IoT(Internet of Things)はビジネスと、我々の生活に溢れています。2018年初頭には「IoT技術の激動の年になる」という予測を行った大手コンサルティング会社や専門家が多数おり、実際に、世界のIoTデバイス台数は着実に伸長しながら先進的事例も登場しています。今回はそんなIoTの業界トレンドに加えて、ストレージの重要性についてお話します。
IoTってなに?
まずはIoTについて整理します。一般的には「モノのインターネット」と訳されますが、「モノをインターネット化する」と理解すると幾分わかりやすくなるでしょう。
インターネット環境が整備されたり、スマートフォンが普及したことでビジネス効率化や私生活の充実化が進んできました。これらは「インターネット」という大規模なネットワークにすべてのデバイスが接続することで、天文学的数量のデータがネットワークに繋がれたストレージ上に蓄積され、それを各ユーザーが適宜活用することで起こったインパクトです。
このインパクトをさらに大きくするもの、それがIoTと言えるでしょう。従来はパソコンやスマートフォンだけが接続できたインターネットの世界に、あらゆるモノを接続して更なるビジネスの効率化や私生活の充実化、そして企業成長のための気付きや自動化を目指します。
日本では、IoTとして古くから存在するものが「スマートポット」と呼ばれる商品です。これは給湯ポットをネットワークに接続し、ポットの使用履歴をメッセージで通知するというものです。どういったシーンで使われるかというと、遠方で暮らす両親の安否確認のために用いられます。給湯ポットはほとんど毎日使用するものなので、スマートポットからの通知があれば自動的に安否確認が取れ、毎日電話やメールでのコミュニケーションを取らなくても安心できるというわけです。
このように給湯ポット1つインターネットに接続しただけで安心を得ることができ、私生活は大きく変化します。では、周囲のモノすべてがネットワークで接続された世界は一体どうなってしまうのでしょうか?現時点では想像もできないほどビジネスの効率化と私生活の充実化が実現するはずです。
IoTが目指すところはそうした世界であり、それをかなえるための技術をIoTと呼びます。
IoT事例で読み解く業界トレンド
それでは、IoTの先進的事例を参考にしつつ業界トレンドを読み解いていきましょう。
事例1. ヤマダ電機 顔パス決済
PayPal(ペイパル)アカウントを事前に取得し、ヤマダ電機店舗訪問時にアプリを起動し、チェックインすることで店舗側のタブレットに利用者の顔写真と名前が通知されるという仕組みです。商品購入時には店舗タブレットで商品代金を入力し、顧客が支払い確認ボタンを押すと決済が完了します。
出典:IoTで進化する、小売・流通の最前線ヤマダ電機、ペイパルと提携し「顔パス決済」サービス開始
事例2. HEXOSKIN
着用するだけで心拍数、呼吸数、加速度などが計測できるウェアラブルセンサー・スマートシャツです。計測したデータはスマートフォンやパソコン等でデータのモニタリングと分析が行えます。欧米を中心に、トレーニング効果の測定や身体管理のためのIoTデバイスとして人気を集めています。
出典:Hexoskin Smart Shirts - Cardiac, Respiratory, Sleep & Activity Metrics
事例3. 大手航空機エンジン会社 サービタイゼーション
航空機エンジンの製造を手掛ける大手では、IoTセンサーを活用したサービタイゼーションによって新しいビジネスモデルを創出しています。IoTセンサーが航空機エンジンの出力や稼働時間を測定し、それをもとに従量課金モデルで航空機エンジンをサービスとして提供しています。
事例4. Samsung スマートスーツ
韓国の家電メーカーSamsungが開発したスマートスーツは、内部に取り付けられたNFCタグによってスマートフォンと自動的に連動します。内ポケットにスマートフォンを入れると自動的にマナーモードになったり、ポケットから取り出すとロックが開錠されるなどスマートフォンに関するギミックがいくつか搭載されているため、忙しいビジネスパーソンに最適なIoTデバイスです。
出典:ファッションとITの融合、ウェアラブルが洋服の世界へ進出|山根康宏のワールドモバイルレポート
いくつかご紹介しましたが、IoTには先進的な事例がたくさんあり、今後もその活用が期待されています。決済システムやウェアラブルデバイスとIoTの連携はすでにトレンドとして存在しており、今後はさらなる拡大が予測されています。 また、産業用機械からのIoTデータを活用した予知保全などはすでに一般化されています。
上記事例の中で今後トレンドになるであろうものは「サービタイゼーション」です。現代ビジネスでは「モノ」を販売することよりも、モノが提供する「コト」に価値があると考えサービタイゼーションを進める企業が増えています。
実際に大手航空機エンジンメーカーは、航空機エンジンそのものではなくそれが生む推進力に価値があると考えサービタイゼーションを展開しています。例えば航空会社にとって最もコストのかかる燃料ですが、このエンジンメーカーはIoTデータからエンジンの出力だけでなく、飛行機の高度など取れる情報を元に燃費を最小化するデータを導き出しコンサルティング業務を行うようになりました。これも一つのサービタイゼーション例です。
2019年にはIoTによるサービタイゼーションがさらに促進され、いたるところでモノに加えてデータを活用したコトを販売する企業が増えるでしょう。
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IoTとストレージの関係について
IoTは、人から発せられるデータに比べて大量のデータを生成します。そのためにはデータを支える技術が必要であり革新的なストレージがこれからのIoT時代を支えると言っても過言ではないでしょう。すべてのモノがインターネットに接続されるということは、それだけ多くのデータが生み出されるということです。
これらのデータを処理するためには大容量だけを売りにしたストレージでは不適切であり、大容量かつ高速な処理を可能にするストレージが必要です。それに加えて運用管理のしやすさは重要なポイントになります。特に最近では「エッジコンピューティング」というコンセプトが注目を集めています。IoTによるサービスを提供するためには、多くの場合、クラウド基盤が欠かせませんが、ネットワーク関係の問題でパフォーマンスの低下やデータ処理速度が低くなるという問題があります。エッジコンピューティングとはユーザーにより近いところにストレージ等のコンピューターを配置し、クラウドと連携することでパフォーマンスを向上し快適なIoTサービスを提供するというものです。
これからのIoT時代、業界トレンド動向を追うことはもちろん、ストレージの重要性についても着目しましょう。
NetAppでは、これらIoT時代を見据えて様々なソリューションを提供していますので、お気軽にご相談ください。
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