ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

 2020.02.17  ストレージチャンネル編集部

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クラウドコンピューティング(以下クラウド)を利活用するにあたり、「ハイブリッドクラウド」環境を構築することを目標とする企業が多いです。というのも、既存システムのすべてをクラウドへ移行することが難しいため、クラウドとオンプレミス双方のメリットを生かしたシステム環境の構築を検討せざるを得ないケースが多いからです。

しかし近年では「マルチクラウド」環境に対する期待が高まっており、一見してハイブリッドクラウドと大差ないように思えますが、実際は明確な違いがありマルチクラウドならではのメリットもあります。

本稿では、これからクラウド利活用を検討している企業や、現在クラウド環境を構築しているが満足のいく成果が得られていない企業に向けて、ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違いを解説します。どちらのクラウド環境を採用するかによって、ビジネスに与える影響が大きく変化するので、2つのクラウドの違いを明確にしておきましょう。

 

ハイブリッドクラウドとマルチクラウドの違い

ハイブリッドクラウドとは?

ハイブリッドという言葉は生物学的に、2つの種の動物または植物を人工的に掛け合わせてできた新しい種。または工業において、2つ以上の方式を組み合わせた製品などを指しています。つまりハイブリッドカーといえば、電気とガソリン、2つの動力源を組み合わせて燃費を改良した自動車を指します。

ハイブリッドクラウドもおおむね同じような意味合いで使われており、「クラウドを含む2つ以上の異なる環境を同時に運用していること」を指します。主に以下のような組み合わせです。

関連記事:ハイブリッドクラウドとは?ストレージ技術者が知っておきたいポイントを解説

  • パブリッククラウドとプライベートクラウド
  • パブリッククラウドとオンプレミス
  • プライベートクラウドとオンプレミス
  • パブリッククラウドとプライベートクラウドとオンプレミス

パブリッククラウドは他社とリソースを共有するタイプのサービスです。プライベートクラウドは占有リソースを利用するタイプのサービスです。そしてオンプレミスは、社内に構築される従来型のシステム環境となります。

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それぞれの環境にはメリットとデメリットがあり、ハイブリッククラウドではそれぞれのメリットを活かしつつ、デメリットを解消するために環境を適宜組み合わせることを目的としています。また、前述のようにハイブリッドクラウドを検討せざるを得ないケースも多く、自然とハイブリッドクラウド環境が構築されるケースも多いでしょう。

関連記事:マルチクラウドとは?ハイブリッドクラウドとの違いやメリットについて

マルチクラウドとは?

マルチという言葉は「複数の~」「多彩な~」などを意味する形容詞です。複数の作業を同時にこなすことをマルチタスクなどと言ったりします。つまり複数のクラウドを利用することをマルチクラウドと呼ぶのですが、ハイブリッドクラウドと決定的に異なるのは「同じクラウド環境を複数のサービス提供事業者から利用すること」です。

たとえば、サービス内容的には似通っている2つ以上のパブリッククラウド、プライベートクラウド、パブリッククラウドとプライベートクラウドを利用するといった環境です。一見してハイブリッドクラウドと同義のように思えますが、「複数のサービス提供事業者から同じタイプのクラウドを利用している」という点で決定的に異なります。

同じクラウドを利用するのなら、複数のサービス提供事業者から利用する意味はあるのか?と思われるでしょう。実は、マルチタスクにはクラウドが持つ特有の課題をカバーしながら、運用効率化を図っていける特徴がいくつかあります。

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マルチクラウド環境のメリット

ハイブリッドクラウドではなく、あえてマルチクラウドを選択する主な理由は5つあります。それが、「クラウドのメリット最大化」「障害発生時のリスク分散」「アクセス集中時の負荷軽減」「ベンダーロックインの回避」「より良いクラウド環境の構築」の5つです。

1. クラウドのメリット最大化

同じタイプのサービスを提供するクラウドであっても、クラウドによって使える機能に大きな違いがあります。さらに、クラウドごとに得意分野も変化してくるので、単一のクラウドだけではビジネス要件を十分に満たせない可能性が大きいです。

そこで、同一のサービスを提供しているが異なるクラウドを組み合わせることで、それぞれの特長を引き出しながらクラウドのメリットを最大化します。たとえば、素早いデプロイと低コストを売りにしているクラウドと、IoTAI機能に特化したクラウドを組み合わせることにより、多くのビジネス要件が満たせます。

2. 障害発生時のリスク分散

信頼性の高いクラウドだとしても、システム障害が発生する可能性はゼロではありません。完全無欠のシステムは存在しないので、どこかで必ず障害発生などによりサービスを一時停止することがあるでしょう。そのためクラウドユーザーは、障害発生を想定してリスク分散が可能な仕組みを整える必要があります。

その答えの1つがマルチクラウドです。同じタイプのクラウドを複数利用することにより、どこかでシステム障害が発生しても他のクラウドを利用してリスク分散を実施できます。こうしたビジネスの継続性を確保しておくことで、より安心してクラウドのメリットを享受でいるというわけです。

3. アクセス集中時の負荷軽減

クラウドはオンプレミスに比べて非常に拡張性の高い環境です。しかしながら、急激にアクセスが集中してシステムがダウンすることもあります。その対策として、アクセス数に応じて自動的にインスタンスするようなサービスを利用すると、コストが割高になってしまいます。

マルチクラウドでは、同じタイプのクラウドを利用するのでアクセスを分散できるようにシステム環境を設計して、アクセスが集中した際も負荷を分散し、軽減することができます。これによりビジネスの継続性が保たれます。

4. ベンダーロックインの回避

ベンダーロックインとは特定のサービス提供事業者のクラウドに依存してしまう問題です。この問題が発生すると、企業は予期せぬアップデートに否応なく対応しなければならず、ビジネスに与える影響度が非常に大きくなります。

マルチクラウドでは、同じタイプのクラウドを複数利用することでベンダーロックインによるリスクを回避できるメリットがあります。安定してビジネスには欠かせない要素です。

5. より良いクラウド環境の構築

クラウドにて提供される機能・性能というのは、クラウドごとの大きく異なります。さらに、オンプレミスに比べてシステムの柔軟性に欠けているのがクラウドなので、システム要件やビジネス要件を限りなく100%満たせるようなクラウドを探しださなければいけません。

マルチクラウドは、同じタイプのクラウドを複数利用することでクラウドへの適切な選定基準が自然と養われていきます。企業にとってより最適なクラウドを見つけやすくなるので、より良いシステム環境が構築できるというわけです。

広い視野でクラウド環境を検討しよう

本稿ではマルチクラウドを中心にご紹介したので、マルチクラウドにメリットを見出している方が多いでしょう。ただし、ハイブリッドクラウドにメリットが無いわけではありませんし、すべての企業にとってマルチクラウドが最適解というわけでもありません。クラウド環境を構築・刷新する際は、広い視野を持って自社に大切なことは何か?を考えながら、慎重に検討していただきたいと思います。

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