クラウドとレンタルサーバーの違い

 2020.03.31  ストレージチャンネル編集部

    現代の情報システムを構築・運用するにあたり必ず必要となるものがサーバーやストレージです。これを調達する方法は大きく分けて2つあります。ハードウェアベンダーから購入し自前で用意するか、インターネット上で提供されるサーバーを利用するかです。最近では、購入や運用の必要性が無いことから後者を選択する企業が多くなっている状況です。

    しかし、いざインターネット上で提供されるサーバーを利用する時、クラウドが良いのかレンタルサーバーが良いのかと迷ってしまう方も多いでしょう。そもそも、2つのサーバーサービスの違いとは何なのでしょうか?本記事では、今さら聞けないクラウドとレンタルサーバーの違いをご紹介します。

    ※レンタルサーバーには共有型と専用型がありますが、一般的に共有型を指すことが多いため本記事でも「レンタルサーバー=共有型」と定義します

    クラウドとレンタルサーバーの違い

    クラウドとレンタルサーバーの仕組みの違い

    クラウドもレンタルサーバーも、どちらもインターネット経由でサーバーを提供するサービスという点で共通しています。根本的な違いはその仕組みにあります。

    レンタルサーバーは1台の物理サーバーがあるとして、その性能をすべてのユーザーで共有します。一方、クラウドは1台の物理サーバーを複数のユーザーが利用します。これだけでは違いが分かりづらいので、クラウドとレンタルサーバーをマンションとシェアハウスに例えて説明してみましょう。

    レンタルサーバー=管理人付きシェアハウス

    シェアハウスでは最低限のプライベートスペース(自分の部屋)は確保されていますが、キッチンや洗面所はすべて共有です。このため、ルームメイトがマナーの悪い人だと非常に迷惑を被ることになりますし、そうでなくとも同じタイミングでキッチンを使いたい時に衝突してしまいます。

    これと同じように、レンタルサーバーは共有しているユーザーのマナーが悪いとその影響を直に受けます。たとえば、大量の処理を実行するとレンタルサーバーを通じて自身のサーバーにも影響を及ぼす可能性があります。

    しかしそれだけに、レンタルサーバーは格安で利用できるサービスが多いことから、個人利用や小規模なブログ運営等に利用されることが多いです。

    クラウド=個別スペースが確保されたマンション

    レンタルサーバーがシェアハウスならば、クラウドはマンションです。個別の居住地が用意され、ぞれぞれにキッチンや洗面所などが完備されています。同じ建物内にあってもプライバシー性が高く、隣人がマナーの悪い人だとしてもシェアハウスのように悪影響が出ることは少ないでしょう。

    クラウドがそうした環境を可能にしているのが、「仮想化」と呼ばれる技術です。1台の物理サーバーにハイパーバイザと呼ばれる制御プログラムを統制して、サーバーの性能を自由に分割します。分割した領域はそれぞれが1つのマシンとして存在し、まるで物理サーバーのように扱えるのが特徴です。

    そのため、他のユーザーが大量の処理を実行したとしても自身のサーバーに影響を及ぼす可能性が低く(性能が保証されている)、リソース共有の影響も受けません。

    いかがでしょうか?クラウドとレンタルサーバーは一見同じように思えても、実際は大きく異なるサービスです。

    関連記事:クラウドとは?その種類の解説と仮想化との違い

    クラウドとレンタルサーバーのメリット

    仕組みが違えば、利用するメリットも当然違います。大切なのは用途に応じて適切なサービスを利用することなので、まずはそれぞれのメリットを知りましょう。

    クラウドのメリット

    • 基本的に使用した分だけの料金を支払うので初期費用がかかりません
    • サーバーを提供するだけでなくソフトウェア・アプリケーションそのものを提供するサービスもあります
    • サーバーの物理メンテナンスは提供事業者が行うため運用負担が軽減されます
    • カスタマイズ性が非常に高く、システムに必要なリソースを素早く調達できます
    • 運用中にシステムの拡張・収縮の必要があった際も画面から簡単にコントロールできます
    • 他のユーザーによる影響を受けにくいため安定的な稼働が目指せます
    • 多くのセキュリティ要件が満たされており利用するだけでセキュリティ対策を強化できます
    • 細かい管理機能が搭載されているため組織的に利用する場合でも安心できます

    レンタルサーバーのメリット

    • 物理サーバーの性能を単純に共有するのでクラウドに比べて月額費用が安くなります
    • サーバーの管理・運用はすべて提供事業者が行っているのでクラウド上に負担が少なくなります
    • 用途に応じてテンプレートやコンテンツが用意されているものが多く、小規模Webサイトの構築なら簡単に行える

    どれくらい多くのメリットがあるか?の話ならば、クラウドに軍配が上がります。しかし、用途によっては必ずしもクラウドが最適とは限りません。たとえば、個人ブログのような小規模な用途ならばクラウドを利用するよりもレンタルサーバーの方が安く済みます。また、レンタルサーバーにはブログ運営のためのテンプレート等が揃っている場合も多いです。

    それ以外の用途ではクラウドを利用する方が、より多くのメリットを享受できるでしょう。特に、企業で組織的に利用するにはセキュリティ要件を満たしていることと、細かい管理機能が備わっていることが必須条件となるためクラウドの方が有利です。

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    クラウド利用時に憂慮すべきこと

    近年の市場動向から見るに、レンタルサーバーを利用する企業が減少し、クラウドを選択する企業が増えています。前述のようにクラウドが持つメリットを知れば至極当然ことかもしれません。ただし、クラウドを利用する際にはいくつか憂慮すべきことがあります。

    1. データバックアップを独自に行うこと

    クラウドを利用するにあたり、提供事業者がバックアップデータを取得しているから安心し切っている企業も少なくありません。確かに、クラウド提供事業者は有事の際に備えてさまざまな対策を整えていますが、データバックアップはユーザーの責任範囲で取り組む必要があります。クラウドの利用規約にはそのことが明確に記されており、経済産業省が発刊しているクラウドセキュリティガイドラインでも指摘されています。

    2. セキュリティを依存し過ぎないこと

    多数のセキュリティ要件を満たしているクラウドはたくさんあります。しかしながら、クラウドのセキュリティ対策に依存し過ぎるのは危険です。クラウドが直接サイバー攻撃を受けて情報漏えいに至ることは稀でも、自身が管理しているID・パスワードが漏えいするか、解析された第三者の手に渡る可能性があります。そのため、クラウドが実施しているセキュリティ対策に依存しきるのではなく、セキュリティ意識を常に高めて独自のセキュリティ対策を講じることも忘れないでおきましょう。

    以上の憂慮点を意識しながら、メリットを最大限に享受できるようなクラウド利用を進めましょう。また、クラウドの中にもさまざまなサービスがあるので、まずはどんな課題があり何を解決したいのか?を整理した上で、自身にとって最適なクラウドを選択できるようにしましょう。


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