いまNVMe over Fibre Channelが必要な理由とは?

 2018.08.13  ストレージチャンネル編集部

データ ストレージ テクノロジは過去20~30年の間に目覚しい発展を遂げましたが、そのイノベーションのペースはいまだ衰えを知りません。

外付けストレージ システムの分野では長きにわたり、ハードディスクが市場を独占してきました。しかし、フラッシュ ストレージの登場によって、あっという間にトップの座を明け渡しています。最初はハイブリッド システム(ハードディスクとフラッシュを併用)が、続いてオールフラッシュ システムが提供されるようになりましたが、いずれも基盤となるストレージの転送プロトコルがパフォーマンスのネックとなっていました。こうしたパフォーマンスの問題を解消したのが、新たに開発されたNVMe over Fibre Channel(NVMe / FC)です。

このテクノロジの移り変わりや、ITリーダーにとってNVMe / FCがいかに重要なテクノロジであるかを理解するためには、次の点を覚えておくことが必要です。それは、現在ネットワーク プロトコルの主流であるファイバチャネルとイーサネットはどちらも、ストレージ プロトコルのSCSI(Small Computer System Interface)コマンド セットを使用しているということです。SCSIはメカニカル ストレージ メディア(さらにはその他の各種デバイス)向けとして、1970年代に開発されたテクノロジです。ディスクドライブを相手とするデータの読み取りと書き込みはできても、フラッシュ ストレージのスピードにはついていけません。

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とりわけ、初期のハードディスク ドライブでは個々のデバイスのレイテンシがネックになっていました。そのことがRAIDコントローラの開発を促す主なきっかけとなったほどです。さらに、デバイスへのアクセス時間がミリ秒レベルになると、ネットワークのレイテンシなどは、それほど大した問題ではなくなります。しかし、エンド ポイントの高速化が進むにつれて、ネットワークの速度が目立つようになりました。しかも、ソフトウェア スタックの素早い応答がビジネスに不可欠になってきます。

そして今では、データ チャネルを構成する他の要素のボトルネックによって、SSDによる高速化の効果が限界に近付きつつあります。こうしてデータ ストレージ業界は30年以上を経てついに、ホスト サーバと外付けストレージ システムとの通信を目的とした、はるかに高速な新しい規格への移行を始めました。NVMe over Fibre Channelの誕生です。このテクノロジでは、データ ファブリック内に広く導入され、優れたパフォーマンスを誇るファイバチャネルが活用されています。

重要な点として、NVMe / FCと、既存のSCSIコントローラのバックエンドにNVMeデバイスを接続しただけの場合とは分けて考える必要があります。もちろん、より高速なデバイスを使えば、おそらくパフォーマンスは上がるでしょう。ただし、それはレースカー用のエンジンをファミリー向けセダンに搭載するようなものです。ファミリーカーとしては速くなっても、レースカーにはなり得ません。

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NVMe / FCに移行するべきタイミング

NVMe / FCへの移行は一朝一夕に行えるものではありません。大きな組織では、すでに導入済みのインフラをしばらくは使い続けなければならないでしょう。また、経験を積んだIT部門の皆さんはおわかりだと思いますが、既存のアプリケーションが更新され、NVMeテクノロジを活用できるようになるにはしばらく時間がかかります。何といっても、NVMeの大きな魅力は64Kのコマンドキューがサポートされ、各キューで64Kのコマンドを保持できる点です。コマンドキューが1つしかなく、最大で64個のコマンドしか保持できないiSCSIとは大違いです。

NVMeの新しい機能を活用するには、NVMe用インフラを構築するのと同時進行で、ソフトウェア開発者によるコードの変更が必要になります。これはストリーミング メディア市場が発展した経緯とよく似ています。ストリーミングの場合も、適切なパフォーマンスと帯域幅を提供するため、最初にそれらを支えるインフラを用意しなくてはなりませんでした。インフラが整ったことで、ストリーミング サービスを提供できるようにアプリケーションや市場が変化し、一大成長市場が生まれることになりました。

ソフトウェア開発者は常に、ハードウェアのパフォーマンスをフルに引き出そうとしてくれるはずです。しかしそれは、ソフトウェアが競争上の強みになるからです。より多くのお客様に、より良いアプリケーションをできるだけ深く浸透させることこそが、NVMe市場を成長させる最善の長期戦略となります。

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ネットアップとNVMe / FC

ネットアップは最近、ONTAP® 9.4のリリースを発表しました。今回のリリースによって、NVMe / FCへのトレンドが本格的に幕を開けます。具体的には、今回のソフトウェア更新により、AFF A300、A700、A700sの各システムについて、オールフラッシュ アレイのフロントエンドでNVMeソフトウェア スタックがサポートされるようになります。つまり、Gen 6 HBAを搭載し、NVMeドライバをサポートするサーバは、アレイとの通信にNVMeをネイティブで使用できるようになりました。

ネットアップはさらに、A800で「エンドツーエンドでNVMeをサポート」することを発表しています。これはアレイ内でNVMeデバイスを使用できるだけでなく、SASによるSCSIコントローラ向けの変換が必要なくなることを意味します。また、NVMe over Fibre Channelがサポートされるので、SCSI over Fibre Channelトラフィックとの共存も可能になります。Gen 5またはGen 6のファイバチャネル スイッチ インフラがあれば、既存のネットアップ環境を活用し、システム停止なしでNVMeトラフィックの運用を開始できます。アプリケーションの移行も、配線を変更することなく簡単に実行できます。実にすばらしいことだと思います。

Brocadeとネットアップは、独立系アナリスト組織のDemartekと共同で、NVMe / FCのパフォーマンスのテストと検証を行っています。テスト レポートの全文はこちらからダウンロードできます。

こちらの「Nvme」についてもっとご覧ください。

未来への基盤となるNVMe / FC

NVMe / FCテクノロジの登場は、これまでとはまったく異なる、新世代の高パフォーマンス アプリケーションを実現します。こうしたアプリケーションの用途は、今後ますます拡大することでしょう。たとえば、多くのGPUコアを搭載したNVIDIAのチップを使用し、大規模なモデルを分解して、複数のキューで並列処理するアプリケーションなどが可能になります。分析作業を並列処理すれば、作業の所要時間を大幅に短縮できます。財務分析や創薬のためのモデリング、仮想現実を使用したエンターテイメントなど、さまざまな用途で活用できるでしょう。

家を建てるときを思い浮かべてください。土台がしっかりしていれば、すばらしい建築物を建てることができます。ITについても同じです。私は、ITはすでに公共インフラの1つであると考えています。電気や水道のようなものです。人々の生活に欠かせないため、止まることがあってはなりません。仕事から資産管理、医療、エンターテイメントまで、ITは日常生活のあらゆる場面に浸透しています。NVMe / FCによるアプリケーション基盤の用途は、今後さらに拡大していくに違いありません。

NVMe / FCによるアプリケーション基盤の将来性にすっかり夢中になり、新たなアプリケーションによって日常生活がどれだけ便利になるかを想像してばかりいると、出張で長時間を費やしたような、やましい気持ちになってきます。今回、ONTAP 9.4でのNVMe over Fibre Channelのサポートが発表され、A800に対する今後の見通しが示されたことで、ネットアップによって次世代のアプリケーション開発の基盤が築かれることは間違いないでしょう。今後どのような変化がもたらされることになるのか、今から楽しみでなりません。

※ 本記事はAJ Casamento 著「Why NVMe Over Fibre Channel is Needed Today」を参考にしています。

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