クラウド化する際に発生する課題を理解して成功するには?

 2019.10.29  2022.01.26

クラウドによるメリットを享受するために多くの企業が足早にクラウドを検討しています。皆さんの会社ではいかがでしょうか?クラウドを活用すると場合によってはすぐに解約も可能であるため失敗するケースも多々あります。また、検討を急げば急ぐほど、自分たちが望んだ効果から遠のいてしまう可能性も高くなります。

なぜなら、オンプレミスをクラウド化することはメリットばかりではなく、さまざまな課題もあるのです。1つ1つの課題に真摯に向き合っていかなければ移行に失敗してしまいます。その課題とは何なのか?本稿でよく起こりうるクラウド化の課題について触れていきますので、一度立ち止まってクラウド化について熟考してみましょう。

クラウド化で発生する7つの課題

1.「スモールスタートで段階的に」のはずがいきなりつまずく

オンプレミスからのクラウド化にあたって、スモールスタートで段階的に利用範囲を拡大していくのは常套手段です。ところが、これが原因でクラウド環境の運用負担が増大する可能性が考えられます。

たとえば、いきなり基幹システムをクラウド化するのに不安を覚え、勤怠管理や経費管理など情報系システムから着手するケースがあります。その際に、目的に沿った使いやすさを重視して複数のサービスを利用することで、一見して効率性が向上するようにも思えますが、実際はサービスごとに発行したアカウントの管理やシステム管理などに追われ、サービスごとの細かい質問に調査してから回答するという手間などによって、運用管理負担が増大してしまうのです。

スモールスタートが悪いのではなく、クラウド化初期段階からシステム全体の一元管理を考慮した上で、連携性の高い設計を行っていくという作業が必要です。

2.クラウド化の本質をとらえきれずに成果が上がらない

クラウドに移行することで成功したという事例は最近非常に多く増えてきています。確かに、クラウド化にはコスト削減、運用負担軽減、セキュリティ強化、業務要件への対応スピード向上などのメリットがあります。そして、それを鵜呑みにして今動作しているオンプレミスシステムをそのままクラウドでやろうとするケースが少なくありません。

しかし、クラウド化しただけでは上記のようなメリットを享受できない可能性もあります。例えば既存のシステムを単純にクラウドへ載せ替える場合に、そのプラットフォームで動作すれば良いのですが動作しない場合にはプログラムの書き換えが発生するかもしれません。また特殊な運用要件がある場合には、運用設計を再構築する必要があるかもしれないのです。企業はその本質を十分に理解した上で、適切な移行を目指すことが大切です。

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3.運用負担軽減のはずが、運用負担の増大に

クラウドを利用すると、物理サーバーのメンテンナンスから解放されてリソースを柔軟に構成できる利点があります。ところが、クラウド化が進むにつれ事業部門ごとに情報システムを介さずに、自主的にサーバーを立てられるようになっていきます。また、SaaSなども自由に契約してしまうケースも散見されます。その結果、サーバーの稼働台数やSaaS環境が増大し、運用管理負担が増えてしまうという課題が浮上します。

クラウド化では物理サーバーのメンテナンスは不要になりますが、サーバーの運用自体が無くなるわけではありません。サーバー台数が増えると運用工数も増えますし、かといって情報システムの人材数はそのままなので、作業量が今よりも多くなってしまう可能性があります。

4.ネットワーク障害が発生した際の影響度の大きさ

オンプレミス環境でも日夜さまざまな障害が発生しますので、「障害が発生する」こと自体が問題ではありません。ネットワーク障害が発生した際に起こる影響があまりにも大きい、というのが最たる問題です。

仮にオンプレミス環境でネットワーク障害が発生しても、問題があるネットワークを切り離してビジネスに影響が少ない範囲で対応することが可能です。一方、クラウドでネットワーク障害が発生すると壊滅的です。インターネットが利用できなければシステムは利用できないのですから、当然と言えば当然のことです。

5.初期投資は抑制できてもランニングコストが増大する

既存システムを刷新するにあたり、クラウド化を選択すると初期投資を抑止できるメリットがあります。クラウドではリソースの調達に時間を必要としませんし、調達そのもののコストもかかりません。では、その後の運用に関してはどうでしょうか?

ランニングコストに関しても削減できるという声もありますが、そうでないケースもあることを理解しておきましょう。しっかりと要件を見極めながら、将来にわたるコスト比較を実施することが重要です。なぜなら、意外とオンプレミスと比較して変わらない、もしくはコストアップするというケースも少なくないのです。クラウド化では単純なコストメリットよりも、広い視野でさまざまな利点を受け入れるという気構えが必要です。また、NetAppが提唱するようなクラウドを柔軟に行き来できるようなアーキテクチャも重要になるでしょう。

6.オンプレミスと比較したシステムパフォーマンスの低下

既存システムと比べた際に、システムパフォーマンスが低下する可能性があります。クラウド化のパフォーマンスを算出した上で、移行可否について検討し直す必要があるでしょう。

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7.システム障害発生時への代替案

運用管理負担が軽減することはメリットであり、反面デメリットもあります。システムの運用管理をベンダーが一任していると、障害発生時の対応を任せる他なく、ユーザー企業は対応が終わるまで待たなければいけません。そこにかかる時間は未知数なので、ビジネスを停滞させないためにシステム障害が発生した際の代替案を用意しておくことが大切です。また、契約時にはクラウド事業者のSLAをしっかりと確認するようにしましょう。

クラウド化を推進すると、これ以外にも直面する課題があるかもしれません。大切なのは各課題の原因究明を急ぎ、解決に向けた対策を素早く行うことです。また、発生しうる課題を過去の事例などから想定し、リスクマネジメントを徹底することも忘れずに実施していきましょう。

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