瞬間移動!! メタデータの移行
〜NetApp純正サービス「Cloud Sync」Windows編

 2020.11.10  ストレージチャンネル編集部

Name:小原 誠(Makoto Kobara)

October, 2020

はじめに

ファイルサーバーからのデータ移行を取り上げる「瞬間移動」ブログシリーズ、今回は、データのアクセス権限やタイムスタンプといったデータに付随する情報、いわゆる「メタデータ」の移行について、前回の「XCP」Windows 版に続いて、「Cloud Sync」を利用したWindowsファイルの移行を取り上げてみます。

  1. ネットアップ純正のデータ同期サービス「Cloud Sync」とは
  2. 「Cloud Sync」を利用したWindowsファイル移行
    (移行元/先ファイルサーバーにNetApp ONTAP 9を利用している場合)

以下の内容については、前回の記事を御覧ください。

  1. そもそもなぜメタデータ移行に気をつける必要があるのか
  2. Windows環境でのメタデータの種類と移行にあたっての一般的な確認ポイント
  3. ネットアップ純正の移行ツール「XCP」Windows版を利用した場合の動き
    (移行元/先ファイルサーバーにNetApp ONTAP 9を利用している場合)

データ同期サービス「Cloud Sync」とは

「Cloud Sync」とは、ネットアップが提供しているデータ同期サービス(SaaS)で、次のような特徴があります。

  1. データの同期元・同期先に、NFS / CIFS / Amazon S3 プロトコルを選択可能
    (例えば NFSプロトコルからCIFSプロトコルへなど、異なる組み合わせも選択可能、通信さえできれば、オンプレ-クラウド間や、クラウド間での同期も可能)
  2. 同期の設定や実行は、GUI上の簡単操作で、アプリ開発者や業務担当者自らが操作でき、一度きりのデータ同期も、スケジュールに従った定期実行も可能
  3. 同期設定数(セッション数)に応じた従量課金で提供

データ同期サービス「Cloud Sync」とは

図 1 Cloud Syncの画面

このように、Cloud Sync は、インフラの有識者でなくとも、アプリ開発者や業務担当者自らが手軽にデータ同期を実行できることを最大の特徴とするサービスです。

実行にあたっては最初に、Data Broker(データブローカー)と呼ぶ役割をLinuxサーバー上にインストールし、Cloud Syncの管理画面(SaaS)からデータブローカーを制御、データブローカーが同期元/先へのデータ同期を実行します。データブローカーのインストール要件等はこちらをご確認ください。

「Cloud Sync」でのメタデータ移行(Windowsファイル共有編)

今回は、前述のCloud Syncを利用して、移行元/移行先ファイルサーバーに弊社の ONTAP 9 を利用したファイルサーバーを用意、この環境でのWindowsファイル共有でのメタデータ移行を検証しました。検証項目は前回のXCPと同様です。

  • 移行元ファイルサーバー:NetApp ONTAP 9.6P3(ONTAP Selectを利用)
  • 移行先ファイルサーバー:同上
  • 移行ツール:NetApp Cloud Sync 6 Sept 2020 リリース版
    (Data Broker は CentOS Linux release 8.0.1905 (Core)上にインストール)
  • 移行元/先ファイルサーバーでの共有フォルダ設定
    • プロトコル設定:CIFS
    • ボリューム設定:
      • security=ntfs(NTFS-ACL利用)
      • language=utf8mb4(サロゲートペア有効)
  • 全て同じADドメインに所属

「Cloud Sync」でのメタデータ移行(Windowsファイル共有編)

図2 CloudSyncでのWindows環境のメタデータの移行評価環境概要

Cloud Volumes ONTAPを使用してマルチクラウドのデータ保護を実現するNetApp HCI
ネットアップクラウドデータサービス

また、Cloud Syncは、『ACL同期あり』のオプションで実行しています。

この環境での評価結果について表2に記します。

この結果からわかるように、細かなメタデータ移行への対応は、前回ご紹介したXCPと比較すると、限定的と言えるでしょう。

表2 CloudSyncでのWindows環境でのメタデータの移行

#

メタデータの種類

一般的な確認ポイント

可否

1

ファイル名 /フォルダ名

  • 特殊な文字に対応できるか
    (JIS第3水準、第4水準の漢字、サロゲートペア)

  • 長い名前に対応できるか

一部制限有(※1)

  • レターケース(大文字小文字)を判別できるか

N/A(※2)

2

アクセス権

  • ACL(Access Control List)を正しく移行できるか

一部制限有(※3)

3

所有者(オーナー)

  • 所有者情報を正しく移行できるか

不可(※4)

4

拡張属性

  • 拡張属性を正しく移行できるか
    (いわゆるDOS属性、「読み取り専用」や「隠しファイル」等)

一部制限有(※5)

5

タイムスタンプ

  • タイムスタンプを移行できるか/どの精度まで移行できるか
    • 作成日時(Create Time)
    • 最終更新日時(Last Write Time)
    • 最終アクセス日時(Last Access Time)

一部制限有(※6)

6

代替データストリーム

  • 代替データストリーム(Alternate Data Stream)を移行できるか

不可

7

スパース属性

  • スパース属性を移行できるか/スパースのまま移行できるか

不可(※7)

※1:1038文字までは対応可能です。

※2:Windowsファイル共有で使われるSMB/CIFSプロトコルの仕様から、Windowsクライアント側では大文字/小文字を判別できないため、評価の対象外(N/A)としています。

※3:移行先では所有者(オーナー)が BUILTIN\Administrator に置き換わることから、移行元で『所有者だがアクセス権はない』ファイル/フォルダについては、移行できません。

※4:移行先では所有者(オーナー)がBUILTIN\Administrator に置き換わります。

※5:移行元で拡張属性が全く設定されていないファイル/フォルダは、移行先ではARCHIVE属性のみ自動的に設定されます。また、HIDDEN、SYSTEM、OFFLINE属性は移行できません。

※6:CreationTimeはファイル、フォルダともに、移行した時間に置き換えられます。LastWriteTimeはファイルの場合ミリ秒以下が0に置き換えられ、フォルダの場合は移行した時間に置き換えられます。
LastAccessTimeは、ファイルの場合は移行後のLastWriteTimeと同じになります。

※7:ファイルのコピーは成功しますが、スパース属性は引き継がれません(移行元ではブロック未割り当てだった範囲に、移行先ではブロックが割り当たります)。

まとめと次回予告

今回のブログでは、CloudSyncを利用したWindows環境でのメタデータ移行の評価結果についてご紹介しました。

CloudSyncはユーザー自身が手軽に、データファイルの同期を行うことを目的としたツールのため、ファイルサーバー移行ツールに求められるメタデータ移行の機能は、現時点では限定的です。

しかし、その設定や実行操作の手軽さから、前回ご紹介したXCPとの間で適材適所で使い分けるものと思います。

次回は、Windowsに標準で付属しているツール「robocopy」について簡単に取り上げ、Windows環境でのメタデータ移行のまとめを行います。

次回の投稿もお楽しみに!

 

Name:小原 誠(Makoto Kobara)

Title:ネットアップ合同会社 システム技術本部 ソリューション アーキテクト部 シニアソリューションアーキテクト

Bioストレージプロダクトの要素技術研究開発に始まり、ITインフラ分野におけるコンサルティング(IT戦略立案)からトランスフォーメーション(要件定義、設計構築、運用改善、PMO)まで官公庁・自治体、製造業、サービス業、通信・ハイテク業など業種を問わず、計20年以上従事。ネットアップにおいてはソリューションアーキテクトとして、クラウドソリューション領域を中心に、マーケティング活動や、パートナー企業との共同ソリューション開発や、ユーザー企業での導入支援を実施。

 

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