オブジェクトストレージとは?基礎から解説

 2019.04.26  ストレージチャンネル編集部

オブジェクトストレージ」は、従来のストレージにあった多くの課題を解決し、大量のデータや迅速に、安全に、安価に保管するための領域を提供します。本稿では、今さら人には聞けないオブジェクトストレージについて、その基礎から解説していきます。

オブジェクトストレージとは?

従来のファイルストレージはデータを格納する際に、ディレクトリと呼ばれる階層構造を作り、データごとにファイルを作成することで管理していました。容量の小さな数の少ないデータを読み書きするのが中心だった時代には、こうしたディレクトリを活用したファイルサーバーが有効であり、管理上の問題が生じることも無かったのです。

時代の流れと共に企業を取り巻くIT環境は変化をつづけ、日々大量のデータが生まれています。その増加が特に顕著なのが「非構造化データ」です。非構造化データとは構造的に整理することが難しいデータのことであり、電子メールテキスト、文書、画像、音声、動画などのデータに加えて、Webサイトログ、IoT機器からのデータなども含まれます。これらの非構造化データは増加の一途をたどるのと同時に、データとしての価値が高まっており、重要な管理対象として扱われています。

しかし、従来のファイルサーバーではこうした非構造化データを管理するのには適さず、データ数と種類の増大はストレージのI/O(Input / Output)にボトルネックを生じさせるようになりました。そうした課題を解決するために登場したストレージ製品がオブジェクトストレージです。

オブジェクトストレージはデータをファイル単位やブロック単位ではなく、1つ1つのデータを「オブジェクト」という単位で扱い、データごとに固有のIDとメタデータを付与することで非構造化データの効率的管理を実現します。通常のファイルサーバーでも作成日や作成者などのメタデータを付与していますが、オブジェクトストレージではデータの種類、保存期間やコピー回数など、より多くのメタデータを付与することでオブジェクト単位での管理を可能にしています。

さらに、ディレクトリのような階層構造は持っておらず、「ストレージプール」と呼ばれるオブジェクト(データ)を格納するための箱のみが作成され、IDとメタデータによって管理されています。

オブジェクトストレージのメリット

その構造がファイルサーバーとは決定的に違うことで、オブジェクトストレージには以下のようなメリットがあります。

ストレージに関するお役立ち資料

1.大量のデータ保存と高い拡張性

非構造化データは往々にしてその量が大量であり、種類が豊富で、かつ迅速なアクセス性が求められます。いわゆる「ビッグデータ」と呼ばれるもののほとんどが非構造化データで構成されており、やはり従来のファイルサーバーでは適切に管理できない問題があります。

オブジェクトストレージが得意としているところは、大量のかつ特定の構造を持たないデータの管理であり、1つの大きなストレージプールを持つことであらゆるデータを制限なく保管することができます。さらに、ディレクトリを持たないことでストレージの拡張性にも優れ、ストレージ増量のニーズが生じればスケールアウト(ストレージを増設)することでシンプルに拡張できます。

2.古いデータにも素早くアクセスできる

古く、使用されなくなったデータは他の記憶媒体に移行して保管するというのが一般的です。時に、緊急時以外は使用しないが保存義務があるデータに関しては、低コストな保管方法で倉庫に眠っています。しかし状況は変わり、ビッグデータの重要性が高まる中で倉庫に眠っていたデータを掘り起こす価値が生まれており、データアクセスの速度に迅速性が求められています。

磁器テープや光ディスクに保管されているデータを読み取るには、搬入や読み取りの手間を考慮すると数時間から数日かかります。場合によっては記憶媒体が劣化して、完全な状態で読み取れないケースもあるでしょう。

一方、オブジェクトストレージはWeb通信でも用いられるHTTPS通信のREST API(Webシステムを外部から利用するためのプログラムの呼び出し規約)を利用して様々なアクセス方法でデータを読み取ることができるため、大量のデータを保存してもデータの読み書き速度が低下せず、古いデータにも素早くアクセスできます。

3.大量のデータを低コストで保存できる

DAS、NAS、SANといった従来のストレージタイプは保存容量を拡張するためにスケールアップで対応する必要があります。スケールアップとは、ハードウェアそのものを高性能のものに置き換えるという方法であり、データ移行作業が発生したり、高いコストが発生します。

これに対してオブジェクトストレージは、複数のサーバーを1つのストレージプールとして統合するため、スケールアウト、つまりサーバーを増設することでストレージ容量を拡張することができます。従って作業負担を少なく、かつ低コストでの大容量データ保存が可能です。

4.複数拠点へのデータ分散が可能になる

高性能かつ故障の少ないストレージ製品でも、物理的な衝撃によってデータを損失するケースは少なくありません。特に大きな災害が発生した際は、堅牢だと思われていたデータセンターが倒壊したり、ネットワーク障害が発生したりとデータアクセスが困難になる可能性が非常に高くなります。そのためストレージには「災害にも耐えられる耐久性」といいう要件が強く求められます。

オブジェクトストレージはHTTP通信を利用したネットワークを構成することで、複数拠点へのデータ分散/複製を実現し、大きな災害が発生した際でも高いセキュリティでデータを護ることが可能です。従って災害時のDR(Disaster Recovery)やBCP(Business Continuity Plan)としても注目されています。

5.多様化するアクセスニーズに対応できる

オブジェクトストレージを採用すると、少ない労力でHTTPS通信を利用したデータアクセスが可能になり、タブレットやIoTデバイスからの容易に大量のデータへアクセスすることができます。従来のファイルサーバーではCIFSやNFSといった社内からのデータアクセスしか想定していないので、タブレットやIoTデバイスを使用しても社外からのデータアクセスは難しくなります。

オブジェクトストレージならば多様化するデータアクセスにも対応できるため、新しいビジネスを創出したり、データ活用の幅を広げるたりすることが可能です。

オブジェクトストレージを検討しよう!

オブジェクトストレージはすでに世界中で導入が進んでいます。例えば中小企業や多国籍企業へパブリック/プライベートクラウドを中心にサービス提供しているオーストラリアのクラウドプロバイダであるADEでは、オブジェクトストレージを採用することで、クラウドサービスへの簡単な移行とデータ圧縮という新しい価値提供に成功しています。

オブジェクトストレージは単に大量のデータを安価に保管するためのストレージではなく、ビジネスに新しい価値を生み出すストレージでもあります。皆さんもこの機会に、オブジェクトストレージの導入をぜひご検討ください。

StorageGRID Webscale

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