれがどう働くのかを認知

NetApp® OnCommand® Insight (OCI)のようなインフラ分析ソリューションは、マルチクラウドやマルチベンダーにまたがるすべての情報システム基盤のデータを収集します。
このデータにより、パフォーマンス属性と共に、システム構成・アプリケーション・仮想マシン・ネットワーク・ストレージについて、詳細に理解できるようになります。この情報のすべては、常にアップデートされ、新たな知見のために分析されるデータウェアハウスの中に収められます。たとえば、過去のデータに基づいて何が正常で、何が予想された行動の範囲を逸脱しているのかを示すパターンが分析により明らかとなります。

インフラ分析ソリューションの働き2.異常を検知

従来型の問題検出の方法では閾値を設定します。そして、この閾値を越えると警告(アラート)が発生する仕組みです。
しかし、この方法には問題点もあります。実際には問題ではなく正常な行動についても、アラートを発生させてしまうケースがあるのです。
多くの管理者は誤ったアラートを減らすために閾値を緩めるようになり、結果として、実際に問題が発生した際の重要なアラートを見逃してしまうリスクが高まります。
このような事態を避けるためには、インフラ全体の運用パターンとビジネスルールを結び付け、インフラ分析と機械学習により必要なアラートだけを発生させる環境づくりが重要です。

インフラ分析ソリューションの働き3.問題をピンポイントで指摘

異常な行動についての通知を受けた後のステップは、根本的な原因を見つけることです。
インフラ分析ソリューションを導入していない場合、問題の根本原因を特定するためには、複数の分散した環境でそれぞれの管理ツールを用いる必要があります。これらの作業は煩雑で、手間がかかります。
インフラ分析ソリューションを導入していれば、ウェアハウスに集めたデータに対して相関エンジンを用いて、根本原因を簡単に特定することが可能です。どの要因が高い相関関係にあるのかが分かるため、どこを探すべきかすぐに発見できます。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
ハイブリッド クラウド環境を監視、管理するには?
https://www.storage-channel.jp/blog/management-for-hybrid-cloud.html

ハイブリッドクラウドの環境の組み合わせ

ハイブリッドクラウドを導入する際には、予算・パフォーマンス・管理など自社に必要な条件に基づいて、どの環境を組み合わせるか、ハイブリッドクラウドの運用モデルを検討する必要があります。
その際、パブリッククラウド・プライベートクラウド・オンプレミスをすべて含める必要はなく、用途に合ったものだけを選びます。
なかでもよく使用されるのが、オンプレミスとパブリッククラウドの組み合わせです。
個人情報や企業の秘密情報など、機密性の高いデータを扱うシステムは高度なセキュリティを設定可能なオンプレミスで構築します。そして、社員が誰でも閲覧・編集可能で、あまり高い機密性が求められないデータを扱うシステムは、コストを抑えられるパブリッククラウドで構築します。

そのほか、プライベートクラウドとパブリッククラウドの組み合わせもおすすめです。
システム開発にてWEBサーバーやデータベースなどのバックエンド部分はプライベートクラウドで構築し、WEBサイトなどのフロントエンド部分はコストのかからないパブリッククラウドで構築します。

コストの検討

オンプレミスの環境を構築しようとすると、初期導入コストや運用コストが高額となります。すべてプライベートクラウドで運用する場合にも、導入コストは比較的高くなるでしょう。そこで、一部をパブリッククラウドに置き換えてハイブリッドクラウドとして運用することにより、コストの削減が期待できます。このように、複数の環境をうまく組み合わせて運用するハイブリッドクラウドは、コストの面で優れています。
しかし、パブリッククラウドも使用する容量を増やすとなると、月額のコストが増えてしまう場合があります。複数の環境を組み合わせることにより、コスト管理がより複雑となるため注意が必要です。
コスト削減が目的でハイブリッドクラウドを導入しても、試算を誤ると期待するほどのコスト削減に繋がらないこともあるため、しっかりと試算することが必要です。

セキュリティ対策の検討

ハイブリッドクラウドを使うことで、セキュリティの強度は高くなります。
複数の環境を組み合わせて導入するハイブリッドクラウドは、用途によって環境を使い分けることでデータ流出の危険性を抑えることが可能です。たとえば、社員が誰でもアクセス可能なデータはパブリッククラウドへ保管し、社内の秘密情報・機密性の高いデータはパブリッククラウドからは除外するなど、社内のセキュリティポリシーやコンプライアンスに合わせて、データごとに保管場所を変えることでデータ保護につながります。

データファブリックの考え方

ハイブリッドクラウドを導入するポイントと併せて、ハイブリッドクラウド導入においてはデータファブリックの構築が重要です。
この章では、データファブリックとは何か、どのような効果があるのかについて解説します。

データファブリックとは

企業が保有するデータの中には、製品・顧客・従業員といった情報以外に、企業にとって重要なナレッジも含まれています。膨大なデータのフォーマットが統一されていなかったり、保管場所が点在していたりすると、管理に要する時間が増えて業務の効率が低下します。データの適切な管理は、ストレージとコストの最適化に不可欠です。これらの課題解決と業務効率化に有効な手法がデータファブリックです。

ハイブリッドクラウドの特徴やメリット、選定方法や導入の流れを解説 05

データファブリックでストレージの最適化

データファブリックとは、分散型のデータ基盤を連携するアーキテクチャです。複数のクラウドを組み合わせたマルチクラウド環境や、クラウドとオンプレミスの組み合わせによるハイブリッドクラウド環境において、データをスムーズに統合してストレージの最適化を実現に導きます。近年では、重要性の高い基幹システムや自社独自のシステムはオンプレミスで運用し、業務に使うデータやアプリケーションはクラウドサービスを用いる企業が増えています。
データソースの複雑性が高まるなかで、絶え間なく変化する市場ニーズに対応していくには、膨大な情報をいかにスムーズに処理し、意思決定につなげていくかがポイントです。データファブリックを活用すれば、あらゆる種類のデータをシームレスに把握できるようになり、これまで多くの時間を費やしていた管理タスクの効率化が実現します。複数のクラウドにあるアプリケーションから、オンプレミスのデータベースまでをワンストップで管理できるため、あらゆる業務のムダが省けます。
また、バックアップによる冗長化を効率よく実施できる点もメリットといえるでしょう。万が一の災害発生時には、被害を最小限に抑えてデータをリカバリーすることも可能です。

データファブリックの重要性

ICTの発展が進み、多様なデータが生成されるようになった昨今では、マーケティングや営業活動・生産・開発などあらゆる業務にデータが活用されています。リアルタイムでデータを収集・分析し、精度の高い意思決定を行うには、データの統合を強化していく必要があります。

相次ぐ自然災害や感染症の拡大・国家間の政治・経済的対立などの要因により、不確実性の時代といわれるなかで、企業が保有するビッグデータは大切な道標の役割を果たします。データをうまく活用して未来予測や変転する市場状況に素早く対応できれば、これまで出せなかったような成果へと結びつく可能性もあるでしょう。

データに基づいて経営課題を発見・解決していく経営手法を「データドリブン」と呼びます。2015年に総務省がまとめたデータによると、4割程度の企業がすでにデータドリブン経営に向けて取り組んでおり、データを分析する人材の採用やデータ戦略の策定、データ分析に基づいた経営判断の実施を進めているようです。このような状況から、今後もますますデータファブリックの必要性は高まると予測されます。

データファブリックでコスト削減

データファブリックによるコスト削減効果には、さまざまな業務の効率化が深く関係してきます。データファブリックを構築すると、管理が複雑になりがちだったハイブリッドクラウドやマルチクラウドであっても、データ管理やガバナンスの統一が可能です。一貫性のある管理が実現すれば、ユーザーは必要なときに、必要な場所で、必要な手段でスムーズにアクセスできるようになり、作業効率は格段にアップします。
また、データ活用のプロセスを構築・運用するために必要だった、多大な人的コストの削減も期待できます。このように、あらゆる業務のムダを省くことでコストパフォーマンスの最大化を図れる点が、データファブリックを活用するメリットといえるでしょう。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
クラウドにかかるコストを要点解説! 管理費用は高いのか?
https://www.storage-channel.jp/blog/the-cost-of-the-cloud

ハイブリッドクラウドを導入するならNetAppのONTAPがおすすめ

ファイルサーバーをクラウド化するなら、NetAppのONTAPを活用しましょう。

ONTAPの概要

ONTAPは、NetAppが創業時から一貫して提供しているストレージOSです。
FAS(Fabric Attached Storage)、AFF(All-Flash FAS)に搭載され、最⼩限の処理や負荷によって、最⼤限の拡張性と管理性を提供します。
プロトコルはCIFS(SMB)・NFS・iSCSI・FC・FCoEをサポートしています。オンプレミスからクラウドに移行してきた時代の変遷に合わせ、業界に先駆けてデータ保護とデータ効率化などの機能を強化してきました。

ハイブリッドクラウドの導入にONTAPがおすすめな理由

オンプレミスからクラウドまで自由自在にデータを管理するための ONTAPは、NetAppストレージに標準で搭載されるもの以外に、汎用サーバー向けのONTAP Select、AWS やAzure上で動作する Cloud Volumes ONTAPを提供します。これにより、エンタープライズクラスのデータ ストレージ管理を、クラウドや各種サーバーに展開することが可能です。

また、FabricPool を利用すれば 、オンプレミス環境のNetAppとクラウドを連携しハイブリッドクラウド環境を構築できるだけではなく、ホットデータはオンプレミスに、コールドデータはクラウドに保管することが容易となります。
そしてNetAppは、VMwareやAWSとの戦略的パートナーシップを通じて、企業が求める要件を満たすハイブリッドクラウド環境の構築に注力しています。具体的には、クラウドを活用する際に、オンプレミス環境で利用しているツールやソフトウェアを活用しながらハイブリッドクラウドを実現することを支援します。

ONTAP Cloud on AWS

ONTAP Cloud on AWSは、開発/テスト・ディザスターリカバリー・実稼働アプリケーションのためのストレージソフトウェアです。つまり、使用中のAWSが提供するクラウド ストレージ プラットフォームに対して、自社のデータセンターのFAS、またはオールフラッシュFASシステムから使用しているのと同じストレージ機能を、ONTAP CloudがAWSに提供することを意味します。
このサービスを活用すれば、現在使用中のアプリケーションのパフォーマンスに影響を与えることなくストレージを追加できるほか、データのスナップショットの取得も可能となります。また、業界トップクラスのNetApp SnapMirrorレプリケーション テクノロジーを使用して、クラウド ストレージを自社のデータセンターと連携させることもできます。

ONTAP Cloud on AWSは、企業のストレージとAWSクラウド ストレージの効率的な連携を実現可能です。セキュリティ面においても、保管中のデータをNetApp管理の強力な暗号化方式で暗号化します。

詳しくは以下の記事をご参照ください。
ハイブリッドクラウドを実現するONTAP Cloud on AWSとVMware Cloud on AWS
https://www.storage-channel.jp/blog/cloud-ontap-on-aws.html

まとめ

複数の種類のサーバーを組み合わせて運用するハイブリッドクラウドを導入する企業は、年々増加しています。ハイブリッドクラウドの導入や運用は難しく、うまく運用しなければ逆に業務効率が下がってしまうおそれがあります。しかし、社内での適切な管理と運用体制を整えることができれば、多くのメリットを得られるでしょう。IT技術の進歩により、IT市場の競争は激化しているため、優位性を確立するためにもハイブリッドクラウドの導入は検討するべきでしょう。導入の際には、オンプレミスからクラウドまで自由自在にデータを管理できる、ONTAPを検討してみてください。

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