企業が扱うデータは年々増加しており、ストレージ容量の圧迫や管理の煩雑化、管理コストの増加など、ストレージ管理における課題は多々あります。これらの課題を解決する方法の一つ、ストレージの最適化です。
より少ない投資で大きな成果を実現するためには、ポイントをおさえた上で、ストレージの最適化に取り組む必要があります。近年では、ストレージ最適化に関連する技術として、さまざまな保存場所にあるデータを一括で管理する「データファブリック」の仕組みも注目されています。
本記事では、ストレージの最適化が必要な理由や最適化のポイント、ストレージ最適化を実現するNetAppのソリューションについて解説します。
ストレージ最適化が必要な理由
ストレージとは、データの保管場所のことです。ICTの普及に伴い、クラウドストレージを採用する企業が増えています。データが増えるなかで検討すべきなのが、ストレージの最適化です。
以下では、ストレージの最適化が必要とされる理由について解説します。
ストレージ容量の圧迫
動画データや音声データといった容量の大きなファイルは、ストレージ容量を圧迫します。
企業では働き改革により、資料の電子化が進んでおり、普段使わなくても長期的に保存が必要なデータも増えています。これらのコールドデータの蓄積もストレージ容量を圧迫する原因の一つです。
また、オンプレミスとクラウドのストレージなど、複数のストレージを利用している場合、データが重複したり、不要なデータが放置されたりすると、データが蓄積してストレージ容量が圧迫してしまうでしょう。
ストレージ最適化により不要なデータを削除することで、ストレージ容量の圧迫を防げます。
コストの増加
ストレージ容量が不足すると、ストレージの増設を検討するケースが多いです。しかし、ストレージを増設すれば、その分管理コストや運用コストが増加してしまいます。ストレージの最適化を行わなければ、データが増えるほどストレージ容量が必要となり、それに伴いコストは肥大化します。ストレージ容量を節約することで、コストの削減も可能です。
データ管理の複雑化
オンプレミスとクラウドを併用する企業が増えていますが、様々な場所にデータを保存すると、データ管理が複雑になるおそれがあります。
またデータが分散することにより、データの検索も難しくなるでしょう。作業に必要なデータをすぐに取り出せないと、作業効率の低下にもつながります。ストレージ最適化により、データ管理の効率化を図れます。
ストレージ最適化のポイント
ここからは、実際にストレージ最適化を進める上で確認すべきポイントについて解説します。
ポイント1.ストレージ容量
ストレージ最適化を実現する上では、適切な容量を確保できるストレージを選択することが重要です。ストレージに保存できるデータ量には限界があります。今後必要となる容量を確認して、適切なストレージ容量を確保しましょう。
クラウドストレージであれば、データ量の増加に対して容量を簡単に増やせますが、ストレージ容量の増加に比例してコストがかかるデメリットもあります。
単純にストレージ容量を増やす方法だけではなく、必要なデータと不要なデータの取捨選択や、コールドストレージの活用などの検討も必要です。
ポイント2.コスト
大量のデータがどこに保存されているか分からない状態では、データの保管コストだけがかさんでしまいます。まずはさまざまな場所に分散するデータを一つにまとめ、データの利用頻度や重要性などの観点でデータを分類します。さらに、アクセス頻度の高いデータのみ高性能なストレージを利用し、それ以外は安価なストレージを利用することで、コスト削減が可能です。
アクセス頻度の低いデータを容量単価の安いストレージへ自動的に移動する「ストレージ自動階層化」機能をもつストレージサービスもあります。
ポイント3.データ検索
データが増えるほど、必要なデータをすぐに見つけることが難しくなります。増大するデータを効率的に活用するために、企業内ファイル検索の仕組みが重要です。複数ファイルにまたがって全文検索する仕組みを導入することで、データ検索にかかる時間を削減し、生産性の向上が図れます。
ポイント4.データファブリック
データファブリックとは、分散されたシステムを一元的に管理するためのフレームワークです。様々な保存場所にあるデータを一括で管理できるため、ひとつひとつのストレージは、大きな容量が不要です。またデータ量が増えた場合も、新たにストレージを増設することで対応できます。
データファブリックにより、コストの増加やデータ管理の複雑化といった問題を解決できるでしょう。
価値がないように見える個々のデータを、複数のデータと並べて分析することで、有用性を見出すきっかけにもなります。
ストレージ最適化を実現するNetAppのソリューション「ONTAP」
ONTAPは、ストレージの最適化を実現するNetAppのクラウドストレージソリューションです。
ONTAPを導入することで、以下のようなメリットが得られます。
ストレージ容量の最適化
ONTAPには、重複排除(Deduplication)、データ圧縮(Compression)、データコンパクション(Compaction)の機能があります。
重複排除では、重複したデータを自動で検出し、重複した部分だけを排除します。無駄なデータを排除できるため、ストレージ容量の節約が可能です。また、データ圧縮を同時に行い、さらなるストレージ容量の効率化を実現します。
さらに、データコンパッションにより、1ブロック(4KB)未満のブロックを1ブロックに詰めてまとめて格納することで、SSDやHHDの利用効率を向上させます。
階層化によるストレージコストの削減
ONTAPには、自動的にデータを階層化する機能があります。プライベートクラウドやパブリッククラウドへ、日常的に使わないコールドデータを自動的に階層化して保存することで、ストレージコストを削減します。
データ管理の統合化によるデータファブリックの実現
ONTAPは、様々なストレージ環境でデータ管理の手法を標準化します。
ハイブリッドクラウドと呼ばれる、オンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドなど様々なストレージやサービスが混在した環境で、データ管理を統合できます。ONTAPは、ストレージの選択の幅を広げ、データファブリックの基盤となります。
まとめ
企業が扱うデータは年々増加しており、ストレージ容量の圧迫や管理の煩雑化、管理コストの増加などストレージ管理における課題は多くあります。この課題を解決する方法が、ストレージの最適化です。
ストレージ最適化を実現するためには、データ容量やコストだけではなく、データを有効に活用するために、複数ファイルから全文検索する仕組みや、データファブリックの導入なども検討するべきでしょう。
NetAppのソリューション「ONTAP」は、ストレージの最適化をもたらし、データファブリックの基盤となるソリューションです。重複排除やデータ圧縮、データコンパクションなどの機能により、ストレージ容量を節約し、ストレージの利用環境を最適化します。
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