NetApp HCI 第7回 NetApp HCIのソフトウェアのアップグレード方法

 2019.04.03  2022.01.26

皆さん、こんにちは

SB C&S 技術担当の小川です。

これまでのNetApp HCIのブログで基本的な設定について説明させていただき、NetApp HCIを深くご理解いただけたのではないかと思う今日この頃です。

今回のブログでは、NetApp HCIを運用していくなかで必要に応じて実施することになるNetApp HCI環境のアップグレードについて説明させていただきます。

今回は既存環境としてNDE 1.3.1でデプロイした環境から、NDE 1.4のソフトウェアを使用したアップグレードを説明いたします。

 ※アップグレードの手順は対象のバージョンや作業環境により変わる可能性もあるので最新のドキュメントも合わせてご利用ください。

 ※こちらの記事はあくまでSB C&SのNetApp HCI環境で実施した一例となります。

 ※アップグレード実施の際は事前にNetAppのサポートへご連絡いただくことをおすすめします。

アップグレード対象となるコンポーネントとアップグレード順序

NetApp HCIの環境をアップグレードする際、「何がアップグレードの対象となるコンポーネントで、どのような順番でアップグレードが必要か」ということを把握しておく必要があります。なぜこのようなことが必要かというとNetApp HCIで構築した仮想環境は非常に自由度が高く、NDE実行後の初期状態を大幅に変更しても運用ができるという特徴があります。そのためアップグレードを行う際にすべてのコンポーネントが一括でアップグレードされてしまうと利用者が望む自由度を損ねてしまいます。そのため「ストレージノードはアップグレードするけどVMware vSphere環境はアップグレードしたくない」などのご要望に答えるため、コンポーネント毎にアップグレードする仕組みを採用しています。

NetApp HCIのアップグレード対象のコンポーネントと順序は以下になります。

  1. mNode
  2. VMware vCenter Server
  3. VMware ESXi
  4. NetApp ElementOS Plug-in
  5. NetApp HCI Storageノード

この順番を踏まえ各コンポーネントのアップグレード方法を説明いたします。

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各コンポーネントのアップグレード

NetApp HCIはコンポーネント毎にそれぞれアップグレード方法が異なります。また、アップグレードには事前に必要なソフトウェアなどをNetAppのサポートサイトから入手する必要があります。サポートサイトへのアクセスは事前にアカウント登録が必要です。

■ネットアップサポートサイト

  http://mysupport.netapp.com/

mNodeのアップグレード

NetApp HCIのmNodeはActive IQによるリモートアラートの送信を行うだけでなく、vCenter Serverへのプラグインの登録やストレージノードのElement OSのアップグレードを実施するためNetApp HCI環境のアップグレードの際は最初に実施する必要があります。

NDE1.3でインストールされたElement OSは10.3でしたがNDE1.4からはElement OS 11.0とメジャーバージョンが変わるため、mNodeのアップグレードは仮想アプライアンス自体を入れ替えるという方法をとります。以降、NDE1.3でのmNodeを「旧mNode」NDE1.4でのmNodeを「新mNode」と表現します。

まず、旧mNodeをシャットダウンします。mNodeをシャットダウンしてもサービスに影響はないためご安心ください。mNodeはVMware ToolsがインストールされているためvSphere Web Clientからシャットダウンの操作が行なえます。

図1-15

旧mNodeの電源がOFFになったら新mNodeのOVFテンプレートのデプロイを実施します。新mNodeのOVFファイルはNetAppのサポートサイトから事前にダウンロードしてください。

図2-14

OVFテンプレートのデプロイのウィザードが開始されたら『テンプレートの選択』の画面が表示されますので対象となるOVFファイルを選択します。

図3-14

『名前と場所の選択』の画面でデプロイされる仮想アプライアンスの名前とデプロイ先のデータセンターもしくはフォルダを設定します。デプロイ先は旧mNodeと同じ「NetApp-HCI-DataCenter」で問題ありません。

図4-12

『リソースの選択』の画面では新mNodeが動作するESXiホストもしくはクラスタを選択します。

図5-12

『詳細の確認』の画面でデプロイされる新mNodeの情報を確認し次へ進みます。

図6-13

『ストレージの選択』の画面で新mNodeを格納するデータストアを選択します。

図7

『ネットワークの選択』の画面で新mNodeが接続されるポートグループを指定します。接続するポートグループは「HCI_Internal_mNode_Network」を選択してください。

図8

『設定の確認』の画面で設定内容を確認しデプロイを開始させます。

図9

新mNodeのデプロイが完了したら電源をONにしvSphere Web Clientからコンソール画面を開きます。新mNode起動後ユーザ名とパスワードの設定を行います。

図10

新mNodeのデプロイ直後は管理用のIPアドレスが設定されていません。管理用のIPアドレスを設定する際、旧mNodeは使用しなくなるため新mNodeに旧mNodeと同じIPアドレスを設定しても問題ありません。

図11

VMware vCenter ServerとVMware ESXiのアップグレード

NetApp HCIにおけるvCenterサーバとESXiホストのアップグレードは特別な手順はありません。VMwareの公式ドキュメントに従いvCenter Server⇒ESXiホストの順にアップグレードを行ってください。

弊社のNetApp HCI環境でvSphere 6.5 update 2からvSphere 6.7 update1の環境にアップグレード検証を行った際、vCenter ServerはISOファイルに格納されたインストーラから実施し問題なく動作しております。

図12

ESXiホストのアップグレードは再起動後ISOファイルからのインストーラとUpgrade Managerの2つの方法を検証しましが、双方問題なく動作しております。

図13

なお、余談となりますがNDE1.4 環境ではvSphere 6.7での運用をサポートしておりますが、NDE1.4で新規にデプロイを実施した際にデプロイ可能なvSphere環境はvSphere 6.5までとなっております。そのため、vSphere 6.7で運用したい場合は必ずvSphere環境のアップグレードが必要となりますのでご注意ください。

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NetApp ElementOS Plug-inのアップグレード

VMware vSphere環境のアップグレードが終わるとNetApp HCIのストレージノードの設定や操作を行うためのvCenter Server Plug-inのアップグレードを実施します。

Webブラウザから新mNodeの管理IPアドレスにアクセスします。アクセスの際は「https:// 」を明示的に指定しアクセスしてください。

『vCenter Plug-in Registration』⇒『Upgrade Plug-in』をクリックします。vCenter ServerのIPアドレス、管理権限のユーザ名とパスワードを入力しアップグレードを実施します。

図14

vCenter Plug-nのアップグレードが完了するとvSphere Web Clientのホーム画面にプラグインが表示されます。

vSphere Web Client

なお、新mNodeデプロイ直後はNetApp HCIのストレージクラスタの情報が登録されていません。そのため「NetApp Element Management」⇒「Clusters」⇒「Add Cluster」からストレージクラスタを登録する必要があります。ストレージクラスタ登録する際はストレージクラスタのVIPと管理ユーザアカウントとパスワード、vCenter ServerのIPアドレスを入力します。

図16

また、QoSSIOCを使用する場合は「NetApp Element Management」⇒「mNode Settings」から新mNodeの情報を設置する必要があります。

図17

このときの新mNodeのパスワードは先程設定した管理ユーザのパスワードではなく初期上状態で以下のユーザ名とパスワードが設定されています。

ユーザ名 :admin

パスワード:solidfire

このユーザ名とパスワードを変更する場合はvSphere Web Clientからではなく、Webブラウザから新mNodeの管理IPアドレスにアクセスし「QoSSIOC Management」から変更します。

図18

NetApp HCI Storageノードのアップグレード

NetApp HCIのストレージノードはSolidFireのアーキテクチャを採用していることからSolidFireと同様にNetAppのサポートのメンバーに実施いただくことが可能です。

また、SolidFireと同様にユーザ様がご自身で実施いただくことも可能です。ユーザ様がご自身でストレージノードをアップグレードされる際も万が一に備えNetAppのサポートの方にご一報を入れていいただくことをお薦めいたします。

NetApp HCIのストレージノードのアップグレードは新mNodeのコマンドラインから実行します。アップグレードを実行する前にNetApp Supportサイトから「HealthTools」をダウンロードします。このHealthToolsを最新版にアップグレード後、HealthToolsに含まれるコマンドでストレージノードをアップグレードします。

図19

まず、新mNodeにターミナルソフトからSSHでアクセスします。SSHでアクセスする際のユーザアカウントは前述で設定した管理ユーザアカウントでログインします。

SSHでアクセス後、以下のコマンドを実行し現在のHealthToolsのバージョンを確認します。

$ sudo sfupdate-healthtools -v

【コマンド結果例】

administrator@SF-6E2A ~ $ sudo sfupdate-healthtools -v

sfupdate-healthtools /sf/bin/sfupdate-healthtools -v

Currently installed version of HealthTools:

    2018.09.01.131

Management Node Platform: Ember

次に事前にダウンロードしたHealthToolsを任意のファイル転送ソフトから新mNodeに転送します。転送先のディレクトリは/tmpなどの任意のディレクトで問題ありません。

HealthToolsを転送後、新mNodeで以下のコマンドを実行し新mNode内のHealthToolsをアップグレードします。

$ sudo sfupdate-healthtools “HealthToolsのファイルのフルパス”

【コマンド実行例】

administrator@SF-6E2A / $ sudo sfupdate-healthtools /tmp/solidfire-healthtools-2018.09.01.136.tgz

Password:

sfupdate-healthtools /sf/bin/sfupdate-healthtools /tmp/solidfire-healthtools-2018.09.01.136.tgz

Checking key signature for file /tmp/solidfire-healthtools-2018.09.01.136/components.tgz

installing command sfupdate-healthtools

Restarting HealthTools: /sf/bin/sfupdate-healthtools -r 2018.09.01.136

sfupdate-healthtools /sf/bin/sfupdate-healthtools -r 2018.09.01.136

installing command sfupgradecheck

installing command sfinstall

installing command sfresetupgrade

administrator@SF-6E2A / $ sudo sfupdate-healthtools -v

sfupdate-healthtools /sf/bin/sfupdate-healthtools -v

Currently installed version of HealthTools: 2018.09.01.136

Management Node Platform: Ember

新mNode内のHealthToolsをアップグレード後、以下のコマンドを実行しストレージノードにHealthToolsをアップロードします。

$ sudo sfupgradecheck -u “ストレージノードの管理ユーザ名” -p “管理ユーザパスワード” “ストレージクラスタのSVIP”

【コマンド実行例】

administrator@SF-6E2A / $ sudo sfupgradecheck -u administrator -p xxxxxx 192.168.10.100

Password:

Uploading solidfire-sfinstalld-2018.09.01.136.tgz to nodeID 1

Uploading solidfire-sfinstalld-2018.09.01.136.tgz to nodeID 2

Uploading solidfire-sfinstalld-2018.09.01.136.tgz to nodeID 3

Uploading solidfire-sfinstalld-2018.09.01.136.tgz to nodeID 4

check_pending_nodes:

   Test Description: Verify no pending nodes in cluster

   More information:https://kb.netapp.com/support/s/article/ka11A0000008ltOQAQ/pending-nodes

check_cluster_faults:

   Test Description: Report any cluster faults

check_cores:

   Test Description: Verify no core or dump files exists

   Passed node IDs: 1, 2, 3, 4

check_mnode_connectivity:

   Test Description: Verify storage nodes can communicate with management node

   Passed node IDs: 1, 2, 3, 4

   More information:https://kb.netapp.com/support/s/article/ka11A0000008ltYQAQ/mNode-connectivity

check_upload_speed:

   Test Description: Measure the upload speed between the storage node and the management node

   Node ID: 1 Upload speed: 108634.34 KBs/sec

   Node ID: 3 Upload speed: 109733.45 KBs/sec

   Node ID: 2 Upload speed: 98481.32 KBs/sec

   Node ID: 4 Upload speed: 107492.42 KBs/sec

check_root_disk_space:

   Test Description: Verify node root directory has at least 12 GBs of available disk space

   Passed node IDs: 1, 2, 3, 4

   More information: https://kb.netapp.com/support/s/article/ka11A0000008ltTQAQ/SolidFire-Disk-space-error

check_paging_conversion:

   Test Description: Verify block service conversion has completed

   Passed node IDs: 1, 2, 3, 4

check_files:

   Test Description: Verify options file exists

   Passed node IDs: 1, 2, 3, 4

 

ストレージノードを最新のElementOSにアップグレードするためNetAppのサポートサイトからElementOSのISOファイルをダウンロードします。

図20

ElementOSのISOをダウンロード後、任意のファイル転送ソフトで新mNodeにElementOSのISOファイルをアップロードします。アップロード先のディレクトリは/tmpなどの任意のディレクトリで問題ありません。

ElementOSのISOファイルを新mNodeへアップロード後、新mNodeから以下のコマンドを入力しストレージノードのアップグレードを実行します。

$ sudo sfinstall -u “ストレージノードの管理ユーザ名” -p “管理ユーザパスワード” “ストレージクラスタのSVIP” “ElementOSのISOファイルのフルパス”

【コマンド実行例】

administrator@SF-6E2A / $ sudo sfinstall -u administrator -p xxxxxx 192.168.10.100 /tmp/solidfire-rtfi-sodium-11.0.0.781.iso

Password:

2019-01-21 06:12:58: sfinstall Release MH Version: 2018.09.01.136 Management Node Platform: Ember Revision: 9b10b890feb2 Build date: 2018-12-07 05:56

2019-01-21 06:12:58: Checking connectivity to MVIP 192.168.10.100

2019-01-21 06:12:58: Checking connectivity to node 192.168.10.11

2019-01-21 06:12:58: Checking connectivity to node 192.168.10.12

2019-01-21 06:12:58: Checking connectivity to node 192.168.10.13

2019-01-21 06:12:58: Checking connectivity to node 192.168.10.14

2019-01-21 06:12:58: Successfully connected to cluster and all nodes

 

2019-01-21 06:12:58: ################################################################################

2019-01-21 06:12:58: You are about to start a new upgrade

2019-01-21 06:12:58: Cluster name: netapp-hci-scluster MVIP: 192.168.10.100

2019-01-21 06:12:58: Current cluster version: 10.3.0.157

2019-01-21 06:12:58: Package to install: /tmp/solidfire-rtfi-sodium-11.0.0.781.iso

2019-01-21 06:12:58: Management IP Node Name IDPlatform Version

2019-01-21 06:12:58: =============== ================ ======= ======== ==========

2019-01-21 06:12:58: 192.168.10.11 netapp-hci-snode-A 1 H300S 10.3.0.157

2019-01-21 06:12:58: 192.168.10.12netapp-hci-snode-B 2 H300S10.3.0.157

2019-01-21 06:12:58: 192.168.10.13 netapp-hci-snode-C 3 H300S10.3.0.157

2019-01-21 06:12:58: 192.168.10.14 netapp-hci-snode-D 4 H300S10.3.0.157

2019-01-21 06:12:58: ################################################################################

 

2019-01-21 06:12:58: Do you want to continue?

['Yes', 'No']: yes

 

---------------------------------------以下略-----------------------------------

アップグレード完了後、WebブラウザからストレージノードのSVIPにアクセスしストレージクラスタ管理画面の「Over View」から現在のストレージノードのバージョンを確認することができます。

storage-cluster-management-screen

NetApp HCIのアップグレードの説明は以上となります。はじめに実施したmNodeのアップグレードで電源OFFにした「旧mNode」は、アップグレード完了後には不要となるため削除してください。

NetApp HCIはこれからも進化を続けていく製品です。NetAppの提唱するData Fabricを体験するためにぜひともアップグレードを行って新機能に触れてください。

 

【関連情報】こちらもご覧ください。

「刮目(かつもく)せよ! 「NetApp HCI」3大奥義!」(TechTarget)


【著者情報】

ogawa

小川 正一(おがわ しょういち)

ストレージやHCI製品の製品担当、プリセールスエンジニア、ソリューションエンジニアなどなどさまざまな一面を持つ。ディストリビュータという立場からさまざまな販社様に個別製品紹介やオープンセミナー、Web記事などで広くNetApp製品を紹介しているマルチなエンジニア。


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