企業が作成する契約書などの文書には、その種類によって法定保存期間が義務付けられています。また、その中には時代の進化とともに電子データとして保存しておけば、破棄しても良いというものも存在します。たとえば領収書や契約書などの文書に関しては、電子データでの保管が可能であり、原本を破棄することができます。
これらの文書を企業では適切に保存する必要があるわけです。そして、それらを電子データとしてストレージに保存している場合には、ストレージ管理者もその重要性を意識する必要が出てくるでしょう。
そこで今回は、今後のストレージ運用の参考にしていただければと思い、保存期間年数ごとに保存が義務付けらえている法定文書を分かりやすくまとめました。
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1年、2年の保存期間が義務付けれている文書
総務・庶務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
1 |
臨時報告書、自己株券買付状況報告書およびそれぞれの訂正報告書の写し |
内閣総理大臣に提出した日 |
金融商品取引法25 |
2 |
当直日誌、軽易な往復文書、受信・発信文書、通知書類・調査書類・参考書類など |
記入日、作成日 |
|
人事・労務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
3 |
雇用保険に関する書類雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届など。労働保険の保険料の徴収等に関する法律または同施行規則4による書類は年 |
完結の日 |
雇用保険法施行規則143 |
4 |
健康保険・厚生年金保険に関する書類 被保険者資格取得確認および標準報酬決定通知書、標準報酬改定通知書など |
健康保険法施行規則34、厚生年金保険法施行規則28 |
3年の保存期間が義務付けられている文書
総務・庶務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
5 |
四半期報告書、半期報告書およびその訂正報告書の写し |
内閣総理大臣に提出した日 |
金融商品取引法25 |
6 |
官公署関係の簡易な認可・出願等の文書 |
出願・受領日 |
|
7 |
業務日報、社内会議の記録、軽易な契約関係書類、参照の必要性のある文書など |
記録・作成日 |
|
人事・労務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
8 |
労働者名簿 |
死亡・退職・解雇の日 |
労働基準法109、労働基準法施行規則56 |
9 |
賃金台帳国税通則法では年保存を義務付け |
最後の記入をした日 |
|
10 |
雇入れ・解雇・退職に関する書類 |
退職・死亡の日 |
|
11 |
災害補償に関する書類 |
災害補償の終わった日 |
|
12 |
賃金のその他労働関係の重要書類労働時間を記録するタイムカード、残業命令書、残業報告書など |
完結の日 |
|
13 |
企画業務型裁量労働制についての労使委員会の決議事項の記録 |
有効期間の満了後 |
労働基準法施行規則24の2の3 |
14 |
労使委員会議事録 |
開催日 |
労働基準法施行規則24の2の4 |
15 |
労災保険に関する書類 |
完結の日 |
労働者災害補償保険法施行規則51 |
16 |
労働保険の徴収・納付等の関係書類 |
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則70 |
|
17 |
家内労働者帳簿 |
最後の記入日 |
家内労働法施行規則24 |
18 |
派遣元管理台帳 |
契約完了の日 |
労働者派遣事業法37 |
19 |
派遣先管理台帳 |
労働者保険事業法42 |
|
20 |
身体障害者であることを明らかにすることができる書類診断書など |
最後の記入日 |
障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則45 |
21 |
家内労働に関する帳簿 |
完結の日 |
家内労働法施行規則24 |
労働安全衛生 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
22 |
安全委員会議事録 |
作成日 |
労働安全衛生規則23 |
23 |
衛生委員会議事録 |
||
24 |
安全衛生委員会議事録 |
||
25 |
救護に関する訓練の記録 |
労働安全衛生規則24の4 |
|
26 |
危険・有害業務に従事するときの安全衛生のためのときの安全衛生のための特別教育の記録 |
労働安全衛生規則38 |
5年の保存期間が義務付けられている文書
総務・庶務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
27 |
事業報告本店備置き分。支店備置き分はその謄本を年保存 |
株主総会の週間取締役会設置会社は週間前の日 |
会社法442 |
28 |
有価証券届出書有価証券報告書およびその添付書類、訂正届出報告書の写し |
内閣総理大臣に提出した日 |
金融取引法25 |
29 |
産業廃棄物管理票マニフェストの写し |
管理票の写しを受領した日 |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則8の26 |
30 |
産業廃棄物処理の委託契約書 |
契約終了日 |
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則8の4の3 |
31 |
契約期限を伴う覚書・念書・協定書など |
契約期間終了の日 |
― |
32 |
重要な内容の発信・受信文書 |
発信・受信日 |
|
人事・労務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
33 |
従業員の身元保証書 |
作成日 |
身元保証二関スル法律、 |
34 |
誓約書などの種類 |
― |
|
労働安全衛生 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
35 |
じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真 |
作成日 |
じん肺法17 |
36 |
一般健康診断個人票 |
労働安全衛生規則51 |
|
37 |
有機溶剤等健康診断個人票 |
有機溶剤中毒予防規則30 |
|
38 |
鉛健康診断個人票 |
鉛中毒予防規則54 |
|
39 |
四アルキル鉛健康診断個人票 |
四アルキル鉛中毒予防規則23 |
|
40 |
特定化学物質健康診断個人票 ※クロム酸等は年 |
特定化学物質障害予防規則40 |
|
41 |
高気圧業務健康診断個人票 |
高気圧作業安全衛生規則39 |
|
42 |
高圧室内業務の減圧状況の記録 |
高気圧作業安全衛生規則20の |
|
43 |
線量当量率の測定の記録 |
電離放射線障害防止規則54 |
|
44 |
放射性物質の濃度測定の記録 |
電離放射線障害防止規則55 |
|
45 |
放射線事故に関する測定の記録 |
電離放射線障害防止規則45 |
|
46 |
安全委員会議事録 |
労働安全衛生規則23 |
|
47 |
衛生委員会議事録 |
||
48 |
安全衛生委員会議事録 |
||
49 |
救護に関する訓練の記録 |
労働安全衛生規則24の4 |
|
50 |
危険・有害業務に従事するときの安全衛生のためのときの安全衛生のための特別教育の記録 |
労働安全衛生規則38 |
|
経理・税務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
51 |
監査報告 本店備置き分。支店備置き分はその謄本を年保存監査役設置会社等の場合 |
株主総会の週間取締役会設置会社は週間前の日 |
会社法442 |
52 |
会計監査報告 本店備置き分。支店備置き分はその謄本を年保存会計監査人設置会社の場合 |
||
53 |
会計参与が備え置くべき計算書類、附属明細書、会計参与報告 会計参与設置会社の場合会計参与が定めた場所に備置き |
会社法378 |
|
54 |
金融機関等が保存する非課税貯蓄申込書、非課税貯蓄申告書、非課税貯蓄限度額変更申告書、非課税貯蓄異動申告書、非課税貯蓄勤務先異動申告書、非課税貯蓄廃止申告書などの写し |
これらの申告書、退職等に関する通知書等の提出があった年の翌年 |
所得税法施行令48、所得税法施行規則13、租税特別措置法施行令2の21、租税特別措置法施行規則3の6 |
55 |
金融機関等が保存する海外転勤者の財産形成非課税住宅貯蓄継続適用申告書、海外転勤者の国内勤務申告書などの写し |
||
56 |
金融機関等が保存する退職等に関する通知書 |
7年の保存期間が義務付けられている文書
労働安全衛生 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
57 |
粉じん濃度の測定記録、測定結果の評価記録 |
作成日 |
粉じん障害防止規則26、26の2 |
58 |
じん肺健康診断記録、じん肺健康診断に係るエックス線写真 |
じん肺法17 |
|
経理・税務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
59 |
取引に関する帳簿仕訳帳現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など※証憑書類のうち取引に関する事項法人税法施行規則の別表22に定める記載事項の全部または一部を帳簿に記載することに代えて、記載されている書類を整理保存している場合の書類を含む |
帳簿閉鎖日および書類作成日・受領日の属する事業年度終了の日の翌日からか月を経過した日当該事業年度分の申告書提出期限の翌日 |
法人税法施行規則59、67 |
60 |
決算に関して作成された書類上に挙げた、会社法で10年保存が義務づけられている書類以外 |
||
61 |
現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など |
||
62 |
現金の収受、払出し、預貯金の預入れ・引出しに際して作成された取引証憑書類領収書、預金通帳、借用証、小切手、手形控、振込通知書など |
||
63 |
有価証券の取引に際して作成された証憑書類有価証券受渡計算書、有価証券預り証、売買報告書、社債申込書など |
||
64 |
取引証憑書類請求書、注文請書、契約書、見積書、仕入伝票など |
||
65 |
電子取引の取引情報に係る電磁的記録取引に関して受領または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項の記録 |
電子帳簿保存法施行規則 |
|
66 |
給与所得者の扶養控除等異動申告書、配偶者特別控除申告書保険料控除申告書 |
法定申告期限 |
国税通則法7073 |
67 |
給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書 |
課税関係終了の日 |
|
68 |
源泉徴収簿賃金台帳 |
法定申告期限 |
|
69 |
課税仕入等の税額の控除に係る帳簿、請求書等年経週後は、帳簿または請求書等のいずれかを保存 |
課税期間末の翌日からヶ月を経過した日 |
消費税法30、消費税法施行令50、消費税法施行規則15の3 |
70 |
資産の譲渡等、課税仕入、課税貨物の保税地域からの引取りに関する帳簿 |
課税期間末の翌日からヶ月を経過した日 |
消費税法58、消費税法施行令71 |
10年以上の保存期間が義務付けられている文書
総務・庶務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
71 |
株主総会議事録 本店備置き分。支店備置き分はその謄本を年保存 |
株主総会の日 |
会社法318 |
72 |
取締役会議事録 |
取締役会の日 |
会社法371 |
73 |
監査役会議事録 |
監査役会の日 |
会社法394 |
74 |
委員会議事録 指名委員会、監査委員会、報酬委員会 |
委員会の日 |
会社法413 |
75 |
重要会議の記録 |
記録作成の日 |
|
76 |
満期または解約となった契約書 |
満期または解約の日 |
|
77 |
製品の製造、加工、出荷、販売の記録 ※民法724の規定では、20年が期限 |
製品の引渡し日 |
製造物責任法、 |
労働安全衛生(保存期間30年) |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
78 |
クロム酸等の空気中における濃度の定期測定記 |
作成日 |
特定化学物質障害予防規則|36 |
79 |
特別管理物質についての作業の記録 |
当該事業場において常時当該作業に従事することとなった日 |
特定化学物質障害予防規則|38の |
80 |
放射線業務従事者の線量の測定結果記録 ※当該記録を年保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときはこの限りでない |
作成日 |
電離放射線障害防止規則 |
81 |
電離放射線健康診断個人票 ※当該記録を年保存した後、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときはこの限りでない |
電離放射線障害防止規則57 |
|
82 |
特別管理物質を取り扱う業務に携わる労働者の特定化学物質健康診断個人票 |
特定化学物質障害予防規則40 |
|
経理・税務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
83 |
計算書類および附属明細書貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表 |
作成した時 |
会社法435 |
84 |
会計帳簿および事業に関する重要書類総勘定元帳各種補助簿、株式申込簿、株式割当簿、株式台帳株式名義書換簿、配当簿、印鑑簿など |
帳簿閉鎖の時 |
会社法432 |
永年保存が義務付けられている文書
総務・庶務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
85 |
定款 |
法律等による保存年限はないが、文書の性格上、永久保存が必要と考えられるもの会社法31、特許法67などこのほか、次の文書を永久保存している会社もある。 ●株主総会議事録 ●取締役会議事録役員会議事録 ●稟議書、重要決裁文書 ●財務諸表および附属明細書、税務申告書 ●固定資産台帳および固定資産の取得・売却に関する書類 ●顧客名簿 ●印鑑登録簿 ●外部団体加入・脱退関係書類など |
|
86 |
株主名簿、新株予約権原簿、社債原簿、端株原簿、株券喪失登録簿 |
||
87 |
登記・訴訟関係書類権利証など |
||
88 |
官公庁への提出文書、官公署からの許可書・認可書、通達などに関する重要な書類 |
||
89 |
知的所有権に関する関係書類特許証や登録証、特許料や登録料の受領書など |
||
90 |
社規・社則およびこれに類する通達文書 |
||
91 |
効力の永続する契約に関する文書 |
||
92 |
重要な権利や財産の得喪等に関する文書 |
||
93 |
社報・社内報、重要刊行物 |
||
94 |
製品の開発・設計に関する重要な文書 |
||
人事・労務 |
|||
No. |
文書名 |
起算日 |
根拠条文 |
95 |
重要な人事に関する文書 |
法律等による保存年限はないが、文書の性格上、永久保存が必要と考えられるもの |
|
96 |
労働組合との協定書 |
法定文書の保存期間が過ぎたからといって削除する会社は意外と少ない?
企業は法定文書の保存期間を過ぎれば、そのデータの削除を検討することになります。しかし、多くの企業では証拠保全やコンプライアンス立証などの理由から法定期間を過ぎても安全に文書を保管していることが多いようです。
ただし、データ量は増え続けて管理コストもかさむため、紙文書で管理していたものは電子化したり、電子データとして保存していたものは、より安いストレージ環境へ移動したりということを行います。
ストレージの機能で安価に安全に法廷文書を保管する
もし、上記でご紹介した法廷文書をストレージに保管する場合にはオブジェクトストレージが有効です。
例えばNetAppのオブジェクトストレージStorageGRID Webscaleであれば、重要度や利用頻度、保存期間などに応じて最適なストレージに保存するILM(Information Lifecycle Management)に対応します。メタデータやポリシー設定で自動管理することで効率的にデータメンテナンスが可能になります。
また、データ保存方法も1つのデータオブジェクトを複数のノードにコピーして格納する Replicationや分割して複数のノードに格納するErasure Coding に対応するため安全にデータを保護することも可能です。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
これだけの文書を、法定保存期間に則って保存することは、企業にとっても大きな負担です。これらの文書の中には電子データでの保存が認められているものがあります。しかし、特定の文書を電子データ化できれば、保存スペースと管理コストの削減が可能ですね。また、領収書や契約書は電子データとして作成すれば、印紙税がかからないというメリットがあります。
電子化して保存する際にはNetAppのストレージ製品をご検討いただければ幸いです。
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