本記事は2018年12月に開催されたネットアップの年次イベント「NetApp Innovation 2019」の講演レポートです。
Data Fabricを発表して4年。Cloud Volumes, Cloud Insights, Cloud Sync, SaaS Backup…ハイブリッドクラウドでのデータマネジメントを実現するクラウドサービスを多数リリースし、いよいよ成熟の域へと達しました。
ネットアップ合同会社のアライアンス営業推進本部パートナーSE部の小竹勇輝氏が、「ネットアップはクラウドプロバイダー?クラウド環境に最適なデータマネージメントサービスとは」と題したセミナーの中で、ネットアップのCloud Data Seviceの全容とイチオシのサービスが紹介されました。
NetApp Cloud Data Servicesとは
NetApp Cloud Data Serviceは、Data Fabric を実現する4階層のデータサービスレイヤーであると小竹氏は説明します。それは、運用管理/モニタリングに、制御サービスと、データサービス、そしてクラウドストレージサービスの4階層で構成されています。
NetAppでは、データ管理をシンプルに統合することで、データを活用したデジタル・トランスフォーメーションを加速するNetApp Data Fabricを提供しています。Data Fabricは、オンプレミス環境、AWS、Microsoft、Google、Alibaba、および500以上の他のクラウドプロバイダにまたがるエンドポイント間で、一貫した機能を提供するアーキテクチャと一連のデータサービスを実現しています。
NetAppは、クラウドファーストカンパニーを目指し、どのようなクラウド環境であっても、実行したい場所で実行したい方法でリソースを消費するCloud Data Servicesを提供しています。そして、NetApp Cloud Centralが、Data Fabricを実現するNetApp Cloud Data Servicesへの入口となります。
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9つのサービスの紹介(クラウドストレージサービス)
NetApp Cloud Data Serviceは、4階層のサービスに対して、9つのサービスを整備しています。
まず、クラウドストレージサービス層で、クラウド上での効率的なデータの記憶を実現するために、Cloud Volumes ONTAPとCloud Volumes Serviceの2つのサービスが用意されています。Cloud Volumes ONTAPは、クラウド上にデプロイする「Software Defined ONTAP」になります。ONTAPのデータマネジメント機能をAWS やAzure で利用可能にし、オンプレやクラウド上のONTAP をOnCommand Cloud Manager(OCCM) で一元管理できます。また、時間単位の課金モデルとBYOLライセンスモデルを用意し、日本リージョンでも展開済みのソリューションです。
次に、Cloud Volumes Serviceは、最高のパフォーマンスを実現するクラウドネイティブファイルサービスです。SMB/NFSv3 /NFSv4のマルチプロトコルに対応し、一貫したストレージ機能をAmazon Web Services [AWS] / Azure / Google Cloud Platform [GCP]の3大パブリッククラウドで提供します。また、クラウドに移行されたレガシーなアプリケーションを含むパブリッククラウドのあらゆるワークロードにも対応します。そのレイテンシは1 - 5msです。
そして、100 TB までの共有領域を8 秒で展開し、従量課金制によるCAPEX からOPEX へのシフトもサポートします。さらに、アプリケーションへの性能の影響がないデータ保護と、より早いリリースに向けたDevOps ワークスペースのクローンを瞬時に提供し、地域間でのレプリケーションによる強固なデータ連携をサポートします。
Cloud Volumes ONTAP とCloud Volumes Serviceの違いは、パフォーマンスとユーザー体験です。Cloud Volumes ONTAPは、従来からONTAPを使用しているユーザーと柔軟性が必要なユーザーに最適です。Cloud Volumes Serviceは、開発者、データベース管理者、アーキテクトなど、管理不要なストレージが必要なユーザーに最適です。
尚、2019年2月現在、Cloud Backup Serviceおよび Cloud Tiering,、Cloud Secureは、Preview状態となります。Cloud CentralよりPreviewをお申し込みできますのでぜひお試しください。
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9つのサービスの紹介(データサービス)
バックアップ・同期・セキュリティ・階層化を提供するデータサービス層では、Cloud Sync、SaaS Backup、Cloud Backup、Cloud Tiering、Cloud Secureの5つのサービスが用意されています。
Cloud Syncは、NAS-オブジェクトストレージ間の高速データ転送を実現します。Cloud Sync serviceは、ネットアップが提供する高速データコピーサービスで、クラウド→オンプレミス、オンプレミス→クラウド間の容易なデータ転送を実現しています。例えば、オンプレにあるデータをクラウドのオブジェクトストレージに同期し、クラウドの分析・解析サービス(EMR、Redshift、RDS)などと連携したり、CIFSやNFSのファイルサービスデータをオブジェクトストレージにアーカイブし長期保管して、オンプレミスからクラウドへの高速なデータ移行などに活用できます。
SaaS Backup for Microsoft Office 365は、SaaSアプリケーションのデータ保護、セキュリティ、コンプライアンスを強化します。Microsoft Office 365のデータをきめ細やかな単位でバックアップ/リストアを実現するサービスで、その対象は、Microsoft Exchange Online, OneDrive for Business,SharePoint Online, Groupsになります。バックアップターゲットは、クラウドやオンプレミスにも対応し、契約者のオブジェクトストレージ(BYOS)として、Amazon S3 、Azure Blob、StorageGRIDが利用できます。また、SaaS Backupに付随するストレージとして、Amazon S3、Azure Blobも利用できます。
Cloud Backup Serviceは、Cloud Volumes Service専用のバックアップです。Cloud Volumes Serviceに統合されたバックアップ機能で、バックアップデータはAWS S3上に取得し、手動または日次、週次、月次でのスケジュール設定でバックアップを自動で実施し、ボリューム全体の即時リストアが可能です。
Cloud Tieringは、フラッシュークラウド間での自動階層化サービスです。オンプレフラッシュとオブジェクトストレージ間での自動階層化をサービスとして提供し、フラッシュの高速性を維持しつつ、コストを効率化します。ONTAP FabricPoolテクノロジーを利用し、AWS S3, Azure Blob, IBM Cloud Object Storageに対応します。
Cloud Secureは、データアクセスに対するセキュリティツールです。データ操作を分析し、アノマリーなイベントを検出します。また、アラートや推奨するアクションを提示し、個人や所属するコミュニティ単位のデータアクセスを検知します。Cloud Secureは、オンプレストレージ、クラウドストレージ、SaaSアプリケーションに対応します。
9つのサービスの紹介(制御サービス)
制御サービスでは、オーケストレーションやインテグレーションのために、Kubernetes Serviceが用意されています。
NetApp Kubernetes Serviceは、3 クリックでのKubernetes クラスタのデプロイメントを実現します。マネージドKubernetes用のコントロールプレーンからアクセス可能で、クラウドへKubernetesクラスタを直接デプロイするシンプルな方法を提供します。NetApp Kubernetes Serviceは、ほしいとき、ほしい場所に3クリックでKubernetesクラスタをデプロイし、運用に必要なコンテナもあわせてメジャークラウドに対応しています。
9つのサービスの紹介(運用管理/モニタリング)
運用管理/モニタリングでは、Cloud Insightsがマルチクラウド、オンプレ、複合環境下の容量・性能の管理とコストの最適化を支援します。
モニタリングでは、日々増え続けるデータやワークロードにインフラがどう対応しているか、クラウドインフラの80%の問題をエンドユーザーに影響を与える前に予防します。
トラブルシューティングでは、End-To-Endの分析によって、障害対応の時間を限りなく短くして、問題解決までの時間を最大で90%削減します。
コストの管理と最適化では、ハイブリッドなインフラ環境の運用、投資コストの最適化を図ることで、平均33%のクラウドコストの削減に貢献します。
ハイブリッドクラウドでの究極のデータマネジメントサービス
ネットアップでは今後の展開としてDataFabric2.0およびCloud Orchestratorを展開していきます。
ハイブリッドクラウドでの究極のデータマネジメントサービスとなるData Fabric 2.0では、データをクラウドで活用するための+α の機能性を提供します。
Data Fabric 1.0では、様々なクラウドデータサービスを提供し、ハイブリッドクラウドのデータマネジメントを実現していました。
新しいData Fabric 2.0では、これらのサービスを使い、オンプレ、マルチクラウド上のデータを一つのコントロールパネルで管理します。Cloud Orchestratorにより、管理対象となるデータが、どこにあるか検索したり、データの保存、処理、移行、クローン、バックアップ、保護、監視、コンプライアンス遵守を行います。そして、コンテナ、Kubernetesなど今後主流になるアプリ基盤をベースに、アプリに必要なデータを結びつけます。
講演の最後に小竹氏は、「ネットアップはストレージベンダーではなく、データマネジメントベンダーであり、クラウドプロバイダーでもあります」と説明します。
Data Fabricを実現するために様々なデータサービスをフルスタックで提供し、最新版ではオンプレ、マルチクラウド上のデータを一つのコントロールパネルで管理可能にして、ハイブリッドクラウドでの究極のデータマネジメントを実現する製品・サービス・機能を今後もリリースし続けて統合的に利用可能にします。
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