1990年代からのエンドユーザーコンピューティングの普及やパソコン、スマートフォンの利用者が急速に増えるようになり、あらゆるものが電子データとして管理されるようになりました。
その結果、急激に電子データがあふれるようになり、どの企業でも大容量かつ管理性の高いストレージが必要になってきています。
ストレージとは、一体どんなものか詳しくご存知でしょうか?
ストレージそのもの自体は、ユーザーと直接触れ合うことはなく、あまり脚光を浴びることはありませんが私たちがITを活用する上で必要不可欠なものであり、企業の存続に大きく貢献している大切な存在なので、その仕組みについて初心者向けにゼロから解説していきたいと思います。
初心者でも簡単!ストレージの基礎知識
そもそも、頻繁に利用されるストレージという言葉ですが、どんな意味があるのでしょうか?
参考記事:ストレージとは?基礎から解説
ストレージ(Storage)を辞書で引くと「貯蔵」「保管」「倉庫」ということからもわかる通り何かを貯めておく、もしくは貯めておく場所のことです。コンピュータ領域におけるストレージとは、サーバやパソコン、スマートフォン、タブレットなど、あらゆる電子端末で作り出される電子データを長期間保存しておくための補助記憶装置のことです。
私たちの生活の周辺には、意外にもストレージ製品が溢れているのですが、お気づきでしょうか?
例えば、音楽などの音声ファイルの保存に利用されるCDや映画を保存する際に利用するDVD、パソコン内の大容量ファイルの保存を可能にしてくれるハードディスクドライブ(HDD)など、色々なところでストレージが利用されています。また、スマートフォンの内部ストレージの拡張製品としてSDカードがありますが、こちらも立派なストレージです。
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インターネットを利用したクラウドストレージ
ストレージは、SDカードやCD、HDDなど、多様な種類に分類されますが、最近は、インターネットを利用したオンラインストレージが大きな注目を集めています。まさにインターネット上に存在する電子データ格納倉庫であり、ネット環境があれば、どこからでもアクセスすることができます。
一般的に、インターネットを介してアクセス可能なストレージを、オンラインストレージ、またはクラウドストレージと呼ばれており、両者は同義語として扱われています。オンラインストレージにも個人が無料で気軽に利用できるものもあれば、Amazon S3のような法人向けの大規模ストレージサービスもあります。また、広義にはオンラインストレージ上で私たちが扱いやすいようにソフトウェアを構成し、サービスとして提供するDropBoxやBox、Microsoft OneDriveなどもオンラインストレージです。
オンラインストレージは、クラウドの利点を活かして、サービスのグレードを上げることで、いくらでも許容量を増設できるなどの特徴があります。
コンピュータの5大装置について理解する
記憶装置としてのストレージの役割を明確に理解するためには、コンピュータの基本構造について理解しておく必要があります。コンピュータのハードウェアは、大きく5つに分類されます。
装置の名称 |
代表的な機器とその特徴 |
制御装置 (中央処理装置CPU) |
本来、CPUは、コンピュータの中枢部分として、制御や演算を行うための大切な役割を果たします。制御装置では、プログラムの命令を解釈することで、コンピュータの全体の動きを正常に制御しています。 |
演算装置 (中央処理装置CPU) |
同じCPUでもこちらは、演算装置として四則演算をはじめとする計算やデータの演算処理を装置の中で行います。このような装置のことを、算術論理演算装置(ALU)と呼びます。 |
記憶装置 (主記憶装置) |
記憶装置の中でも主記憶装置は、動作に必要なプログラムやデータを一時的に記憶するための装置で代表的な例としては、メモリがそれに該当します。コンピュータの電源を切ってしまうと、主記憶装置のデータは、その場で消えてしまうという特性があります。 |
記憶装置 (補助記憶装置) |
一方の補助記憶装置は、データやプログラムを長期間記憶するために利用される装置のことです。長期保存を前提としている装置なので、主記憶装置と違ってコンピュータの電源を切ったからといってデータが消去されるということはありません。代表的な例をあげると、ハードディスク以外にもDVDやCDといったような光ディスクなどがあります。 |
入力装置 |
入力装置は、コンピュータにデータを入力するための装置です。代表的なものを紹介すると、下記のような入力装置があります。 ①キーボード:数字や文字を入力するための装置。 ②マウス:ディスプレイなどで位置情報を操作するための装置。③スキャナ:写真や図などをデジタルデータに変化し、パソコンが扱えるデータに出力するための装置。 |
出力装置 |
コンピュータ内部のデータを出力するための装置で、代表的なものを紹介すると、下記のような出力装置があります。 ①ディスプレイ:コンピュータ内部のデータを画面に表示させるための装置。 ②プリンタ:コンピュータの処理したデータを紙媒体として出力するための装置。 |
一般的にストレージとは、上記のコンピュータの5大装置の中でも、記憶装置(主記憶装置・補助記憶装置)に該当します。
主記憶装置は、長期的なデータの記録を行わない代わりに、サーバからの素早いリクエストに応じて、受け取ったデータを瞬時に記録できます。しかし、電源を切るたびにデータが削除されるため、その欠点を補助記憶装置で補っています。
少し難しければ、主記憶装置は、CPUで直接書き込めるメモリだと考えてください。一方の補助記憶装置は、CDやDVD、HDD、フロッピーディスクのことだと簡単に違いを覚えておきましょう。
デジタルデータを保存するストレージ製品とは?
現在では、多様な形態のストレージが世に送り出されていますが、その中でも代表的な製品を具体的に紹介していきます。
ハードディスクドライブ(HDD)
通常、パソコンには、音楽や写真、動画、ワードファイル、エクセルファイル、メモ帳などの電子データを保存するためにHDDというものが標準搭載されています。パソコン内部に内蔵されたHDDのことを、内臓ハードディスクドライブ(内臓HDD)と呼びます。ちなみに、HDDが保存できる容量のことを「ディスク容量」と言います。ディスク容量は、基本的に「GB(ギガバイト)」「TB(テラバイト)」といった表現が用いられます。つまり、HDDを購入する際は、ディスク容量を確認することで、どれだけのデータが保存できるのかということを知ることができます。
両者の単位の違いですが、
1TB=1024 GB
となりますので、「1TBは、GBの約1,000倍」と覚えておきましょう。
いくら大容量のHDDでも、頻繁に使っていると、いつかは電子データでいっぱいになってしまいます。そういった時は、外付けハードディスクドライブ(外付けHDD)を利用することで、限りあるストレージのディスク容量を簡単に増設することができます。
ディスクアレイ(ストレージアレイ)
ディスクアレイは、ストレージアレイとも呼ばれていて、上記のHDDを複数搭載した時に1台の大容量ディスクとして利用する装置のことを表します。一般的にはNetAppやEMCなど企業向けのストレージがこのディスクアレイということになりますが、このディスクアレイのことをハードディスクドライブ(HDD)と言うこともあります。
非常にディスク容量が大きく、一般家庭向けではなく法人クライアントの企業データベースサーバやメールサーバ、ファイルサーバと連携されることを目的として利用されています。ディスクアレイは、サーバに接続するための専用インターフェイスとHDD制御用装置によって構成されています。
例えばNetApp FAS8080 EXでは、最大容量 172PB(ペタバイト)ものデータが保存可能です。
1PB=1024 TB ですから想像もつかないレベルかもしれません。ちなみに1PBで100万年分の新聞を保存できるので、NetApp FAS8080 EXでは、1億7200万年分の新聞を保持できると言うことになります。逆に想像できなくなりそうですが、企業向けストレージではこれくらいの容量が必要不可欠になるほどデータで溢れかえっていると言うことなのでしょう。
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ストレージは現代社会においてなくてはならない存在
パソコンやサーバの内部構造ということもあり、難しそうなイメージのあるストレージですが、ご理解いただけましたか?
現代社会においてITは必要不可欠であり、そのITを影で支えてデータをしっかりと保管しているものこそがストレージと言うことになります。
HDDを中心にご紹介しましたが、最近ではHDDの代替としてフラッシュストレージが主流になりつつありますので別の機会にご紹介いたします。
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