人工知能を用いたシステム運用の世界

 2018.12.10  ストレージチャンネル編集部

今から10年後か20年後か、日本の労働力の49%は人工知能に置き換えられると言われています。これは何を意味するかというと、人間が人工知能によって職を奪われる時代が到来するとうわけではなく、むしろ今まで以上にクリエイティブな仕事に注力できるようになり、人材に対する価値観が変化していくということと捉えるのが正しいのでしょう。

たとえば紙帳票を見ながらシステムへ素早く入力できるといったスキルは徐々に不要になっていきます。人工知能による画像認識精度は年々向上しているので、帳票をスキャンするだけでシステムに転記されるという実用化は遠い未来の話しではありません。そのため「クリエイティブなスキルを養えなかったら?」という観点で考えれば、職を失う人もいるかもしれませんね。

最近ではそんな人工知能を情報システム部門の「運用」に活用するケースが増えています。システム運用といえば「守りのIT投資」と考えられることが多く、コストセンターという位置づけで活動している企業が多いのではないでしょうか。確かに、これまでシステム運用からビジネスを創出することは難しかったのですが、人工知能が着々と実用化されている現代において、システム運用はもはやコストセンターではなく、プロフィットセンターへ変貌を遂げようとしています。

本稿では、人工知能を用いたシステム運用の世界についてお話しましょう。

そもそも人工知能とは?

人工知能研究の第一人者であるジョン・マッカーシー教授は、人工知能の定義について次のように述べています。

It is the science and engineering of making intelligent machines, especially intelligent computer programs. It is related to the similar task of using computers to understand human intelligence, but AI does not have to confine itself to methods that are biologically observable.(知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術です。人の知能を理解するためにコンピュータを使うことと関係がありますが、自然界の生物が行っている知的手段だけに研究対象を限定することはありません。)

出典:WHAT IS ARTIFICIAL INTELLIGENCE? 人工知能とは何か?

「人工知能」と聞くとSoftbankが開発したPepper(ペッパー)や本田技研のASIMOのような人型コンピューターロボットを想起する人が多いかもしれません。しかしながら、そうした人工知能はむしろ稀な方で、ほとんどの人工知能は特定の分野に特化したデータ処理を行うことでビジネス課題を解決するツールとして扱われています。

人工知能を開発するにあたって大切なのがどの学習方法で、どんなデータを読み込ませるかです。学習方法としては「教師あり学習」と「教師なし学習」、それと昨年から話題の「深層学習(ディープラーニング)」があります。

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教師あり学習は人工知能取り込ませるデータにタグ(答え)を付けておき、大量のデータを読み込ませることでその特徴を学ばせるものです。教師なし学習は反対にデータにタグを付けず、データ同士の関連性などを発見させるために用います。

人工知能の学習方法」について詳しくご覧ください!

深層学習に関しては少し複雑で、人間の脳神経にある「ニュートラルネットワーク」と呼ばれる神経網に着想を得て、コンピューターが自律的に何かを学ぶための学習方法です。たとえばGoogleが2012年に開発した人工知能は、大量の「猫」の画像を読み込ませることで、タグ付けをしていないにも関わらずそれを「猫」だと認識するようになりました。

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すでに実用化されている!?システム運用と人工知能の関係

インターネット利用者にとって一番身近な人工知能といえば「検索エンジン」です。皆さんはGoogleやYahoo!といった検索エンジンが、検索したキーワードに対して適切なWebページをヒットさせることに疑問を持ったことはないでしょうか?そこには人工知能が大きく関係しています。

膨大な量のデータを蓄積している検索エンジンの中には「クローラー(這う者)」というロボットがいて(実体はありません)、24時間365日Webサイトの情報を能動的に収集しています。収集した情報からWebサイトやそのページの価値を評価することで、インターネット利用者にとって価値のあるWebページを検索結果上に表示するようにできています。ちなみにそのアルゴリズムについては非公開なので、どういった基準で評価されているのかはGoogle以外誰も知りません。

そんな人工知能がすでにシステム運用の世界で実用化されていることをご存知でしょうか?たとえば情報システム部門運用担当者にとってとても重要な役割である「異常検知」の分野では、すでに目覚ましい成果を出しています。その事例を1つご紹介します。

Webサーバーの異常を12日前から検知

日経コンピューター顧客満足度調査「システム運用関連サービス(情報サービス会社)部門」において、4年連続1位(2015年時点)を獲得しているユニアデックス株式会社(以下ユニアデックス)は、システム運用の現場でプライドを持って活躍する熟練技術者の高い技術力によって、ビジネスが支えられています。しかし、そうした高い技術力は若い世代への継承が難しく、世代交代の波と共に「技術継承」が大きな課題になっていました。

そこでWebサーバーの異常検知に人工知能を活用し、Webサーバーのログから明確な相関関係の特徴を取得することに成功し、障害発生の12日前に異常予兆を検知することに成功したそうです。

出典:ブレインテクノロジー株式会社 システム運用における予防保全の実現性検証。従来の閾値監視では見つけられない複雑なシステム障害の予兆検知を実現!

異常検知という活用例以外には、システム運用のナレッジベースを活用したチャットボットが徐々に浸透しています。ユーザー部門から寄せられる問い合わせの中で、マニュアルに関するものよくある質問に関しては、ビジネスチャットスペースに人工知能を活用したボットを設置することで、システム運用に直接問い合わせなくてもすぐに問題を解決できるような環境を整えられます。

このように、システム運用での人工知能活用は既に進んでおり、今後もさらなる拡大が期待されています。

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人工知能活用によるシステム運用のメリット

システム運用において人工知能を活用することの最大のメリットは「作業効率の大幅向上」でしょう。従来のシステム運用では異常予知が難しく、事後対応になるケースがどうしても多くなってしまいます。そのため、システム運用の作業効率が上がらないばかりか、部門ユーザーの生産性を落とすことにもなっていました。

しかし前述したユニアデックスの事例のように、数日以上前からシステムに関する異常を予知できれば、異常発生に備えて計画的な対処をしたり、あるいは事前に対処することで異常発生そのものを防ぐことができます。つまり「事後保全」でも「定期保全」でもなく「予知保全」を実現することで、そもそもの異常発生自体を無くすことが可能になるのです。

これによってシステム運用の作業効率は大幅に向上し、顧客満足度を向上するための施策へより集中することができます。場合によっては顧客先での保守運用作業に人工知能を搭載し、そこからマネタイズ(収益化)することも可能です。

つまりシステム運用はコストセンターではなく、プロフィットセンターとしての変貌を遂げており、IT経営戦略にとって重要な存在になります。システム運用に人工知能を活用しているという事例は着実に活用が広がっています。

この機会に、自社システム運用に人工知能活用を検討してみてはいかがでしょうか?

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