Azure ストレージについて
Azureストレージ自体は、独立したストレージサーバー上にあります。そしてAzureは、また別のサーバーにある仮想マシンを介して、ストレージサーバーにアクセスしています。そのためどうしても、オンプレミス環境で物理サーバーと接続しているクライアントPCと比較すると、ストレージ使用時の反応速度が劣りがちです。
4種類のストレージ機能にはそれぞれIOPSの制限が存在する
Azureストレージには、「Blob(Binary large object)」「Files」「Queue」「Table」の4種類の機能があります。
Blob(Binary large object)はオブジェクトストレージのことで、テキストや画像、音声などのデータをBlob形式で保存します。Filesはファイルストレージサービスで、それぞれのAzure仮想マシンからファイルを共有して利用できます。Queueはメッセージを格納する機能、TableはNoSQLデータベースとしての機能を有するストレージです。
注意点として、上記4機能それぞれについて、IOPSなどの制限が設定されています。Azureは世界中のユーザーが使用しているため、ストレージやリソースの使用量が一部のユーザーだけに偏ると、サーバーの運用に支障が出るケースがあります。すべてのユーザーがサーバーを快適に使えるように、仮想マシンで利用するストレージアカウントや、Blobなどに制限が設けられているのです。
こうしたストレージ制限は契約するストレージアカウントによって異なります。自社に必要なパフォーマンスをカバーしているストレージアカウントを選択すると、快適な利用が可能となるでしょう。ストレージアカウントには、お手頃な「Standardストレージ」、高パフォーマンスが期待できる「Premiumストレージ」があります。
スタンダードストレージにVHD(仮想)ファイルが40本以上ある場合は注意しましょう。仮想マシンのディスクに負荷がかかり、アクセスを制限される可能性があります。
プレミアムストレージの場合、VHDファイルのサイズだけではなく、仮想マシンのサイズに応じた制限も設けられています。ただし、仮想マシンが互いに干渉せず使用できるよう、仮想マシン1台あたりの上限は決まっているため、台数が少ないほど高速になるということはありません。
もっと読む:Azure NetApp Files(ANF)とは?その概要について解説
Microsoft Azure でストレージを高速化させるポイント
2017年からは、ストレージアカウントがなくても利用できるAzure仮想マシン専用ディスクサービス「Managed Disks」も提供されています。このサービスには豊富な契約プランがあり、各プランによりストレージ制限も異なります。
Managed Disksサービスは「Standard HDD Managed Disks」「Standard SSD Managed Disks」「Premium SSD Managed Disks」「Ultra(SSD) Disk」、という4種類のディスクプランから選択することになります。
「HDD(Hard Disk Drive)」は、内蔵磁気ディスクの回転によりデータを読み書きするストレージデバイスで、データを順番にアクセスする際の速度に優れます。一方「SSD(Solid State Drive)」はメモリーチップを内蔵しているため、データの読み書き時に内部が動くことはありません。データの読み書き処理速度、起動速度が短く、連続していないデータへのアクセスを短時間で行えます。
Managed DisksのSSDプランには上記のように、「Standard(並)・Premium(高性能)・Ultra(超高性能)」の3種類があります。特にUltraの処理時間では、ミリ秒未満の待機時間まで実現しています。
あらかじめ性能の高いディスクを選んでいれば、取り扱うデータが大きい業務も快適に実行できるでしょう。またディスクサイズについては、まずは小さなものを選び、必要が生じたら大きなものへ変更することが可能です。
既存のディスク性能をアップさせるためには、いきなりディスクの種類を変更するよりも、まずはディスクサイズをスケールアップしてみることがおすすめです。これによりストレージが高速化することも少なくはありません。それでも変化がないようなら、ディスクの種類変更を検討しましょう。
高速ストレージを実現するANF(Azure NetApp Files)
「ANF(Azure NetApp Files)」とは、2019年5月より提供されている、Azure用クラウドストレージサービスです。
大きいファイルを大量にクラウドで扱っていると、どうしても動作が遅くなることも多いでしょう。NetAppによる業界トップレベルのさまざまな技術が活かされたANFを導入すれば、こうした高負荷な状況でも高いパフォーマンスを保てるよう、多種多様な支援が提供されます。
また、LinuxとWindowsの両OSをAzureでシームレスに利用することが可能となります。さらに、「SAP HANA」をはじめ、さまざまなデータベースや幅広いアプリケーションを、クラウド上で簡単に利用・共有できるようにすることで、業務効率化に大きく貢献します。
加えて、必要なパフォーマンスレベルに合わせてディスクサイズを選べるため、規模を問わず多くの企業へ導入できます。最高レベルのセキュリティも備えており、大切なデータベースを保管する際も安心です。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/netapp/
まとめ
Azureのストレージの利用において、ディスクの性能が快適度に大きな影響を与えます。加えて、ストレージ速度は、ストレージアカウントの種類や、Managed Disksサービスの契約プランにより異なるので、必要な速度をカバーできるプランで契約することが大切です。
またストレージ高速化には、ディスクの種類変更も有効ですが、まずはディスクのスケールアップを試してみるとよいでしょう。
より安定的にAzureを活用したい場合は、ANFをはじめ各種支援サービスもあります。そうしたサービスの導入も含め、自社の状況に合わせて、最適なAzure活用方法を検討してみてください。