これからのITインフラのあるべき姿 そのシステム、どこに持っていく?オンプレ/クラウド論争に終止符を

 2022.04.04  ストレージチャンネル編集部

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ここ数年日本企業でクラウド移行の動きが活発化しているが、全てのデータをクラウド移行することが必ずしもベストの選択となるわけではない。企業がオンプレミスとクラウドの両者をうまく活用するにはどうすればよいのだろうか。

クラウド移行が常にベストとは限らない

ネットアップの田邊星児氏

ネットアップの田邊星児氏

ネットアップの田邊星児氏(ソリューション技術本部 SE第4部 ソリューションズエンジニア)は、次のように分析する。「クラウドに移行することで多くのメリットを得られますが、システムの性質や扱うデータのサイズ、種類によって、必ずしもクラウドがベストの選択でない場合があります。クラウドからオンプレミスに戻せない場合は、デメリットが判明したとしてもそれを引きずることになります」

どのようなデータでもクラウドとオンプレミスで同じように扱うことができ、万一問題があればいつでもクラウドからオンプレミスに戻すことができる。そのような柔軟性が、企業のデータ管理に求められている。

「多くの企業がストレージに対して抱いている課題は、オンプレミスのストレージをこのまま続けるのか、それともクラウドに移行するのかということです。ですが、私はこの2択でしか考えられていないことが問題だと感じています」(田邊氏)

田邊氏は、オンプレミスかクラウドかを考える前に、ストレージ環境を決める基準として3つのポイントを挙げた。

「まず信頼性の高い基盤であることです。次に、運用の効率化を図れる基盤であること。そして、オンプレミスかクラウドのどちらかではなく、どちらも選択できる柔軟な基盤であること。この3点です」

1つ目の信頼性の高さは、企業のデータ保存先として基本中の基本だ。業務を止めない高い可用性と業務に影響を与えない十分な性能の両立が求められる。一部で障害が発生しても、自動的に修復する機能がなければいけない。現在はITの仮想化が普及して、複数のワークロードが1つのインフラに乗っている状況が一般的だが、この場合は1つのシステムがインフラのリソースを独占して食い尽くすことがないようにバランスを保つ必要もある。

2つ目の運用効率化だが、昨今ではOracle製品やSAP製品に代表される業務システムが扱うデータが大きくなり、バックアップに長い時間がかかってしまうことが多い。障害時のリストアも同様に時間がかかるため、復旧が遅れて業務に支障を来すことも考えられる。アップグレードや機能追加時のテスト、検証をいかに効率良く行えるかもポイントになる。

そして3つ目は、オンプレミス、クラウドのどちらにも移行可能な状態を保つことが重要だと田邊氏は言う。「海外企業は、日本よりも数年先行してクラウド移行が進みました。そこでは一部で、クラウドからオンプレミスへの逆行が起こっています。コストや性能を見て、一部のシステムはオンプレミスに戻した方が合理的という判断が下されています」

システムによっては、クラウドよりもオンプレミスが適しているものも存在するということだ。ただしそれも、いずれクラウド移行する方がパフォーマンスは良くなるかもしれない。「数年先、どちらがベストかということは分かりません。そのため、どちらにも移行できる状態にしておく必要があります」(田邊氏)

ネットアップのストレージ製品は、この3つの条件を全て満たせるという。「長年オンプレミスのストレージで培ってきた性能と信頼性、運用効率の高い技術を全てクラウド環境でも利用できます」と田邊氏は話す。

一例を挙げると、同社の高性能ストレージ「AFFシリーズ」は、最新のNVMe(NVM Express)フラッシュを採用している。従来のHDDによるハイエンドストレージから置き換えることでラックスペースを大幅に縮小し、電力の消費も低減する。実質的な容量単価はHDDと遜色ないレベルまで低コスト化が進んでいるという。データ管理OS「ONTAP」を標準装備しており、重複排除やデータ圧縮などによってストレージ容量の効率を高める。加えて、ミッションクリティカルなエンタープライズアプリケーションに向けてSAN(Storage Area Network)に特化したAFFシリーズ「All SAN Array」(ASA)も展開。SAN専用にすることでストレージのシンプルなプロビジョニングやデータ管理を可能にし、SANストレージに求められる高可用性とONTAPの利便性を両立させている。

AFFシリーズと従来のハイエンドストレージの比較

AFFシリーズと従来のハイエンドストレージの比較(提供:ネットアップ)

またONTAPは優れたQoS(Quality of Service)機能を備えている。現在の企業システムは1つのストレージに複数のデータベースが共存する環境が一般的だが、それぞれのデータベースに与える性能の上限と下限をIOPS(1秒間に処理できるI/O数)で細かく設定できる。これにより、特定のシステムのデータベースがリソースを独占して他に影響を与えるのを避けたり、システムごとに必要な性能を保証したりできる。
 「QoS機能で性能を制御しているお客さまは、過剰なリソースを調達する必要がなくなり、最適なコストパフォーマンスで運用することに成功しています」(田邊氏)

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Cloud Volumes ONTAP : クラウドベースのデータ管理サービス

バックアップ時間を99%短縮

ネットアップのストレージが持つ特徴のうち、特に優れているのが「Snapshot」機能による高速バックアップと復元(リストア)だ。

「ネットアップのSnapshotは、ストレージのデータそのものではなくデータの格納位置を記録したメタデータのみをコピーします。そのため以前は数時間かかっていたバックアップが数秒で完了します。リストアも保存した時点にメタデータを戻すだけなので、非常に高速です」(田邊氏)

高速なバックアップを生かすことで、テストサイクルの高速化も可能になる。Snapshotの技術を生かした「FlexClone」機能は、本番環境を瞬時にクローン化してテスト環境を用意する。必要に応じて前のステップに戻りながらテストを進められるのだ。

「テストを重ねてもセーブポイントごとに差分だけを保存するので、クローンの作成、復元は非常に高速です。クローンを複数作ってもストレージ容量をほとんど消費しないので、リソースの制限を気にすることなくテストを効率良く進めることができます」(田邊氏)

従来は、テスト環境を用意するために必要な容量の確保やテスト用のデータの配置などに時間を要していたが、FlexCloneによってこの準備時間も大幅に短縮できる。

主要パブリッククラウドでフル機能を提供

クラウド環境を含めて、データ保存の場所を柔軟に選択できることもネットアップ製品の特徴だ。

「ネットアップはストレージ業界の競合他社に先行してパブリッククラウドとの連携・統合に取り組み始め、現時点でAWS、『Microsoft Azure』(以下、Azure) 、『Google Cloud』の主要パブリッククラウド3社においてエンタープライズの要求に応えるストレージサービスを提供しています。そしてネットアップのクラウドストレージサービスには、各パブリッククラウドのIaaSでONTAPを展開する『Cloud Volumes ONTAP』(以下、CVO)と、各パブリッククラウドと統合したPaaSとしてネットアップのストレージを利用できるサービスがあります」(田邊氏)

また同時に、AWS、Azure、Google Cloudと連携したソリューションも提供している。中でもAWSについては「Amazon FSx for NetApp ONTAP」(以下、FSxN)をリリースした。FSxNはAWSのネイティブサービスであり、ONTAPの高性能、高機能なデータ管理をAWSで実現する。これまで説明してきた重複排除や圧縮、Snapshot、FlexCloneを利用可能だ。AWSのマネージドストレージサービスとしては初めて、NFS、SMB、iSCSIというマルチプロトコルをサポートしている。ONTAPのレプリケーション機能「SnapMirror」にも対応し、オンプレミスとAWS間でのデータ連携も可能となる。

ハイブリッドクラウドで利用可能なPaaS型のネットアップストレージサービス

ハイブリッドクラウドで利用可能なPaaS型のネットアップストレージサービス(提供:ネットアップ)

オンプレミスと同じ機能のストレージ環境をクラウドに用意できるため、メインはオンプレミスで使用し、一時的にテスト環境が必要になったらクラウドに環境を準備。そしてオンプレミスと同じようにONTAPの機能を利用してテストを実施できる。SnapMirrorで重複排除して圧縮した差分データのみをレプリケーションすることで、ネットワーク通信量を抑えたデータ連携が可能だ。

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SnapMirrorによって効率的なデータ転送が可能になる(提供:ネットアップ)

「クラウドでストレージを利用する際に気になるのがコストです。一般的なパブリッククラウドのストレージ機能は、データをそのまま保存することしかできないためユーザーが使う容量分がそのまま課金されてしまいます。これに対してネットアップのCVOやFSxNは重複排除やデータ圧縮などの機能でストレージコストを節約することができます。またクラウドでストレージ領域を階層化することもできます。使用頻度が低いデータはランニングコストが低いクラウドアーカイブに移動させて、運用コストを低く抑えることも可能です」(田邊氏)

企業の事情に合わせた柔軟なストレージ戦略を支援

ネットアップのストレージサービスを使えば、データをオンプレミスとクラウド間でシームレスに移行して管理できる。このメリットをユーザー企業が生かせるように、データをどこに置くべきかコンサルティングするサービスも提供している。

「ストレージのクラウド対応は、クラウド移行を諦めた企業、全面的なクラウド移行に踏み切ったものの部分的に問題が出て一部をオンプレミスに残す企業、あるいは段階的にクラウド移行を進める計画の企業など、実にさまざまです。一つ言えるのは、オンプレミスからクラウドという一方通行だけが正解ではないということです」(田邊氏)

企業が扱うデータは日々増大しており、その管理の手間とコストは大きな問題になっている。データ管理のプロフェッショナルとして、オンプレミス、クラウドを問わずあらゆる環境に対応するネットアップのストレージ環境は企業の強い味方になるだろう。

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