機械学習・深層学習・AIとは?それぞれの違いを解説

 2018.06.05  2022.01.26

人工知能」という言葉を知らない方はいないでしょう。何となくでも「人間の脳のような機能を持ったコンピューター」だと理解しているはずです。近年、この人工知能が目覚ましい発展を遂げています。

Google傘下のAI研究会社であるDeepMindが開発した囲碁AI「AlphaGo」は、昨年人類最強の棋士だと称されていた中国の柯潔(カ・ケツ)氏との対局にて3戦全勝しています。囲碁AIがプロ棋士を下すまでにあと10年はかかると言われていた最中の快挙だったので、話題になったことも記憶に新しいでしょう。

最近では、NTT東日本とソフトウェア会社のアースアイズが提携し「万引き防止AI」の提供を発表しています。これは年間4,000億円以上にものぼる万引き額の抑止のために、人工知能を搭載したカメラが顧客の行動を監視し、不審な動き(うろうろ、きょろきょろなど)を検知して従業員のスマートフォンへの通知と共に検知場所や静止画像を送信するというものです。従業員は怪しい動きをしている顧客に声をかけることで、万引き発生を防止します。

以上のように日進月歩で成長し続ける人工知能の世界ですが、この人工知能について詳しく知らないという方も多いでしょう。そこで本稿では機械学習、深層学習、AIの違いについてご紹介します。

人工知能のメリットとデメリットを理解する」記事でぜひご覧くださいませ!

機械学習とは?

機械学習の第一人者である米国の計算機科学者アーサー・サミュエルの定義によれば、機械学習とは「明示的にプログラムしなくても学習する能力をコンピューターに与える研究分野」としています。彼はコンピューターゲーム分野にて広く知られている人物で、世界で初めてコンピューターチェッカー(赤・黒12個ずつの丸い駒と縦横8マスのチェスボードを用いて相手の駒を取りあうゲーム)を開発しました。

噛み砕いて説明すると、機械学習とは人間が得意としていた物体の認識や事象のグループ分けなどの作業をコンピューターに代替するというものです。

一般的なコンピューターは開発者が作成したプログラム通りに動作します。それに対し機械学習を取り入れたコンピューターは与えられた情報をもとに学習し、そこから自律的に法則やルールを見つけ出すものです。

たとえば迷惑メールフィルタリングは機械学習によって実現するサービスです。迷惑メールに関する大量の情報を飲み込んだコンピューターは、そこから迷惑メールに共通する法則を見つけ出します。この法則を利用して新しく受信したメールが迷惑メールかどうかを判断し、法則に該当するメールを自動的に分別します。

最近では機械学習を取り入れた画像認識や音声認識が高度化しており、今やスマートフォンで音声アシスタント機能が付いているのは当たり前です。

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深層学習とは?

深層学習は「ディープラーニング」とも呼ばれ見聞きしたことがあるという方が多いでしょう。簡単に説明すれば「機械学習よりも一歩先に進んだ人工知能技術」です。深層学習はニュートラルネットワークと呼ばれる人間の神経系の働きを模した人工知能であり、従来の機械学習とは一線を画した技術です。

前述したAlphaGoなどの人口知能がこの深層学習に該当します。機械学習と異なる点は、開発者が特定の目標を設定せずとも自らすべてを学ぶという点です。

たとえば同じくGoogleが開発した人工知能は2012年に人間が教えることなく猫という生物を認識しています。一般的な人工知能では「これは猫だ」というメタデータが付いた画像を大量に読み込ませることで猫の特徴を認識します。それに対しこの人工知能はメタデータを与えることなく自らその特徴を学び、猫という概念を認識しました。

このようにより人間の脳に近い動きをする人工知能が深層学習です。

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AIとは?

「Artificial Intelligence」いわゆる人工知能の総称をAIと呼びます。2001年にはこのAIを題材にしたスティーブン・スピルバーク監督の「AI」という映画が話題になりました。人間と同じ心を持ったAI少年の悲しい物語です。AIと聞くとこの映画で登場した少年のように、まるで人間のような挙動をするロボットと想像しがちですが、残念ながら近年のAI技術はまだまだその域には達していません。ただし、前述したAlphaGoのように一部では人間の脳を越えるAIは多数存在します。

機械学習も深層学習もAIの研究分野の一つですが、昨今では人間の脳と同等かそれ以上の性能を持つコンピューターをAIと呼ぶ傾向があります。

人工知能と機械学習とディープラーニングの違い」についてもっと調べてみよう!

AIが進歩した未来は人間が職を奪われる?

AI分野について色々を調べているとよく見聞きすることが、人間はAIによって職を奪われてしまうという懸念です。2045年にはAIが人類の英知を越えるシンギュラリティ(技術的特異点)が発生すると言われ、人間の職が無くなることで治安悪化などの心配があります。しかし、果たしてAIは人間の職を奪うのでしょうか?

現時点においては、AIが人間の職を奪うような事例はなく、むしろAIによって機械的な部分が排除されより創造的な作業に集中できるようになったという話を聞きます。たとえばデータの集計や、加工および分析、その分析結果からどういったことが言えるのかなど、こうした作業をAIに代替するという時代はすでに到来しています。

ただし、これによってデータサイエンティストの職が奪われるようなことはありません。なぜなら、人間が行う作業の中でも最も価値あるものがAIには不可能な創造的な部分だからです。市場の需要を観測しながら分析によって得た知見をどう活用するのか?どういったキャンペーンを打ち出すのか?など、アイディアで支えられている分野において人間の脳に勝るものはありません。つまりAIはこうした創造的な作業により注力できるための補助として活躍しています。

AIを恐れるのではなく受け入れ、ビジネスで活用することでより高い生産性をもたらしたり、革新的なアイディアを生み出すことができるでしょう。皆さんの会社ではすでにAIを活用しているでしょうか?「まだ」というのなら、この機会にAIをビジネスに取り入れてみてはいかがでしょうか。

例えばNetAppでは、自社で保有する膨大なナレッジ ベース、予測分析、プロアクティブなサポート、コグニティブ コンピューティングによって顧客に情報が提供される人工知能(AI)に対応したNetApp仮想サポート アシスタントであるElioと、同じくAIを活用したクラウドベースの分析ツールであるNetApp Active IQを昨年発表しています。

これらはネットアップに蓄積されたサポートナレッジをベースとし、仮想サポートアシスタントなどの“デジタル体験”を実現し、顧客のインフラ管理における運用効率を高めます。 これらを活用することで、サポート情報を容易に取得し、業務時間をインフラ管理ではなく、より有益な活動に利用できます。

近年はビジネスで活用できる様々なAIが登場しているので、上手く活用すればビジネスを一つ上のステージに持っていけるでしょう。

関連記事:皆様のITインフラは本番環境においてAIワークフローに対応していますか?

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