バックアップだけじゃない! ONTAPとVeeamによるデータ活用!! 第3回 “Veeam Backup & Replication”によるONTAPのバックアップ

 2019.09.12  2023.03.30

皆さん、こんにちは

SB C&S株式会社 技術担当の小川です。

第2回ではVeeam Backup & Replication Console(Veeamコンソール)へのONTAPの登録とSnapshotの取得が簡単に実施できることを説明させていただきました。今回のブログで紹介する機能は『ONTAPのSnapshotと連携したVeeamバックアップの取得方法』について紹介します。

言葉だけ見るとどのように連携するのかイメージが湧かないかと思いますので、バックアップ取得の流れから実際の操作方法まで詳しく説明いたします。

今回のバックアップの対象はONTAPに保存された仮想マシンのデータとなり、ONTAPのバージョンは9.5とします。なお、ONTAPのSnapshotと連携したバックアップを実施する場合に使用するVeeamライセンスは「Enterprise Plus」となります。

こちら「Microsoft 365などのSaaS環境でもバックアップが必要?その意味とは」記事もご参考にしてください!

Veeamによるバックアップの基本的な流れ

現在、VMwareバックアップに対応したバックアップソフトウェアを使用して仮想マシンバックアップを行う場合、VMwareが提供しているバックアップのためのAPIであるVADP(VMware vSphere Storage API - Data Protection)と連携し、仮想マシンを丸ごとイメージバックアップするケースも多くなってきているのではないかと思います。

VADPを利用したバックアップでは、バックアップ時の動作の仕組みとしてVMwareのスナップショット機能と連携することで、対象仮想マシンの静止点を確保した上でバックアップを取得することになります。

しかし、VADPバックアップはスナップショット取得による静止点を確保した状態のバックアップを手軽に取得可能であるという利便性が高い仕組みである一方で、同時にパフォーマンス劣化に関わる可能性も抱えています。VMwareのスナップショットでは、スナップショットが作成されるタイミングで仮想マシンを構成している仮想ディスクである通常のVMDKファイルに加えて差分を記録するためのデルタVMDKファイルが追加され、このデルタVMDKファイルはスナップショットが削除されるまで保持されます。このスナップショットを保持し続けた状態で対象の仮想マシンに対してストレージI/Oが発生すると通常のVMDKファイルだけではなく、デルタVMDKファイルに対してもI/Oが発生するためI/O負荷が高くなる状態が発生します。結果的にバックアップ中の対象仮想マシンのパフォーマンスが低下してしまう要因にも繋がってしまう可能性があります。

そのため、出来る限りVMwareのスナップショットの保持期間を短時間にとどめておきたいところですが、通常、VADPバックアップによるバックアップはその仕組みの性質上、バックアップ中はVMwareスナップショットを保持し続けてしまうため、ミッションクリティカルな環境においては対策を考える必要があります。

これに対し、NetApp ONTAPストレージと“Veeam Backup & Replication”を連携したVADPバックアップでは、一時的にVMwareのスナップショットを取るもののONTAPのSnapshotを取得し、それを静止点としたバックアップを実施します。この際、VMwareスナップショットはすぐに削除されパフォーマンスに影響がないバックアップを実現します。

VMwareの仮想マシンのバックアップを取得する場合の動作の流れは以下のようになります。

  1. Veeamのバックアップジョブで指定された仮想マシンがONTAPのどのボリュームに配置されているか分析
  2. ONTAPのボリュームに格納されているすべての仮想マシンに対しVMware vSphereの仮想マシンのスナップショットを取得
  3. ONTAPのボリュームのSnapshotを取得
  4. vSphereの仮想マシンスナップショットのCBT(Change Block Tracking)情報を取得
  5. vSphereの仮想マシンスナップショットを削除
  6. Veeamバックアッププロキシ(データ転送用のサーバ)の1つにONTAPのSnapshotをマウント
  7. 仮想ディスクの新しいデータブロックと変更されたデータブロックをONTAPのSnapshotから読み取りVeeamバックアップレポジトリ(バックアップデータ保存先)に転送
  8. バックアップ完了後ONTAPのSnapshotを削除

図1-17

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はじめてのONTAP

Veeam Backup & Replication Consoleからのバックアップ取得手順

“Veeam Backup & Replication Console”によるONTAPに保存された仮想マシンのバックアップの流れが理解できたところで実際にバックアップを取得する方法を説明します。

今回は説明を簡単にするため1つのWindowsサーバに「バックアップサーバ」、「プロキシサーバ」をインストールしバックアップデータの保存先となる「バックアップレポジトリ」をWindowsサーバのローカルディスクとし仮想マシンのバックアップを実施します。

VMware vSphere環境の登録

Veeamの操作は“Veeam Backup & Replication Console”(以降、Veeamコンソール)から実施ます。まずはバックアップ対象となる仮想マシンが動作するVMware vSphere環境をコンソールに登録します。任意のWindowsにインストールすることが可能です。VeeamコンソールはWindowsのショートカットから起動します。

図2-16

Veeamコンソールを起動するとログイン画面が表示されますので「VeeamバックアップサーバのIPアドレスもしくはサーバ名」、「VeeamバックアップサーバがインストールされているWindowsのユーザ名」、「パスワード」を入力し「Connect」をクリックします。

図3-16

Veeamコンソール起動後「BACKUP INFRASTRUCTURE」の「Managed Server」をクリックし「ADD Server」をクリックします。

図4-13

「Add Server」の画面で「VMware vSphere」をクリックします。

図5-13

「VMware vSphere」の画面で今回は「vSphere」を選択します

図6-14

「New VMware Server」ウィザードが表示されます。「DNS name or IP Address」にvCenter Serverの情報を入力し「Next」をクリックします。

図7-11

「Credentials」の画面ではvCenter Serverにログインするためのアカウント情報を入力します。以下の画面で「Add」をクリックします。

図8-9

「Username」、「Password」を入力し「OK」をクリックします。

図9-9

入力したアカウント情報が選択されていることを確認し「Next」をクリックします。

図10-8

「Certificate Security Alert」が表示されるので「Continue」をクリックします。
図11-4

「Summary」が表示されるので「Finish」をクリックします。

図12-2

VeeamコンソールにvCenter Serverが登録されたことを確認します。

図13-1

ONTAP環境の登録

続いてバックアップ対象となる仮想マシンが保存されたONTAPクラスタをコンソールに登録します。登録方法は『第2回 VeeamコンソールへのONTAPの登録とSnapshotの取得』で紹介させて頂いていますので、こちらをご参照ください。

図14

仮想マシンのバックアップ

VMware vSphere環境とONTAP環境の登録が完了しましたら、いよいよ仮想マシンのバックアップを実施します。仮想マシンのバックアップはVeeamコンソールからバックアップジョブを作成し取得します。

詳しくは、こちら「バックアップソフトウェア6選を比較」記事でご参考にしてください。

Veeamコンソールの「HOME」画面の左上の「Backup Job」をクリックし「Virtual Machine」をクリックします。

図15

「New Backup Job」ウィザードが表示されますので「Name」にジョブ名を入力し「Next」をクリックします。

図16

「Virtual Machines」の画面でバックアップ対象となる仮想マシンを登録します。以下の画面で「Add」をクリックします。

図17

登録されたvSphere環境が表示されるのでバックアップ対象となる仮想マシンを選択し「Add」をクリックします。

図18

選択した仮想マシンが表示されたら「Next」をクリックします。

図19

「Storage」の画面で「Backup repository」を今回は「Default Backup Repository(Create Veeam Backup)」を選択します。次に「Advanced」をクリックします。

図20

ONTAPのスナップショットと連携するための設定を行います。「Integration」タブをクリックし「Enable Backup from Storage Snapshot」にチェックを入れます。

図21

「Gest Processing」の画面では今回は何も選択せず「Next」をクリックします。

図22-1

「Schedule」も今回は何も設定せずに「Next」をクリックします。

図23

「Summary」画面が表示されたら「Finish」をクリックします。

図24

今回はスケジュールを設定していないため手動でバックアップジョブを実行します。

作成したバックアップジョブを選択し左上の「Start」をクリックします。

完了すると以下の画面のように「Job finished …」と表示されます。
図25-1

今回はVeeamとONTAPのSnapshotと連携したバックアップの流れと操作方法について説明させていただきました。

VeeamとONTAPの連携はこれだけではありません。次回はOnDemand Sandboxによるデータの活用について説明したいと思います。

【関連情報】こちらもご覧ください

「NetApp ONTAP Select 導入マニュアル」 ー SB C&S Engineer Voice


【著者情報】

ogawa

小川 正一(おがわ しょういち)

ストレージやHCIプロダクトのプロダクト担当、プリセールスエンジニア、ソリューションエンジニアなどなどさまざまな一面を持つ。ディストリビュータという立場からさまざまな販社様に個別プロダクト紹介やオープンセミナー、Web記事などで広くNetAppプロダクトを紹介しているマルチなエンジニア。


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