ONTAP 9 クラウド時代の革新 〜技術ロードマップ と 最新情報アップデート〜

 2019.02.26  2022.01.26

本記事は2018年12月に開催されたネットアップの年次イベント「NetApp Innovation 2019」の講演レポートです。

ネットアップ合同会社 ソリューション技術本部SE1部の中山慶信氏が、「ONTAP 9 クラウド時代の革新 ~技術ロードマップ と 最新情報アップデート~」の中で、その技術ロードマップと最新情報アップデートについて講演しました。

近年、クラウドの利用はますます進み、クラウドとオンプレミスを併用するハイブリッドクラウドも一般的になりつつあります。NetAppのハイブリッドクラウド戦略である「Data Fabric」やONTAPがどのように企業情報システムに貢献するのかをご確認ください。

NetApp ONTAPの歴史と概要

NetApp ONTAPは、同一プラットフォームでブロック/ファイルプロトコルの両方をサポートするストレージ専用OSとして、25年の実績とテクノロジーイノベーションを提供しています。NetApp ONTAPは、オールフラッシュのパフォーマンスを最大限に引き出す最適化に、エンタープライズクラスのストレージ効率性、そしてマルチクラウドとの接続を実現しています。

中山氏はNetApp ONTAPの歴史について振り返ります。1992年に開発されたWrite Anywhere File Layoutとして開発されたストレージ管理システムは、25年の歳月を経てNetApp ONTAPとして進化してきました。

図1-11

最新版となるNetApp ONTAP 9は、エッジからコア、クラウドまでのデータ管理の統一と簡素化を実現しています。あらゆるアプリケーションから利用でき、あらゆる場所において共通化されたデータ管理を実現します。

Cloud Volumes ONTAP : クラウドベースのデータ管理サービス
はじめてのONTAP

NetApp ONTAPの新機能

続いて中山氏は、NetApp ONTAPの新機能について紹介します。

最新バージョンで実現される新機能の特長は「シンプル化」と「ストレージ容量削減」にあると中山氏は説明します。シンプル化では、ワンクリックでアップグレードが可能になり、使用するアプリケーションに適したプロビジョニングに加えて、操作や管理のGUIがシンプルになりました。また、ストレージ容量削減では、圧縮アルゴリズムを進化させONTAPがリレーショナルデータベースのデータを圧縮する方法を改善しています。これにより15%の向上を実現しました。

加えて、スナップショットのコピーとアクティブファイルシステムで同一のブロックを共有するSnapshot Sharingも実現しました。そして、論理容量を元にレポーティングと使用制限によって、ストレージ効率化機能を有効に活用するLogical Space Accountingも装備されました。

Logical Space Accountingは、論理使用量によるレポーティングを実現する機能です。ONTAP 9.4以降で提供される新機能で、容量の見せ方をコントロールできます。NetApp AFF(All Flash FAS)のみでサポートし、ボリュームオプションで設定します。ONTAPのEfficiency(重複排除や圧縮など)を有効にしている場合に、適用前の論理使用量をクライアントに表示できます。さらに、ONTAP 9.5以降では、論理使用量でクォータを定義できます。この場合は、クライアントは指定された論理使用量を超過した書き込みはできません。Logical Space Accountingは、主にサービス事業者を対象とした機能で、利用者の論理的な使用量を基準にしたサービスの提供をサポートします。

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クラウド関連機能のアップデート

NetApp ONTAPの新機能で、クラウド関連のアップデートには、3つの大きな用途や性能の強化があります。

まず、Fabric Poolはアクセス頻度の低いデータを自動移動し、オンプレミスのAFFとクラウドのシームレスなデータの自動階層化を実現します。例えば、Fabric Poolを使用してAmazonやAzure、およびその他のクラウドオプションにオフロードすることで、Performance Tierの容量を最適にできます。

図2-10

二つ目は、オンプレミスシステムからNetApp SnapMirrorまたはSnapVaultを使ってCloud Volume ONTAPに移動して、バックアップとアーカイブにクラウドを使用できます。

そして三つ目のNetApp Data Availability Services (NDAS)では、単一の管理インターフェースによってデータ保護ワークフローを簡素化し統合することで、ビジネス継続性のためのクラウド活用を実現します。NDASは、ハイブリッドクラウドにおいてデータ保護をシンプルにし、データの可用性を広げ、クラウド上でデータの利用を有効にします。NDASのアーキテクチャの概要は、図のようになっています。

図3-10

パフォーマンス関連のアップデート

NetApp ONTAPの新機能では、ホストのパフォーマンスを最大化するNetApp MAX Dataに、グローバルネームスペースを高速化するNetApp FlexCacheと、驚異的なパフォーマンスと高い可用性を実現するNVMe/FCがあります。

まず、NetApp MAX Dataは、メモリに最適化されたファイルシステムにより、アプリケーションに超高速なデータ入出力を提供します。そして、メモリとストレージを跨る階層化アーキテクチャを採用し、ONTAPと組み合わせることでクラウドまで含めた完全に透過なデータ管理機能を提供します。Oracle DBのベンチマークでは、従来のフラッシュストレージと比較して、30倍の高速化を実現しています。

図4-8

次に、NetApp FlexCacheはリードアクセスの多いワークロードのパフォーマンスを高速化します。対象となる構成は、イントラクラスタとインタークラスタの2種類で、現時点ではNFSv3のみサポートし、アクセス頻度の高いブロックのみキャッシュされます。

図5-8

そして、NVMe over Fibre Channel (NVMe/FC) アップデートでは、ONTAP 9.4と9.5で、それぞれ以下のようなサポートが行われます。

ONTAP 9.4

・アプリケーションベースのHAのみ

・ストレージのパスフェールオーバーに未対応

・アプリケーション側のフェールオーバー機能を使用(e.g. OracleRAC, MongoDB, Splunk)

・SUSE Enterprise Linux 12 SP3 サポート

ONTAP 9.5

・Asynchronous Namespace Access (ANA)機能によるストレージマルチパスフェールオーバーをサポート

・ANAはALUAに似ている機能

・SUSE Enterprise Linux 15でサポート

・RedHat Enterprise Linux 7.6 サポート(ANA未対応)

Virtual IPでネットワークをモダナイズ化

ネットワークを効率的に利用するために、Virtual IPでネットワークをモダナイズ化します。Full network utilizationルーティング(L3)によって、複数のリンクで自動的にロードバランシングを行うなど、ネットワークのより効率的な利用が可能になります。また、BGPに対応し、L2レベルのネットワークの制約をなくすことで、Virtaul IPがネットワークのどこでも利用可能になり、ワークロードの移動を柔軟にします。

図6-9

データ保護関連のアップデート

NetApp ONTAPの新機能で、データ保護関連のアップデートでは、MetroCluster over IPの強化に、Snapshot上限の拡張と、SnapMirror SynchronousによるDRレプリケーションがあります。

まず、MetroCluster over IPをより魅力的なものにするために、より遠い距離や幅広いプラットフォームをサポートします。NetApp MetroCluster IPでミッドレンジのプラットフォームもサポートします。

図7-6

また、NetAppONTAP9.4以降では、ボリュームごとに1,023のNetApp Snapshotコピーのサポートが追加され、より長期のデータ保持が可能になりました。

そして、SnapMirror Synchronous(SM-S)は、ボリュームベースのデータレプリケーションを実現し、FCとiSCSIにNFSv3のプロトコルをサポートします。ネットワーク遅延は10ms以下で、通常のSnapMirrorライセンスに加え、SnapMirror Synchronousライセンスが必要になります。同期レプリケーションは2種類のモードをサポートし、重要なアプリケーションの保護に貢献します。

図8-5

より柔軟な構成を可能にするONTAP Select

ONTAP Selectは、ONTAPをベースとした汎用サーバ向けのSoftware-Defined Storage(SDS)です。ONTAP Selectは、DASや外部アレイ、NetApp HCIの他、他社のシステムにも導入できます。MetroCluster IPをサポートし、最大で10km離れたストレッチクラスターを構成する場合にONTAP Selectを使用できます。また、KVM/ESXiで新たにSW RAIDをサポートし、パフォーマンスと信頼性を向上しました。

ONTAP Selectは、vSphere及びKVMのハイパーバイザー上で動作し、データ管理を実現します。汎用IAサーバの内蔵ディスク(DAS)や外部アレイ構成、VMware VSAN構成に対応します。DAS構成において、Software RAID機能をサポートし、1クラスタあたり、最大8ノードに拡張できます。また、Hypervisor 1台あたり、複数のONTAP Selectインスタンスをサポート(DAS構成除く)します。そして、1ノードあたり400TBまでサポートし、Fabric Pool、MetroCluster IPにも対応します。

図9-4

最後に中山氏は、NetApp ONTAPの新機能について、以下のように整理しました。

図10-4

Cloud Volumes ONTAPを使用してマルチクラウドのデータ保護を実現するNetApp HCI

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