さらば「直感的な勘違い」、データで変わるスポーツ指導

 2022.05.09  2022.05.12

この記事・写真等は、noteネットアップ公式アカウントの許諾を得て転載しています。https://note.com/netapp_official/n/n31bdf84ece18

「名選手、名監督にあらず」――。この格言を引用するまでもなく、スポーツの世界で素晴らしいパフォーマンスを発揮していた名選手だからといって、必ずしも優れた指導ができるわけではないことは昔から指摘されてきました。アマチュアスポーツを楽しむあなたにも、あまり納得できない指導を受けた苦い記憶があるのではないでしょうか。このように個人の感覚頼みが支配的だったスポーツの指導。それが、ITの進化によりデータに裏付けられた指導が実績を上げ、広く認められつつあるのです。

スポーツの動きを正確に把握可能に

スポーツで他人を指導するには、パフォーマンスを改善するポイントをきちんと言語化してわかりやすく伝える必要があります。しかし以前は、指導者自身の過去の経験や感覚に頼って選手を指導していました。そのため、どうしても根拠が伴わず、曖昧で説得力に欠ける指導になってしまったケースが多かったのです。選手の直感に頼る部分の大きいスポーツですが、上を目指そうとすれば客観的な根拠に基づく助言が必要です。

IoT(Internet of Things)の時代になってきて、センサーを使ったデータ収集が格段に簡単になりました。これに合わせて、スポーツの世界でもパフォーマンスや生体データなどをトラッキング(追跡)することが一般化しています。特にトップアスリートの世界では、パフォーマンスを可視化するトラッキング技術の普及で、既に膨大なデータが蓄積されています。

例えば、センサーを装着したウェアラブルデバイスを身につけることで、選手の動きを簡単に測定できます。身体以外にも野球のバットやテニスのラケット、ボールのような用具にセンサーを付けてデータを収集することも可能です。これにより、走行距離やスピードだけでなく、加速や減速、身体の傾きや方向転換などの細かな動きも記録できるようになりました。

アスリートの動きを測定する取り組みは以前からありました。ですが、専用の部屋を使って計測しており、実際の競技での動きとはどうしても違いが出ていました。しかし、最新のセンサーを使うことで、競技場というリアルの場でのデータを収集・分析できるようになったのです。

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“精神論”からデータで指導する時代へ

このことはスポーツの指導に革新的な変化をもたらしています。スポーツの上達において、自分のプレイを振り返ることは非常に重要です。しかし、今までは指導者の抽象的なアドバイスに対し自分がその通りにできているのかを確認する方法がありませんでした。センサーでデータを取得できるようになったことで、直前の自分のプレイを確認したり指導者のプレイと比較したりすることが簡単に可能になったのです。

スポーツのダイナミックな動きの中では「走っている時の接地時間やストライド、足のどの部分が地面に着いているか」といった選手自身の“感覚”が重要です。センサーを利用することで、選手は自分が何をしたか、どこがうまくいったか、どこを改善できるか、前回とどこが一致しどこが違うのか、というフィードバックを具体的なデータとして得られます。長期間に渡ってデータを収集すれば、選手は自分の強みと弱みを正確に理解し、次のレベルへの向上のステップを進むことができます。

取得したデータは他の選手とも比較可能です。これは相手と直接向き合って対戦する競技だけでなく、マラソン、サイクリング、スキーなどのような競技でも有効です。さらには、純粋に個人レベルで楽しんでいるランニングやサイクリングでも、他のランナーやサイクリストと距離や時間を比較することで、自分の成長を確認でき、ペースバランスやどこで休憩をとるべきかなどを理解して達成感を高めることができます。

データの収集は怪我の防止にもつながります。これまでは指導者が過去の経験から、選手の顔色や動作などを見て練習の強さや休息を判断していました。アスリートの活動をリアルタイムにトラッキングして全体像を把握し、蓄積したデータを分析することで、トレーニングや試合中のどこで休むべきなのか、トレーニングのどの練習を省略できるか、鍛えている各筋肉のバランスはよいか、といった様々な観点で育成をはかっていくことができるようになります。これにより、怪我の可能性を減らしたり、故障を早期に発見したりすることが期待できます。

ますます進化するデータ分析

データを使ったスポーツ改革はとどまるところを知りません。最近ではセンサーを身に付けなくてもデータを計測できる環境が普及してきています。

例えば、野球で広く使われ始めているのが「Rapsodo」(ラプソード)と呼ばれる装置です。これは、野球選手の打球や投球をコンピュータービジョンと高度なレーダーで計測あるいは分析するデータトラッキングシステムです。米メジャーリーグ(MLB)全30球団で導入し、日本国内でもプロ野球のほかに社会人野球、大学、高校、スポーツジムなどで広く導入が進んでいます。

Rapsodoではピッチャーの投球について、球速、回転率、回転軸、回転効率、変化量およびストライクゾーンを1球ずつ分析しながら投げ込めます。ダルビッシュ有選手や大谷翔平選手の練習映像で見た記憶がある人もいるでしょう。打者では、打球の初速度・角度・方向・回転軸などを分析し、打球の想定飛距離や方向を3D画像で確認できます。打撃フォームを録画して、どのように心がければホームランが出やすい「バレルゾーン」に打球を飛ばれるのかなど、より詳細な打撃の分析も可能です。このように、リアルタイムでデータ分析され確認できるため、指導の能率を大幅に改善できるのです。

さらに、競技場そのものにデータの計測装置を装備する動きも出てきています。例えば、ソニー傘下の企業が展開するスポーツ向けトラッキングシステムが、MLB全30球団のスタジアムなどに導入され、2020年シーズンから活用されています。これは複数台のカメラの映像をリアルタイムに分析するシステムで、これまでもサッカーのゴール判定や「VAR(ビデオ・アシスタント・レフリー)」、テニスのライン判定などに使われてきた技術です。複数の4Kカメラの映像からボールや選手の動きをミリ単位の精度で光学的に捉えてリアルタイムに解析し、データ化してくれます。

日本国内でも「Deep Nine」(ディープナイン)という、プレイの映像から選手の身体情報をAIで定量化・分析できる姿勢推定アプリも登場しました。これはAI(人工知能)で有名な東京大学松尾豊研究室発のスタートアップ企業が開発したアプリで、市販のビデオカメラで撮影した映像を使って分析できるため、お金をかけず簡単に運用できる製品ということで注目を集めています。

データを活用し、どんどん進化するスポーツ指導。あなたも直感に頼る練習をそろそろ見直してみる時期かも知れません。

会社紹介

ネットアップについて

ネットアップは1992年の設立以来、ユーザーのデータを保存・保護・管理するストレージシステムとソフトウェアを一貫して開発してきたデータ専業企業です。日本をはじめとするワールドワイドで製品及びサービスを提供。エンタープライズ規模のNAS市場では世界トップシェア、国内NAS市場でも売上高および出荷容量でトップシェアを誇っています。

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ONTAP

ネットアップのすべてのストレージ製品・サービスを管理するOS。豊富な機能を備え、オンプレミス型のストレージ製品のOSとしてだけでなく、クラウドストレージのOSとしても利用可能。また30種類を超えるセキュリティ機能を搭載し、ランサムウェアをはじめとする高度なサイバー攻撃から企業のデータ資産を効果的に保護する。

Cloud Volumes Service / Azure ネットアップ Files / Amazon FSx for ネットアップ ONTAP

ネットアップのストレージOSである「ONTAP」をクラウド環境で稼働させ、クラウドストレージのリソースをオンプレミスのストレージとまったく同じように柔軟に利用できるようにしたサービス。現時点ではAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、Google Cloudの3大クラウドサービス上で利用可能。

Cloud Insights

オンプレミス環境およびクラウド環境からなるハイブリッドクラウド環境のITリソースを一元的に管理できるSaaSサービス。ネットアップ製品だけでなくサードパーティー製の機器をモニタリングできるほか、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)をまたいだマルチクラウド環境の一元管理が可能。

Astra

Kubernetes環境を統合管理できるSaaSサービス。Kubernetesのアプリケーションや関連データなどのバックアップ、リストア、移動などを容易に可能にする。オンプレミス環境およびクラウド環境の双方において利用可能で、ハイブリッド環境における一貫したデータ管理機能をクラウドサービスとして提供する。

Keystone

ネットアップ製のストレージ製品をサブスクリプション方式で利用できる「SaaS(Storage as a Service)」サービス。オンプレミス環境に導入するストレージ製品を一括購入する代わりに、事前に取り決めた利用容量とサービスレベルに応じた利用料金を、月次もしくは年次で支払いながら利用する。

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