ストレージOSって何?初心者のための基礎講座

 2019.04.01  2022.08.03

従来、ストレージといえばデータを蓄えるためのハードウェアもしくはファイルサーバなどと認識されていたことでしょう。少し詳しい人であれば大量のHDD(Hard Drive Disc)またはSSD(Solid State Drive)などを備えるという認識のかたも多いはずです。

昨今、企業が保有するデータは増加傾向にあります。その要因としてIT技術の進化、とりわけIoT(モノのインターネット)などといったデータ生成自体が人から機械へと広がりを見せていることが挙げられます。それらの膨大なデータをもとにより良い意思決定や自動化を行うために人工知能や機械学習の活用も盛んに行われるようになりました。

そのため、その基本となるデータの保管、とりわけストレージの重要性はますます高まりを見せているのです。

本稿では、ストレージにおける「ストレージOS」について解説しています。ストレージOSについて知りたい。でも、いまさら人には訊けないという方はぜひ参考にしてください。

ストレージとソフトウェアの関係とは

従来のストレージはシンプルなハードウェアであり、データを蓄えるための「箱」でした。ソフトウェアといえば、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)コントローラーのファームウェア程度にしか見られませんでした。しかし現在では、前述したとおり大量のデータを安全かつ的確に処理することが必要であり、ハードウェアの進化とともにストレージを制御するソフトウェアの高機能が進んでいます。このストレージを扱うためのソフトウェアこそがストレージOS(ストレージソフトウェア)と呼ばれるものになります。

ストレージOSの実行のためにも、ストレージにはサーバーと同様の高性能なプロセッサやメモリが搭載されるようにもなりました。

ストレージOSの形態は、おおまかに3種類に分けられます。「ストレージベンダーが自社製品専用として開発したOS」、「Linuxをベースに組み込みOS化したもの」、「Microsoftが提供するWindows Storage Server」の3つです。

 
 

ネットアップ 総合カタログ

ネットアップ 総合カタログ

NetApp ONTAPは、NetAppストレージに標準搭載される高度なデータ管理のための専用ソフトウェアです。企業が求めるストレージ効率性、バックアップ、ディザスタリカバリ、コンプライアンス、耐障害性と可用性、セキュリティをNetApp ONTAPが支え続けています。

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各種ストレージOSの特徴

ストレージベンダー専用OS

最初からストレージでの使用を想定し、それに特化した設計が行われているストレージOSであり、ストレージに必要な機能をミニマムにまとめた軽量なOSが多いため、ストレージアクセスのパフォーマンスを向上する特徴があります。ストレージベンダー専用OSということで、ストレージ製品に100%マッチしたOSでもあり、他にもたくさんのメリットがあります。

しかしながら、ストレージベンダーが専用OSを開発して継続的にメンテナンスを行うのは簡単なことではなく、ストレージベンダーの中でも大規模かつ技術力が高い一部のストレージベンダーに限定されています。例えばネットアップではONTAPという高機能ストレージOSを提供しています。

LinuxベースOS

Linux等のオープンソースソフトウェアは無料での商用利用が可能なため、ストレージベンダー視点では低コストでストレージOSを提供できることがメリットです。そのため、コンシューマー向けのNAS製品等によく見られます。

Windows Storage Server

MicrosoftがWindows Serverをベースに、ストレージOSとしてカスタマイズし、ストレージベンダー向けにOEM(Original Equipment Manufacturing)として提供しています。Windowsならではの、豊富なデバイス対応とGUI(Graphical User Interface)ベースの操作画面が活かされています。

ストレージ製品を購入する企業は、任意のストレージOSを選択することはできません。ストレージ製品ごとにストレージOSの種類は固定しているため、自社にとって最適なストレージOSを事前に定義しておくことが大切です。

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ストレージOSの一般的な特徴

NAS(Network Attached Storage)はネットワークレイヤーでサーバーと通信を行い、ファイル名によってアクセス先を指定します。このNASではTCO/IPプロトコルスタックなどが必要になることもあり、何らかのストレージOSが組み込まれていることが多いでしょう。さらに、ブロック単位でのアクセスが可能になるSAN(Storage Area Network)でも、最近では高度な機能が実装されるケースが多く、ストレージOSが搭載されることが当たり前になっています。

ストレージOSは、搭載されている多数のHDD・SSDを効率良く並列動作させ、ネットワーク経由で送られてくるリクエストにレスポンス良く応答し、データ転送を行うことが主な役割となっています。これに加え、現在ではレプリケーションスナップショットなどの機能がストレージに実装されるケースが増えており、こうした追加機能の実行もストレージOSの役割になっています。

ちなみに、ディスク領域をブロック単位で提供するSANの場合は、ファイルシステムの構築および管理はサーバー側の役割となります。一方、NASの場合はストレージ自体がファイルシステムを構築および管理し、サーバーとのインターフェースはネットワークプロトコルを介して行うため、目的に応じてさまざまなファイルシステムを利用することが可能です。

このファイルシステムの管理にもストレージOSが必要であり、LinuxをベースにしたOSを搭載するNASでは、Linux用に開発された各種ファイルシステムが利用されることが一般的になっています。一方で、ストレージベンダー専用OSの場合、ファイルシステムにもNASに特化した設計専用ファイルシステムを採用している例があり、こうした点も製品の魅力につながっています。

ネットアップが提供するストレージOS「NetApp ONTAP」の特徴

ネットアップが提供するストレージOS「NetApp ONTAP」は、データ管理のための様々な機能を提供しており、柔軟な管理と高い可用性、優れたパフォーマンスを実現するストレージOSとして数多くのエンタープライズシステムに採用されています。

基本機能としてのRAIDや、オンラインバックアップ機能であるsnapshotやSnapRestoreといったリストア機能や、ディザスタリカバリにも使用できるSnapMirrorなどの機能を持ちながら、効率化を促進するためのインラインの重複排除や圧縮、コンパクションなど最先端の基本機能を提供しています。

その一方で企業のストレージ は、最新鋭のアプローチを取り入れつつ、既存環境への統合も進めなければなりません。そして、クラウドの台頭によりデータは、オンプレミス、クラウドといった格納場所 にかかわらず管理する必要があり、コストの削減や既存ITスタッフでの運用といった効率化にも取り組む必要があります。

ONTAP は、フラッシュ、ディスク(HDD)、クラウドにまたがるデータ ファブリックの基盤となるハイブリッドクラウドを容易に構築できるとともに、データを随時必要な場所に移動させながら、シームレスに管理できるようになります。つまり、最新のONTAPでは、クラウド時代に企業が直面する、データ管理の簡易化、ビジネスニーズの変化への柔軟な対応、エンタープライズ アプリケーションの強化といった課題を解決することが可能になるのです。

また、ONTAPはクラウドで利用可能なONTAP Cloud、NetApp以外のストレージでも利用できるONTAP Selectも提供しています。

ONTAP Cloud

強力な機能と豊富な実績を誇るNetApp ONTAPの機能をそのままパブ リック クラウド上に展開したクラウド データ管理ソフトウェアです。企業 はONTAP Cloudを活用することで、クラウド上においても自社運用の データセンターと同じレベルでアクセスし、制御でき、またオンプレミス のONTAPストレージとの連携が可能になります。

もっと見る:Cloud Volumes ONTAP(旧ONTAP Cloud)って何?5分でその全貌を理解!

ONTAP Select

さまざまな汎用サーバにNetApp ONTAPを導入できる拡張性の高い Software-Defined Storageソフトウェアです。ONTAP Selectは NetApp All Flash FAS(AFF)、FAS、およびONTAP Cloudストレー ジ ソリューションを補完するように設計されています。これにより、ストレー ジ リソースを迅速に準備し、クラウドレベルの即応性と自社データセンター の快適な操作性を同時に実現できます。

ストレージOSのまとめ

それでは、ここまで説明したストレージOSの内容をまとめたいと思います。

  1. ストレージOSとは、ストレージを制御するためのオペレーティングシステム
  2. ストレージOSの種類は大まかに「ストレージベンダー専用OS」「LinuxベースOS」「Windows Storage Server」の3種類がある
  3. ストレージベンダーOSはストレージ製品との親和性が高いが、提供しているベンダーは限定される
  4. LinuxベースOSは低コストで開発できることから、コンシューマー向けNAS等に搭載されることが多い
  5. Windows Storage ServerはMicrosoftがWindows Serverをカスタマイズし、ストレージベンダー向けにOEMで提供している
  6. ストレージOSがあることでHDD・SSDの制御が容易になり、高可用性を保ちやすい

いかがでしょうか?

データが企業の資産としてますます重要視される現在、そのデータを守りながら活かすためのストレージは企業の成長に必要不可欠な存在です。そして、そのストレージ選びこそが成否を分けるといっても過言ではありません。

本稿でいまさら人には訊けないストレージOSについて解説しました。もし、NetAppのストレージOSにご興味がございましたら以下の総合カタログをご参照ください。

2022 クラウドインフラストラクチャレポート(日本語版)

2022 クラウドインフラストラクチャレポート(日本語版)

Spot by NetAppが提供する、Dimensional Researchによる本レポートは、従業員500人以上の企業に勤務するクラウド インフラ関係者を対象に実施したオンライン アンケートの結果に基づいています。

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