企業活動で得たデータを取り扱う場合、データストレージの容量について、気に留めておくべきでしょう。ビジネスにおいてデータ活用と管理の必要性が重視される中、データ管理方法について検討中の企業の担当者も多いことと思われます。
そこで、今回は大容量ストレージの活用や最もデータを効率的に管理できるアーキテクチャ、そして構築の方法について解説します。
データ管理の必要性を解説
企業活動でのビッグデータの活用が重視される中、モバイル通信の5G時代を本格的に迎え、どの業界でも、近年企業が取り扱うデータは増加し続けています。
そこで、多くの企業で重要な課題となっているのがデータ管理です。データ管理を適切に施すと、大量のデータの中から取り出したいデータを迅速に活用できるだけでなく、コストの面でも無駄を省き、管理コストを削減できるようになります。
オンラインストレージでストレージを大容量化
オンラインストレージでストレージを大容量化することは、データ管理の中でも重要な課題になります。2015年とくらべ、2030年のデータトラフィックは、最低でも90倍・最高で150倍にもなるとされていることからもデータ増加量は急速なものであることがうかがえます。
引用:総務省・三菱総合研究所調べ「国内外のトラヒック予測及びその周辺動向のご紹介」2017年
オンラインストレージとは?
まずストレージについて理解しましょう。ストレージとは、データを長期間保管可能な記憶媒体のことです。その種類の一つとしてオンラインストレージがあります。これはインターネットを経由してデータを保管できるストレージのことをいいます。
代表的なものとして、Googleドライブ・One Drive・iCloudなどのクラウド上のオンラインストレージがあげられます。2022年2月現在では、ペタバイトという大きい単位のデータにも対応できるオンラインストレージが登場、データの増加に対応しています。
オンラインストレージのメリットとデメリット
オンラインストレージは、容量の拡張性が高く、企業ユーザーの人数に応じて料金を設定できるなど、コストの面でもメリットがあります。
また、一つの企業でサーバーや通信インフラを管理するとなると、万が一のサイバーアタック被害に遭った際に、復旧に時間がかかることが考えられます。しかし、オンラインストレージでは、通常サーバー・通信インフラが分散しているので、全部サービスが停止することはあまりないといえるでしょう。
これに対して、データの管理権・アクセス権をオンラインストレージ業者に許可する契約にする必要がある場合は、セキュリティ上の問題が懸念され、各会社のセキュリティポリシーにより利用が難しくなる場合も生じます。
ただし、構造面からみると、クラウド上に企業のデータ管理スペースが確保できるプライベートクラウドを構築するとこうした問題は解決できます。
契約内容や、プライベートクラウドの構築の可否にもよりますが、災害や、サイバーアタックには強い一方、データ管理権のありようを考えると、オンラインストレージを利用するべきか否か、悩ましい事態も生じることがあるのです。
そのため、サービス内容・契約内容を十分確認し、データ管理権は適切に設定することでデメリットを避ける必要があります。
自社に適切なオンラインストレージは? 選定ポイントを解説
オンラインストレージは、契約やプライベートクラウドの構築によりコントロールが可能であること、またデメリットを上回るメリットがあることが考えられることから、多くの企業で導入が進んでいます。
これから導入検討・増設を考える場合には、どういったことに注意すればよいのでしょうか。ここからは、選定する際のポイントについて解説します。
オンラインストレージ導入時の注意点
オンラインストレージ導入の注意点については、セキュリティ・事業継続プラン(BCP)に合っているか、といった基本要件と、企業の業容・業態にあわせた利用が可能かという点を意識して導入することが注意点となります。
例えば、セキュリティについてはデータ管理権の所在や、インフラの強度の点、すなわち情報漏洩のリスクに十分対応しているのか、ISO27001認証など高レベルのデータセンターを使ったサービスであるか、といったセキュリティの問題があげられるでしょう。
さらに、データのバックアップはオンラインストレージ側で十分にとることができる構造か、災害復旧プランを用意しているか、ダウンタイムからの復旧を担保するサービスレベル契約(SLA)を用意しているか、といったBCPの観点での注意点があります。
上記のような基礎を検討したうえで、企業ごとの業務内容にあわせ、満足できる容量として十分か、拡張性があるか、といった観点での検討をすることが重要です。
オンラインストレージ選定時のポイント
加えて、オンラインストレージ選定時には、自社の要求事項を明確化することがポイントになるでしょう。
実際のデータトラフィックの計測及び、実証から自社で必要なデータ容量の確認・自社のセキュリティポリシーと導入するサービスを比較し、ギャップがあれば埋められるか、埋められないとするとこれからどういう技術的・ビジネス上の施策を施すか、などを検討します。
また、オンラインストレージを利用するデータの種類が限られているポリシーの企業であれば、どこまでをオンラインストレージに保管し、どのように技術的なブロックを施し違反を避けるのか、ビジネスポリシーとしては具体的にどのようにルールを守らせるか、より踏み込んだ検討が事前に必要になる場合もあります。
導入時には、サービス検討の前提として企業側での要求事項をまとめ、サービスを細部にわたって検討するための用意が必要なのです。
データファブリックで大容量のデータを管理
大容量のデータを管理できる、データファブリックという概念をご存知でしょうか。データファブリックはオンプレミス・オンラインストレージの保管を組み合わせて、効率的にデータマネジメントを行うことをいいます。以下では、データファブリックについて詳しく紹介します。
そもそもデータファブリックとは?
先述した通り、データファブリックとは、オンラインストレージとオンプレミスのストレージを併用することで、効率的にデータマネジメントを行うことですが、管理の観点からは、複数のオンラインストレージを効率的にワンストップで行うことも意味しています。
オンラインストレージの活用が必要になった背景は、今までオンプレミスで事足りていたデータの管理が、データの増加でなかなか追いつかなくなってきた、ということが挙げられるでしょう。管理の観点からもオンプレミスだけでデータを管理することは、コストや、BCP対応などを考えると多くの企業においてすでに現実的ではありません。
しかし、双方を組み合わせると、2つの違う種類のストレージの管理に多くの工数やコストがかかるでしょう。
データファブリックで安価なオブジェクトストレージも活用できる
データファブリックでオブジェクトストレージを利用すると、オンプレミス・クラウドの管理コストを軽減することができます。
オブジェクトストレージはデータを「オブジェクト」という単位で扱う記憶装置です。それまでのファイルストレージは、ファイル単位でデータを格納・検索する構造であるので、ディレクトリが依拠するサーバーの容量までしか保存ができません。
しかし、オブジェクトストレージは、データのインデックス・IDとなるメタデータを利用して管理を行います。インデックス情報を検索し呼び出すと、データの在りかからデータを参照できる、という構造を持っているのです。
例えば、重要データをアーカイブ化またはオンプレサーバー内に置き、さらに、動画配信などのデータをオンラインストレージ上に置き、オブジェクトストレージの構造を使って双方を管理できます。データへのアクセス管理により、必要な際にデータを参照することが可能になるので、セキュリティの面からも全体最適化を実現できるのです。
そのうえ、管理はオブジェクトストレージのAPI連携を利用し、既存の管理ツール上で動かすこともできます。このオブジェクトストレージの登場時は、クラウド上に企業の独自のデータ管理スペースをつくる「プライベートクラウド」を安価・短期間で構築・管理できる手段としてすぐに普及しました。
まとめ
データの大容量化にあわせ、オンラインストレージを多くの企業が導入しています。セキュリティ、BCP、そして迅速・効率的なデータ活用のためには、データファブリックが今後は最適と思われます。
オンラインストレージサービスそのものが非常に大容量になっていることから、ペタバイト単位の容量のオンラインストレージサービスを選んでおくことも重要です。データファブリックに早くから取り組んでいる、NetAppのサービスなら1PBという大容量のデータにも対応していますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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