「FinOps」でクラウドのビジネス価値を洗い直そう

 2022.04.08  2022.04.12

クラウドはビジネスに多大なメリットをもたらしてくれる半面、早くからクラウドを積極的に導入してきた企業の中には、クラウド利用のコスト負担が収益を圧迫するケースも出てきました。そこで、財務やビジネスの観点からあらためてクラウドの最適なオペレーションの在り方を探る「FinOps」の取り組みが現在注目を集めています。

見えざるクラウドコストが収益圧迫も

クラウドは今や、企業システムにとってなくてはならない存在になりました。特にWebサービスやECサイト、オンラインゲームなどを生業とするネット企業にとって、クラウドは自社ビジネスの屋台骨を支える極めて重要なインフラに位置付けられています。

こうした企業は「短期間でのインフラ立ち上げ」「システム規模の柔軟な拡張・縮小」といったクラウドの強みを存分に生かして、他社に先駆けて魅力的なネットサービスをいち早く市場に投入することで自社の優位性を確立しています。

しかしその一方で、近年では大きく膨れ上がってしまったクラウドの利用コストが、企業の収益全体に影響するケースも目立ってきました。クラウドならではの「オンデマンド」「サブスクリプション」といった特徴を最大限に生かせば、必要な分だけのリソースを必要な時にだけ調達してITインフラコストを最小限に抑えられるのは確かです。しかし実際はというと、オンプレミスにはない使い勝手の良さが逆に仇(あだ)となり、いつの間にかコストが積み上がってしまうケースが実に多いのです。

例えばクラウドは小さな規模から手軽に利用できるが故に、企業の事業部門がIT部門を通さずに独自の判断で導入するケースがあります。こうしたクラウド利用が増えると、社内のどこでどのようなクラウドが使われており、どれだけのコストが掛かっているのかが可視化できなくなってしまいます。

またクラウドは、ちょっとした設定の違いで利用コストに大きな差が生じることがあります。例えばログデータをクラウド上に保管する場合、その容量や保管期間を適切に設定しないとストレージやネットワークの利用コストが知らない間に高騰していることがあります。また開発やテスト用に一時的に立ち上げたインスタンスが、利用し終わった後も削除されずに多数残っており、その維持のために無駄な出費が発生していることも多々あります。

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コストを見える化、財務視点から最適化へ

こうした無駄なクラウドコストを削減できれば、ITコスト全体の削減につながるだけでなく、企業の収益改善にも貢献できるはずです。しかし個々の無駄な出費の要因を切り分けて特定するには、クラウドの利用状況を全社レベルで子細に可視化した上で、財務的な観点から分析してみる必要があります。現在多くの企業で行われているように、事業部門やIT部門の判断だけでクラウドを導入・利用していては、こうした財務視点による全体最適は困難だと言わざるを得ません。

そこでこうした課題を解決するために、現在先進的な企業が取り入れ始めているのが「FinOps」という手法です。FinOpsは“Cloud Financial Operation”の略語だと言われており、その名の通りクラウドの運用コストを財務の視点を取り入れながらから管理・最適化するというものです。具体的には、社内のどの部署やどのプロジェクトでどのようなクラウドサービスが使われているかを可視化した上で、それぞれの利用コストの内訳が適切かどうかをチェックし、もしコスト削減の余地があればアクションに移ります。

FinOpsという名前を聞いて「DevOps」のことを連想した方も多いかと思います。実はFinOpsはDevOpsと同じように「可視化(Inform)」「Optimize(最適化)」「運用(Operate)」という一連のサイクルを回しながらその効果を高めていくアジャイルアプローチをとっています。

こうした取り組みを実際に実行に移すためには、やはりツールの利用が不可欠です。ここ数年の間で、クラウドコストの可視化・最適化の機能を備えたツールがさまざまなベンダーから提供されるようになりました。ネットアップでもクラウドのコスト可視化やレポート作成の機能を備えた「Spot by NetApp」というツールの提供を通じて、複数のクラウドサービスにまたがるFinOpsの取り組みを強力に支援しています。

コスト削減に留まらず「クラウド価値の向上」を目指す

さて、ここまでの話を聞いただけでは、FinOpsは単にコストを削減するためだけの取り組みのように思われるかもしれません。しかしDevOpsがシステム開発・運用のオペレーション最適化を通じて企業のビジネスモデルやカルチャーの変革を目指しているように、FinOpsもやはりクラウドのコスト最適化を切り口にしつつも、最終的にはビジネス価値全体の向上を目指しているのです。

クラウドのコストは、ただ単に削減すればいいというものではありません。クラウドの強みを生かしてイノベーティブなビジネスを実現するためには、投資すべきところにはしっかり投資する必要があります。本来は必要だったはずのクラウドコストを出し渋ったばかりにイノベーションの芽をつぶしてしまっては、それこそ本末転倒です。

従ってFinOpsとは、常に「コスト」「品質」「スピード」という、互いにトレードオフの関係にある3要素のバランスを経営の視点から熟慮した上で、クラウドの最適な使い方を探っていく営みだと定義できるでしょう。これを実現するには、財務部門だけが前面に立ってコスト削減を声高に叫んでもダメですし、事業部門が前面に立ってひたすらスピードの重要性を叫ぶだけでもうまくいきません。コストを管理する財務部門、ビジネスを推進する事業部門、そしてシステムの品質やガバナンスを管理するIT部門がそれぞれ知恵を出し合い、ともにクラウドの最適なオペレーションの在り方を模索していかなくてはなりません。

なお、FinOpsの普及・推進を目的に2019年に設立された非営利団体「FinOps Foundation」では、FinOpsの「6原則」を掲げていますが、その筆頭には“Teams need to collaborate”を挙げています。このことからも、FinOpsを進める上では部門の垣根を超えたコラボレーションが極めて重要であることがうかがえます。FinOps Foundationのサイトにはこのほかにも、FinOpsの活動を進める上で重要な示唆を与えてくれる情報が数多く公開されているので、興味を持たれた方はぜひ参照されることをお勧めします。

ネットアップについて

ネットアップは1992年の設立以来、ユーザーのデータを保存・保護・管理するストレージシステムとソフトウェアを一貫して開発してきたデータ専業企業です。日本をはじめとするワールドワイドで製品及びサービスを提供。エンタープライズ規模のNAS市場では世界トップシェア、国内NAS市場でも売上高および出荷容量でトップシェアを誇っています。

Keystone

ネットアップ製のストレージ製品をサブスクリプション方式で利用できる「SaaS(Storage as a Service)」サービス。オンプレミス環境に導入するストレージ製品を一括購入する代わりに、事前に取り決めた利用容量とサービスレベルに応じた利用料金を、月次もしくは年次で支払いながら利用する。

 

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