企業における仮想化クライアントの導入率は2020年までに5割弱にのぼるとも言われており、仮想化技術の注目度などは上昇を続けています。そのほとんどの環境でサーバー/スイッチ/ストレージで構成された、いわゆる「3Tier型」になっているわけですが、障害の切り分けや拡張作業などは複雑になり、日々の運用が頭痛の種になってしまっている企業も少なくないでしょう。

その結果、日々のメンテナンスばかりに時間を割かれてしまい、新しい技術を取り入れたり、事業成長に繋がったりするような攻めのITに注力することが難しくなっています。

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こうした状況下でスポットライトを浴びている技術が「HCI(Hyper Converged Infrastructure:ハイパー・コンバージド・ストレージ)」です。本稿では、「HCIって何?」という方に向けてHCIを基礎から解説していきます。

HCIとは?

GoogleやFacebook、Amazonといった大手クラウドサービスプロバイダーに共通してみられるITインフラを「WebスケールIT」と呼びます。ICTアドバイザリとして世界大手のガートナー社によると、WebスケールITを構成するには以下の要素を満たすことが必要だとされています。

  • X86サーバー上のハイパーコンバージェンス(サーバーとストレージの統合)
  • ソフトウェアによるインテリジェンス(100%ソフトウェアによる制御)
  • 完全分散(クラスター全体にわたるデータとサービス)
  • 自己修復型システム(分散リカバリによる障害の切り離し)
  • APIドリブン(駆動)な自動化と豊富なデータ分析機能

これらの条件を満たすことで、SAN/NASを活用したネットワークストレージを撤廃、スケールアウト型の分散ファイルシステムを構築することで要求に応じた自在な拡張性と、短期間でのアプリケーション開発、短い導入サイクルの実現、それとコストの抑制などさまざまな課題を克服するためのITインフラを創り上げることができるとされています。

ストレージに関するお役立ち資料

しかし、WebスケールITのようなITインフラを構築するためには高度なスキルを持ったエンジニアが開発/設計を行う必要があり、おいそれと構築できるものではありません。従って、「WebスケールITは一部の大手企業のもの」というイメージが先行しています。そこで登場したのが、大手クラウドサービスプロバイダーでなくてもWebスケールITのようなシステムを容易に導入できるようにパッケージ化された製品がHCIです。

ハイパーコンバージドのハードウェアはx86サーバーのみで構成されており、各社独自のストレージ仮想化技術を使うことで、外部ストレージアレイやSANスイッチを撤廃し、各サーバー(ノード)の内蔵ディスクを論理的に1つのストレージプールに見せ、仮想化環境の構築を容易にしています。

参考記事:ハイパーコンバージドインフラ(HCI)とは?コンバージドインフラとの違いを解説

コンバージドインフラとの違い

仮想化技術が一般化するにつれ、3Tier型仮想化インフラが持つ数々の課題を解決するために、コンバージドインフラ(Converged Infrastructure)が2008年頃に登場しました。「垂直統合型インフラ」とも呼ばれるこの製品は、主要ベンダーのサーバー/スイッチ/ストレージなどのハードウェアを1つのラックに集約し、ソフトウェアと共にパッケージ化して提供するというものです。

構成としては従来の3Tier型仮想化インフラと変わりありませんが、ハードウェア設計は事前検証済みで提供されるため、導入スピードが迅速になるというメリットがあります。このようなことから小規模なシステムでもコンバージドインフラのような製品を導入したいというニーズが自然と生まれ、複雑かつ属人化していた運用負荷を軽減したり、必要に応じて容易にインフラを拡張したりしたいという要求から、翌年にはHCIが登場しています。双方の特徴は以下の通りです。

 

コンバージドインフラ

HCI

主要製品(メーカー)

FlexPod(Cisco/NetApp)

V*Block(Dell EMC)

ExaData(Oracle)

 

NetApp HCI(NetApp)

Nutanix(Nutanix)

SimpliVity(SimpliVity)

HC-250/380(HPE)

VxRail(Dell EMC)

アーキテクチャ

3Tier型

シンプル

(サーバー/ストレージ一体型)

スモールスタート

拡張作業のしやすさ

インフラ構成の柔軟性

短期導入

運用管理のしやすさ

事前検証済み設計

初期導入費用

一般的に高価

安価

HCIのメリット

スイッチとストレージを排除し、分散ファイルシステムを使ってx86サーバーのみで構成することにより、HCIにはどんなメリットがあるのでしょうか?

1.信頼性の高いインフラを短期導入できる

HCIでは従来の3Tier型仮想化インフラのように、複数ベンダーの製品を組み合わせる必要はありません。スイッチとストレージが排除されているため、単一ベンダーがハードウェアとソフトウェアを組み合わせてオールインワンのITインフラを提供しています。

従って、発注時点でコンフィグレーションが検証済みとなっており、さらに指定されたハイパーバイザ(仮想化ソフトウェア)がインストールされます。HCIが届いてからわずか30分程度で仮想化基盤として利用することも不可能ではありません。

2.データセンター費用の削減

HCIではSANスイッチとストレージを排除したことで、1~2Uの筐体にIAサーバーを1~4台収容し、システム構成のシンプル化を図ることで省スペースを実現しています。そのため、従来のITインフラに比較するとラックスペースに余裕ができ、電力や空調費用などデータセンターにかかる費用を大幅に削減できる効果があります。

3.ITインフラのシンプル化により運用負荷が大幅に軽減される

スイッチとストレージを排除したHCIではネットワークI/Oの問題が解消され、ネットワークパフォーマンスが安定することで運用負荷を大幅に軽減できるメリットがあります。また、仮想化ソフトウェアも事前に設定された状態で提供されるためソフトウェアの複雑なメンテナンスから解放されるというメリットがあります。

4.必要に応じたインフラ拡張で適正コストを保てる

HCIに収容されているサーバーにはCPU、メモリ、ディスクが搭載されておりサーバー1台単位での拡張が可能です。従来の3Tier型仮想化インフラのように、拡張時にサイジングをやり直したり、ストレージ製品のモデル変更したりなどの作業は不要になります。必要なリソースが搭載されたサーバーを選択して追加するだけで、HCIのリソースプールを容易に拡張できます。必要最低限のサーバー台数だけを導入し、ビジネスの成長に合わせて必要な分だけサーバーを購入して拡張していくことが可能です。従ってITインフラに対する投資を常に適正に保つことができます。

HCIの魅力についてもっと知ろう!

当然ながら、HCIにはHCIなりの課題もありますが、現在最も注目されているこのITインフラは多くのIT部門が抱える問題を解決するための大きな力になります。また、NetAppが提供するHCIは、第一世代のHCIが持つ課題を克服しているという特徴があります。まだHCIを導入していないという場合は、この機会にHCIの魅力についてもっと知り、積極的な検討を行っていただきたいと思います。

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