クラウドとは?その種類の解説と仮想化との違い

 2017.11.01  2022.01.26

「仮想化」と「クラウド」は、ITシステム用語の中で最もホットなキーワードであることに間違いありません。今回は、その仮想化とクラウドの違いをわかりやすくご紹介いたします。

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仮想化とクラウドの違い

まず仮想化とクラウドがそれぞれ何を示すかというと、仮想化は技術、クラウドはサービスや環境を指します。

仮想化は、物理的に存在するシステムリソースを自由に分割したり統合するための技術です。「サーバ仮想化」や「ストレージ仮想化」といったワードを見聞きしたことはないでしょうか?これらは、物理的なハードウェアの数にとらわれず、それらのリソースを仮想的に分割したり統合します。そのリソース分割・統合の目的はリソースの無駄をなくすためです。

サーバに搭載されているCPUやメモリといったリソースは、100%使用されていることはごく稀です。安価なサーバでさえ高性能化しているため、サーバ上でアプリケーションを稼働させても使用するリソースは10%~30%程度です。残りのリソースを持て余していることになるので、そこには無駄が存在します。

こうした無駄を排除しようという動きから、仮想化という技術が誕生しました。ちなみに仮想化は真新しい技術ではなく、最古の使用例では40年以上前から存在しています。

一方クラウドとは、一般的にインターネットを経由して提供されるサービスを指します。クラウドはサービスの種類によってIaaS、PaaS、SaaSという分類にわかれています。

IaaS(インフラストラクチャ as a サービス)はサーバが持つCPUやストレージといったリソースを提供するサービスです。開発環境やシステム環境を社内に構築しなくてもいいため、インフラへの初期投資を抑えられます。

PaaS(プラットフォーム as a サービス)はリソースに加えてOSやミドルウェアなどの環境も含めて提供するサービスです。ユーザーは用途に応じて環境を自由に構成できるため、迅速にシステム運用環境を手にできます。

SaaS(ソフトウェア as a サービス)はアプリケーションそのものを提供するサービスです。例えばGmailやOffice 365など、インターネットで経由されるサービスはすべてSaaSということになります。このため、すべての人にとって最も身近なクラウドがこのSaaSかもしれません。

クラウドの種類はどのようなものがあるか」の記事でクラウド種類について詳しくご覧くださいませ。

このように、仮想化とクラウドには技術とサービスという明確な違いがあるのです。

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プライベートクラウドとパブリッククラウド

クラウドとは一般的にインターネットを経由して提供されるサービスを指すとご紹介しました。しかし、クラウドはサービスとして利用するだけでなく、環境として社内に構築することもあります。

例えば社内データセンターにクラウド環境を構築した場合には、それをプライベートクラウドと言います。

プライベートクラウドは、クラウドの技術を用いて一つの企業のためだけに構築するコンピューティング環境を提供するサービスです。このようにプライベートクラウドとは社内に構築する環境であり、クラウドは単なるサービスでないことが分かります。

ちなみに、サービスとして利用するクラウドを一般的にパブリッククラウドと呼びます。パブリッククラウドとプライベートクラウドの両者を活用したものをハイブリッドクラウドと言います。

仮想化とクラウドの関係

ここまで仮想化とクラウドの違いや、クラウドの詳細について説明し、それぞれに明確な違いがあることを理解していただけたかと思います。ただし、仮想化とクラウドはまったくの無関係というわけではなく、密接な関係があります。

仮想化とクラウドの関係を簡単に言えば、クラウドというサービスや環境が仮想化によって成り立っているのです。

皆さんはDropBoxやGoogleドライブといった、オンラインストレージというクラウドを利用したことはあるでしょうか?これは、端末やHDDといった記憶装置に保存するデータをインターネット上に保存するためのサービスです。

厳密に言えばインターネット上に保存しているのではなく、サービス提供事業者が運用しているストレージサーバに保存し、インターネットを経由してそこにデータの読み書きを行っています。

ここで一つ疑問なのは、数万数十万のユーザーすべてのデータを保管できるストレージサーバは存在するのか?ということです。この答えは当然「NO」です。

例えばDropBoxのユーザー数は世界5億人(2016年3月時点)もいるので、各ユーザーが1GBのストレージを使用した場合、総容量は500PBにもなります。

参考:CNET Japan「Dropbox、ユーザー数が世界全体で5億人に

もちろん1人1GBしか使用しないということはないので、実際に必要なストレージはその数十倍以上になるでしょう。

こうした巨大なデータを管理するためには、仮想化によって無数のストレージサーバを一つに統合する必要があります。

仮想化によって一つの巨大なストレージプールを作れば、世界5億人が保存するデータ量にも対応できます。このように、クラウドは常に仮想化によって成り立っているので、深い関係があるのです。

企業が仮想化を導入するメリットは

ほとんどの企業はDropBoxのようにPB級のデータを保有していないかもしれません。ません。世界のデータ量から推測するに、いずれはPB級のデータを保有するような時代が到来するでしょうが、それはまだまだ先の話です。

では、企業が仮想化を導入するメリットとは何でしょうか?

第一に、リソースの無駄を排除できるというメリットがあります。先述のようにサーバストレージというのは100%使用されていることは稀です。余剰したリソースを有効活用するためには、一つのサーバ上で複数のアプリケーションを稼働させる必要があります。しかし、原則として一つのサーバ上では一つのアプリケーションしか稼働できないので、仮想化の登場です。

仮想化によってサーバリソースを分割して、複数の仮想マシンを作り出せば、それぞれにアプリケーションをインストールできます。さらに、各仮想マシンのリソースは自由に拡張できるため、インストールするアプリケーションの性能によって自由な構成が可能です。

このように仮想化を活用してリソースを分割すれば、リソースの無駄を排除し、インフラ投資に対して高い費用対効果も期待できます。

ストレージ仮想化によって一つのストレージプールを作れば、複数のサーバをそれぞれに管理する必要が無くなり、システム運用の効率化もできるでしょう。

まとめ

仮想化は今やクラウドサービスを提供するだけでなく、企業が持つ多くのIT課題を解決するために欠かせない技術です。そのため仮想化市場やクラウド市場は年々拡大傾向にあり、様々な仮想化製品やクラウド技術が登場しています。企業は仮想化の目的に応じて適切な製品を選択することで、深刻なIT課題を解決しつつ、コスト削減を実現することもできるでしょう。

さらに、必要に応じてクラウドサービスを活用することで、さらに自由なインフラ環境を構築し、様々なメリットを享受できます。

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