App Annieという、アプリに関する市場データと分析ツールを提供している米国のIT企業が発表した「モバイル市場年鑑 2021」によると、2020年における全世界のアプリダウンロード数は2,180億件を突破し、消費支出額は約1,430億ドルだったそうです。米国では2020年に初めて、1人当たりのスマートフォンをはじめとするモバイルデバイスの利用時間が、テレビの視聴時間を逆転するなど、モバイルの存在感が増しています。
引用:「App Annie、「モバイル市場年鑑 2021」 - MarkeZine(マーケジン)」
このように、スマートフォンアプリの需要はなおも拡大傾向にあり、「ゲームアプリを開発したい!」「ECサイトのスマートフォンアプリを開発した売上をアップしたい!」と考えている方が多いかと思います。しかし、いざアプリ開発に取り掛かろうとしても、何から始めればよいのかと頭を抱えてしまう方もまた多いでしょう。
本稿では事業担当者や、これからアプリ開発を行う責任者に向けて、いまさら人には聞けない「アプリ開発の手順」を紹介します。大まかな手順を理解していくことは、プロジェクトを円滑に進めるために欠かせません。この機会に、アプリ開発手順への理解度を深めましょう。
「アプリを開発したい」と思ったら?
理由はさまざまでも「アプリ開発がしたい」と思った時、次に取るべき行動に変わりはありません。それは「どんなアプリを開発するのか?」を明確にし、コンセプトを煮詰めていくことです。
一口にアプリとは言っても、スマートフォンアプリやデスクトップアプリ、Webアプリ、サーバーアプリなど様々な種類がありますし、開発するアプリの内容も千差万別です。それに加え、収益を得るためのアプリ開発ならば競合調査を行ったりして、「売れるアプリ」について考える必要があります。「アプリ開発がしたい」と思い立ったらポンッと開発するわけにはいきませんね。
特に、アプリ開発を事業の一環として行うのであれば、そこにかけられるリソースや予算は限られています。内容やコンセプトが明確になっていないアプリにいくら時間とお金を投資しても、収益を生むアプリは開発できません。
スマートフォンアプリを開発する場合、iOS向けからAndroid向けか、あるいは双方のOSに対応したアプリ(クロスプラットフォームアプリ)を開発するかなど、細かい要素まで設計していく必要があります。
アプリ開発に用意するもの
「アプリ開発は簡単なもの。コンセプトさえしっかりしていれば、すぐに完成するだろう」と考えている事業担当者の方もいらっしゃるかと思いますが、アプリ開発にもいろいろと容易しなければいけないものがあります。
- アプリ開発の予算
- アプリ開発の時間
- アプリ開発担当者
- アプリ開発委託会社(または技術者)
- アプリ開発環境
- アプリ開発計画
アプリ開発において一番重要なのがやはり予算と時間です。いくらでも用意すればよいというわけではなく、開発するアプリの特性からそこにかけられる予算と時間を算出して、コストバランスを保つ必要があります。
開発担当者はプロジェクトの先頭に立ってアプリ開発を進める人物で、アプリ開発を委託する会社や技術者とコミュニケーションを取り、プロジェクトの円滑に進めるいわばディレクター的存在です。ちなみにアプリ開発を委託する会社や技術者は、事前に選定する必要があります。
アプリ開発を内製化する場合は開発環境を整えることも大切です。開発するアプリの種類によって利用できる環境は違いますし、使用するプログラミング言語も違うため、必要に応じて技術者教育を実施することもあります。
最後にアプリ開発計画では、どういったアプリをいつリリースするのか?それまでの開発工程や工程ごとにかける期間、投じるリソースなどを計画としてまとめることで、アプリ開発の見取り図を作ります。
このように、アプリ開発では準備すべきことがたくさなるので、「アプリ開発は簡単」と思っていると足物をすくわれることにもなります。慎重に取り組むくらいがちょうど良いでしょう。
アプリ開発の大まかな流れ
アプリ開発の大まかな流れとしては「企画」「設計」「開発」「テスト」という4つの工程で進められていきます。各工程における細かい作業については、下記の通りです。
企画
個人的に開発するアプリの場合、明確なコンセプトが決まっていなくても、開発しながらアイディアを膨らませて作り込んでいくことができます。しかし、予算等が決められ、かつ事業の一環としてアプリ開発を行う場合はしっかりとした企画が必要です。
- 1.1 どんなアプリを作るのか?
- 1.2 なんのために作るのか?
- 1.3 誰がそのアプリを使うのか?
- 1.4 どんな機能があるのか?
- 1.5 どんな画面を使用するのか?
- 1.6 どうやって収益を得るのか?
- 1.7 いつまでに開発するのか?
- 1.8 いつリリースするのか?
- 1.9 誰(どこ)に開発を依頼するのか?
- 1.10 予算はいくらなのか?
- 1.11 担当責任者は誰なのか?
- 1.12 決裁者は誰なのか?
このように、企画段階でさまざまな要素について決めておくことで、一貫性のあるアプリ開発を実施することができます。
設計
企画段階で決まったことは、次に具体的な設計として落とし込んでいきます。このとき、「外部設計」と「内部設計」、それと「テスト設計」という3つのカテゴリに分けてそれぞれ設計を行っていきます。
2.1外部設計
外部設計では、アプリにどんな機能を装備するか?取り扱うデータは何か?どんな画面にするか?といった、主に使用者が直接触れる部分の設計を行っていきます。「アプリをデザインするための設計」と言ってもよいでしょう。「基本設計」や「概要設計」とも呼ばれています。
2.2内部設計
内部設計では、外部設計で決まったことを実際のプログラムに落とし込んでいくための設計作業です。「この機能を実装するためには、こんなプログラムが必要だ」、「こことここで、このデータを受け渡すためには、こんな関数が必要だ」などなど、使用者が目にしたり触れたりすることはないアプリ内部の設計を行っていきます。「詳細設計」とも呼ばれます。
2.3テスト設計
テスト設計は、開発途中のプログラムや開発後のアプリを、どのようにしてテストするかを計画するための設計です。アプリ開発では、バグを極力排除したり、しっかりとしたアプリを開発するためにテストが非常に重要であり、「単体テスト」「結合テスト」「総合テスト」「運用テスト」といった細かいテスト項目があります。
開発
3.1設計が完了すればいよいよ、実際のアプリ開発に移行します。開発中はアプリ開発担当者が行うことは特にありませんが、委託会社や技術者と積極的にコミュニケーションを取り、進捗を確認したり、問題があればすぐに対処したりするなどの作業が大切になります。
テスト
最後に、開発したプログラムやアプリのテストを実行し、問題が無ければ晴れてアプリをリリースできます。ここまで到達するのに、場合によっては半年以上かかることもありますし、開発方法によっては1ヵ月以内で完了することもあります。やはり、初期段階での企画がとても大切で、企画が煮詰まっており、かつトラブルが発生した際の代替案等を考えリスクマネジメントを実施している方が、より早くアプリを開発できます。
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